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【漫画で読む中世文化資料集】「騎士王の食卓」の魅力や特徴

月刊少年シリウスにて連載中の騎士×城(建築中)×グルメ漫画の「騎士王の食卓」

画像のみにしようかと思いましたが、せっかくなので本作の魅力や特徴について簡単めに追記してまとめてみました。




◯本作の魅力


①中世のリアルめの文化がいっぱい読める


 本作は中世欧州を模した世界が舞台となっており、魔法などのないかなり現実的な世界観になっています。ストーリー中でキャラの言動や持ち物を説明するように必要に応じてコマ内外に入る中世の文化に関する解説がかなり多いのです。

 レシピで使用する食材に関する説明はもちろん「作りやすくするために各材料の割合が同じになっているレシピもよく見られた」などのちょっとした生活の知恵も載っていて、中世の食文化への理解が結構深まります。

 また上記のような食に関連するもの以外にも「修道士の多くは貴族の子弟だった」といった情報や、「厚い壁は石と石の間に小石やモルタルをつめることで石が節約できる」などの城の作成方法に関する情報もあるなど非常に種類も幅広いのも特徴です。


 なお本作は「城作りの途中」という設定からその城の完成図や部屋の間取りなどの情報も差し込まれるのですが、「光は多く入るが攻められにくい窓」のように窓一つにも作中の世界での工夫が見られるようになっているぐらい細かい設定がついていたりします。


 ちなみに上記の解説については全てを理解していなくてもストーリーを読めるようになっているので気負う必要がないのも地味にありがたいですね。

 


②"世界観"を重視した、こだわりのレシピ


 本作に登場するレシピは「中世で食べられていただろう料理を現代の台所で作る」をテーマにされており事前に試作するなどかなり凝っているのですが、世界観を優先しているために「美味しさは最優先ではない」とされています。グルメ漫画なのに。

 「作中のキャラ達が実際に食べているものに近づけるため」とあるように"世界観を食べるレシピ"なので美味しさは二の次的なところがあるのですね。
 なおこの「実際に食べている」という部分に関してその時点の調達手段の有無や設備の状況、季節といったキャラクターを取り巻く環境も反映しているのだとか。細かい……。




◯その他の特徴など


・作風は比較的おとなしめ


 地に足つけた堅実な世界観を堅実に進めていくような作風のため、全体的に作風はおとなしく感じます。

 ただしおとなしめだからといって常に平和なストーリー!というわけではないので注意が必要です。第1話なんか結構ハードですからね。あんまり書くとネタバレになるのでこれ以上は書きませんが。


・前作と繋がっている世界観


 同じく「漫画で読む資料集」と呼べるほど情報量が豊富な前作「騎士譚は城壁の中に花ひらく」と実は世界観が繋がっています

 ゲスト出演するキャラクターがいたり、本作のメインキャラと血縁関係にキャラクターがいるという隠し設定があったりします。これらの隠し設定は作者のゆづか正成さんがX(旧:Twitter)上でわりと呟いているので気になる方はチェックしてみましょう。上記隠し設定に関連したコラボイラストもあったりします。


・兎は食材


 「兎好き!食べられるなんてかわいそう!!」という方向けの注意喚起です。一応。前作でも食べてましたね。森の恵みは財産なのでありがたくいただいています。

 単行本第1巻で早速パイとスープになるうえ、公式で用意されている調理動画もウサギのパイです。


・まさかの有償特典


 本作の第1巻では作風に合わせて有償特典としてなんと本物の羊皮紙が1枚ついていたというとんでもないエピソードがあったりします。

 セットによっては中世ヨーロッパでも使われていたガチョウの羽ペンと没食子インクもついてきていました。こだわりが本当に凄い……。









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