遺言と遺留分

遺言の方式

 遺言(イゴン、またはユイゴン)とは、死後の法律関係を定めるための最終意思の表示のことで、15歳以上であれば、原則として誰でも行える。自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類がある。

自筆証書遺言/公正証書遺言/秘密証書遺言

作成方法: 本人が全文・年月日・氏名を自筆で書き、押印する/本人が口述し、公証人が筆記する/本人が遺言書に署名押印の後、公証人役場で手続き

場所:    自由/公証人役場/公証人役場

証人: 不要/証人2人以上/公証人1人、証人2人以上

署名押印: 本人/本人、公証人、証人(遺言者本人は実印)/本人、公証人、証人

家庭裁判所の検認: 必要/不要(内容が明らかになっているから必要ない)/必要

*1 遺言書本体についての要件。相続財産の目録等(添付書類)は手書きでなくてもよいが、添付書類の全ページに署名・捺印は必要。

*2 法務局(遺言書保管所)に保管されている遺言書については、検認不要。

遺言の取消し・変更

 作成した遺言は、いつでも自由に取消し、変更することができる。変更する際は、上記の3パターンのいずれかの遺言の方式にしたがわなければならないが、前の遺言と同じ方式にする必要はない。また、遺言者が遺言の主旨と抵触する行為をした場合も取消しとみなされる。

遺留分

 「配偶者、子(その代襲相続人)、直系尊属(親)など一定の相続人が、自ら権利を行使すれば必ず取得できる財産の範囲」のこと。なお、兄弟姉妹には遺留分がない。

・遺留分の割合
① 相続人が直系尊属(親)だけの場合→法定相続分の1/3
② 上記以外の場合(これが原則)→法定相続分の1/2
 例えば、相続人が配偶者と子の場合、配偶者の法定相続分は1/2だから、配偶者の遺留分は1/2×1/2=1/4

・遺留分の侵害額請求権
 遺留分を主張して侵害された額に相当する金銭の支払いを請求する権利のこと。相続開始および遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時から1年間で消滅する。やや短いが、これは権利関係を早く安定させようとする趣旨。また、この権利は、相続開始の時から10年の経過によっても消滅する。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?