不動産の取引
不動産の取引について
通常、不動産取引は「契約」→「決済引渡し」の2ステップで行うため、契約後のトラブルによる混乱を防ぐための様々なルールがある。
・手付金
不動産の売買契約時に、買主が売主に渡す金銭のこと。(相手方が契約履行に着手する前なら)買主は手付金を放棄することで、契約を解除できる。売主は手付金の倍額を買主に支払うことで、契約を解除できる。売主が宅建業者で買主はシロウト(宅建業者でない)の場合、手付金は売買代金の2割が上限となる。
・危険負担
民法では、不動産の売買契約後(引渡し前に)地震や津波など売主に責任のない原因で当該不動産が滅失した場合、買主は自分の責務の履行を拒むことができる。つまり、天変地異などで不動産が滅失した場合、買主は売買代金を支払わなくてよい。
・契約不適合責任
売主が、契約の内容に適合しない家や土地(不動産)を買主に引き渡した場合、買主は不適合を知ってから1年以内に通知すれば、修補や代金の減額等を請求できる。ただし、不適合が買主のせいであるときは、請求できない。
借地借家法
賃貸人と比べて立場が弱い借家人や借地人を保護するために、民法の規定を補った賃貸借契約に関する法律。土地の上に借地権者が登記されている建物を所有する時は(借地権の登記がなくても)土地を借りている権利を第三者に対抗できる。
・借地権
建物の所有を目的として土地を借りる権利のことで、地上権と土地の賃借権を総称するもの。
① 普通借地権
【特徴】賃貸人からの更新拒絶や解約申入れには正当な理由が必要
【契約期間】30年以上(契約期間を定めなかった場合や、30年未満で契約した場合は30年とみなされる)
【契約更新】1回目の更新は20年以上、2回目以降は10年以上
② 定期借地権
契約期間が終了すると、契約は更新されず、地主に土地が返還される「土地を借りる権利」。特徴は次のとおり。
一般定期借地権/建物譲渡特約付借地権/事業用定期借地権
期間: 50年以上/30年以上/10年以上50年未満
契約方法: 書面/規定なし/公正証書に限る
更新: 更新しない(契約終了時には必ず土地が返還される)
利用目的: 制限なし/制限なし/事業用に限る
終了時の措置: 原則更地で返還/建物付で返還(地主が建物を買い取る)/原則更地で返還
・借家権
借家権とは、賃借権のこと。
① 普通借家契約
【特徴】大家からの更新拒絶や解約申入れの通知には正当な理由が必要
【契約期間】1年以上(1年未満の契約は期間の定めが無い契約とみなす)
② 定期借家契約(定期建物賃貸借契約)
【特徴】契約で定めた期限がくると契約が必ず終了する。貸主と借主双方が合意すれば再契約可能
【契約期間】制限はないが、必ず書面(公正証書でなくてもOK)で契約する必要がある
宅地建物取引業法
宅建業者(プロ)と一般消費者(シロウト)の取引を自由に行わせると、シロウトに不利な契約が成立する危険がある。そこで、宅建業を営む者について免許制度を実施し、必要な規制を行うことにより、一般消費者の利益の保護等を図ることを目的としてこの業法が作られた。
・宅地建物取引業(通称:タッケンギョウ)
宅地建物取引業とは、以下の宅地・建物の取引のことをいう。
・自ら当事者として、売買・交換を行う(賃貸を除く)
・他人間の契約を媒介(間に立つ)して、売買・交換・賃貸を行う
・他人間の契約を代理して、売買・交換・賃貸を行う
・媒介契約の種類
宅地建物の売買や交換の媒介契約には「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3つがある。
一般媒介契約/専任媒介契約/専属専任媒介契約
依頼者が他の業者に重ねて依頼 ○ / × / ×
自己発見取引 ○ / ○ / ×
依頼者への報告義務 ○/○(2週間に1回以上必要)/○(1週間に1回以上必要)
指定流通機構への登録義務 ×/ ○(7日以内に登録) / ○(5日以内に登録)
契約の有効期間 規制なし / 3ヶ月以内、これより長い期間を定めたとき
は、その期間は3ヶ月となる
自己発見取引とは→業者を通さずに自ら取引の相手を見つけること。
・宅地建物取引業者の報酬制限
宅建業法がもらえる報酬の上限額は、国土交通大臣が定めている。媒介を行った場合の報酬額(税別)の上限は、以下のとおり。
取引額の区分/報酬額の上限
400万円を超える/代金額×3%+6万円
売買・交換 200万円を超え400万円以下/代金額×4%+2万
200万円以下 /代金額×5%
賃貸 額に関係なく /賃料の1ヶ月分
・重要事項の説明(宅建業法35条)
① 宅建業者は(買主が宅建業者ではない)宅地・建物の売買の媒介をする場合、契約前に買主への重要事項を説明しなければならない。
② この説明は、宅地建物取引士が署名押捺印した書面を交付して、宅地建物取引証を提示した上で行わなければならない。
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