「ぽっぺのひとりごと」(9) さようなら、いままで映画をありがとう
動画配信のGYAOが3月いっぱいでサービスを終えることを3月16日に知った。大変だ!映画、見なきゃ!
あわてて、膨大な数の作品群の中から36本を選び、15日間で見ようという計画を立てた。
結果、21本に終わった。
『死刑執行人もまた死す』・・・ナチス支配下のプラハを舞台に、市民の抵抗を描き、緊迫感の連続。80年も前の映画なのに、今見ても面白い。サスペンスフルな演出は、さすがのフリッツ・ラング。
『81/2』・・・巨匠の生みの苦しみ。映画が創れない、脚本も書けない。そのスランプ状況を逆手に取って、包み隠さず映像化。誰にも真似のできない、フェリーニ監督の妄想炸裂。
『運命は踊る』・・・息子の戦死の知らせに哀しみのどん底に突き落とされた夫婦。運命は残酷。それが誤報だと分かり息子の帰還を待つが、何という結末。運命とは不条理なものだ。人間は無力。
『ライ麦畑の反逆児』・・・若き日のサリンジャーが『ザ・キャッチャー・イン・ザ・ライ』を発表し、後に隠遁生活に入ったいきさつを忠実に描いている。ニコラス・ホルトが意外と良かった。
『シークレット・オブ・モンスター』・・・女の子のような美少年はなぜ独裁者になったのか。金も地位もあり豊かな暮らしをさせているが、両親が大事なのは自分だけ。愛情の欠落は悲しく、恐ろしい。
『9人の翻訳家』・・・世界的ベストセラーの完結編を9か国語で出版するため集められた翻訳家達。豪華な牢獄で暮らす彼らのキャラクターが面白い。殺人、スリル、あっと驚く結末。推理小説のような映画。
『世界にひとつのプレイブック』・・・ジェニファー・ローレンスがあの若さで何故オスカーを受賞できたのか謎だったけど、なるほど頑張ったね。B・クーパーと共に過去を乗り越え飛翔する姿に応援したくなった。
『モーリス』・・・ケンブリッジ大学で出会い親友となった美しい二人の男。ゲイが投獄されていた時代に、一人は全てを捨てて愛を選び、一人は偽りの結婚をし安泰を選んだ。ラストシーンのほろ苦さ。
『名犬ラッシー』・・・舞台はスコットランド。貧しい炭鉱労働者達と貴族の暮らしが対照的に描かれる。ストーリーはまあまあ。スコットランドの原野の美しさと、家族に会うため過酷な旅を続けるラッシーが素晴らしい。
『誰もがそれを知っている』・・・スペインの田舎町。婚礼の祝いの最中に起きた誘拐事件。謎が謎を呼ぶ展開はスリリング。ペネロペ・クルスとハビエル・バルデムの演技が素晴らしい。
『ナチスの愛したフェルメール』・・・専門家すら見抜けなかったハン・ファン・メイヘレンのフェルメール。世紀の贋作事件に興味があったが、演出がイマイチで、がっかり。
『静かなる叫び』・・・1989年にモントリオール理工科大学で起きた銃乱射事件をドキュメンタリータッチで映画化。今目の前で起きているかのような模写がリアルで怖かった。
『ファーザー』・・・痴呆老人の目にはこんな風に見えているのか。訳が分からない。自分がこうなったらと思うとゾッとする。怖くて悲しい。ちょっぴり可笑しくもある。A・ホプキンス見事。演技とは思えない。
『結婚哲学』・・・1924年公開の無声映画。エルンスト・ルビッチュ監督の艶笑コメディー。浮気がばれるかばれないかという他愛ないお話。弁士よりもオリジナル字幕で見たかったな。
『テスラ』・・・実業家エジソンの陰に隠れ、正当な評価を得られなかった可哀そうなテスラ。本物の天才は彼の方だったのに。イーサン・ホークは繊細な感じがテスラにぴったり。
『ロングショット』・・・シャーリーズ・セロンがアメリカ初の女性大統領に選ばれるまでを描いたコメディー。一言でいうとおバカ映画。彼女の衣装が素敵だった。
『マーラー』・・・作曲家マーラーの伝記映画なんだけど、作ったのがケン・ラッセルだからタダでは終わらない。前半とてもマトモだったのに、取って付けたような後半。えぐい。無理して「鬼才」ぶらなくていいのに。
『ソング・オブ・ザ・シー』・・・アイルランドの神話に題材をとったアニメーション。家族の大切さを謳い上げる。兄と妹の壮大な旅のイメージと色彩が非常に美しかった。
もっと見たかったけれど、また有料レンタルで探そう。
GYAOさん、今まで楽しませてくれてありがとう!!
3月の最後の週は嬉しいことに、3人の友人達と2年半ぶりに再会したり、桜を見るため山歩きしたりして、珍しく5日間も出かけた。
そんな訳で、noteする時間がなかった。今から読みまくろう。