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少年と風来坊・旅と自由・友情と冒険 「ラスムスくんの幸せをさがして」

ラスムスくんは孤児院で暮らす9歳の男の子。規則が厳しくて、自由人の彼は怒られてばかり。養子を捜しに孤児院にやってくる夫婦が時々いるが、選ばれるのは決まって巻き毛の女の子。
「ようし、こっちからパパとママを捜しに行くんだー」
孤児院を脱走したラスムスは或る納屋の干し草のベッドで、オスカルに出会う。
アコーディオンを弾き、歌を歌って日銭を稼ぐ風来坊おじさんオスカル。 子どもに放浪の旅は無理だと突き放されても、「パパとママを見つけるまで一緒にいて!」と、ラスムスは必死に頼み込む。

二人で歌を合作したり、風来坊や季節労働者の仲間に加わったり、共にひもじい思いをしたり・・・・・旅を続けるうち、二人の心はピッタリと息が合い、離れがたくなっていく。

食べ物をもらったお屋敷で、老婦人の宝石が盗まれ、オスカルに嫌疑がかかる。「オスカルを助けなきゃ」  ラスムスの機転で、二人組の強盗は逮捕される。本当に命がけの大冒険だった!  お互いを助け、守り合った二人の絆はますます固く結ばれていく。

「旅をしていると、何もかもが自分のものに感じる!」と、ラスムス。  「そうさ、見るものすべて自分のものだ。だから放浪するのさ」オスカルの人生観はちょっと哲学。

親切な牧場主の家で世話になる二人。子どものいない夫妻はラスムスをぜひ養子にと望み、ラスムスも「この人たちの子どもになってもいいかも」と思う。 やっと幸福をつかんだかにみえたラスムスだったが、その幸運を捨て、翌朝、オスカルの後を追う。
だって、「オスカルと一緒にいると、すっごく楽しいんだ!」

二人は旅を続け、のんびりした田舎の、一軒の小さな家に辿り着く。   食べ物をもらうのかなあと思っていたら・・・・・そこはオスカルの家だった。奥さんとネコが彼の帰りを待っていた。 奥さんとラスムスは互いを大好きになる。まるで最初から家族だったみたいに。

力仕事をこなしながら、「春になったら、また旅に出ようなっ」と、ラスムスに耳打ちするオスカル。やれやれ・・・・・。
「風来坊はやめられない」というオスカルは、スウエーデンの寅さん?  いい加減な男だが憎めない。 演じたアラン・エドワールは本当に役者だろうか。本物の風来坊じゃないのか。ボサボサ頭にヨレヨレの服。カンペキになりきっている。「働きたくなーい」だって。やれやれ・・・・・。

一方、さらっさらの金髪のラスムスくん(エリック・リンドグレーン)は、ハンサムだし可愛いけど、キレ者で、タフな面も見せる。とっても表情豊かで目が離せない。つい応援したくなる。


大切なものはお金より友情と愛情。シンプルなテーマだけど、まっすぐだし、楽しいし、心があたたかくなる作品。               [長くつ下のピッピ」や「やかまし村の子どもたち」などで知られる作家アストリッド・リンドグレーン(1907-2002)が1956年に発表した、「さすらいの孤児ラスムス」を原作とし、オーレ・ヘルボムとロルフ・ハスバーグが監督した、1981年製作のスウェーデン映画。




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