不動産の譲渡時の税金

不動産の譲渡取得

 土地・建物等を譲渡したときの譲渡取得は、ほかの取得と分離して課税される。また所有期間により長期・短期の区分がある。

・長期譲渡と短期譲渡
 土地・建物を譲渡した場合の税率は、所有期間により異なる。
① 長期とは:譲渡した年の1月1日における所有期間が5年を超える場合
② 短期とは:譲渡した年の1月1日における所有期間が5年以下の場合
③ 税率
 ・長期譲渡所得の税率:20%(所有税15%、住民税5%)
 ・短期譲渡所得の税率:39%(所得税30%、住民税9%)
*別途、復興特別所得税(2.1%)がかかる

・譲渡所得の計算
 純粋にもうかったお金に課税されるイメージを持っておく

課税譲渡所得=譲渡価額ー(取得費+譲渡費用)

① 取得費:譲渡した資産の取得に要した金額+その後の設備費・改良費ー償却費相当額。取得費が不明な場合は譲渡価額の5%の概算取得費として計上できる。
② 譲渡費用:資産譲渡に直接要した直接経費、仲介手数料、印紙代、建物取壊し費用などの費用(固定資産税や修繕費は含まない)

・マイホーム売却に関する4つの課税の特例
① 居住用財産の3000万円の特別控除
 マイホームの土地・建物等を譲渡した場合、譲渡所得の金額の計算において譲渡益から3000万円が控除される。要件や特徴は以下のとおり。
 ・所有期間や居住期間を問わず、適用できる
 ・3年に1度しか適用できない
 ・配偶者、直系血族などへの譲渡は対象外
 ・住まなくなった日から3年目の12月末までに譲渡すれば適用できる
 ・②の軽減税率の特例と併用できる
② 軽減税率の特例
 所有期間が10年を超える居住用財産を譲渡した場合は、長期譲渡所得の税率20%(所得税15%、住民税5%)よりも低い税率が適用される。
 その税率は、課税譲渡所得の金額が、
 ・6000万円以下の部分:税率14%(所得10%、住民税4%)
 ・6000万円越の部分:税率20%(所得税15%、住民税5%)
* 別途、復興特別所得税(2.1%)がかかる
③ 居住用財産の買換特例
 マイホームを(1億円以下で)売却して譲渡益が発生し、一定期間内にマイホームを買い換えた場合、新たに購入した居住用財産を譲渡するときまで譲渡益に対する課税を繰り延べられる。
 ・譲渡価格≦買換価格の場合:売った値段以上の物件を買った場合、譲渡益に対する課税は全額繰り延べられる
 ・譲渡価格>買換価格の場合:譲渡資産と買換資産との差額分だけ譲渡所得の対象になる
④ 譲渡損失の繰越控除
 一定の居住用財産の譲渡で損失が発生した場合、損益通算をしたあとに残るマイナス金額は、翌年以降3年間にわたり繰越控除できる。要件は以下のとおり。
 ・譲渡した年の1月1日において所有期間が5年越
 ・控除する各年末に住宅ローンの残高があること
 ・床面積が50m2 以上

・居住用財産(マイホーム)の譲渡に関する課税の特例のまとめ

                 所有期間/居住期間要件/特例の併用

居住用財産の3000万円の特別控除: なし/なし
             /居住用財産の3000万円の特別控除と軽減税率の特例は併用可
軽減税率の特例:     10年越/なし/上記と同じ⤴︎
居住用財産の買換特例:  10年越/10年以上/他の特例と併用不可
居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除:
             5年超/なし/住宅ローン控除と併用可

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?