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きくちに怯えるきくちのオタクがDREAM BOYS を観劇しました

はじめに

 去る2021年9月26日、幸運に恵まれ、人生初の帝劇、人生初のジャニーズ舞台、人生初のドリボを経験した。時世柄意を決した観劇であったが、終演後は「菊池風磨は好きに値する男だった」という感情が爆発し、近年稀に見る多幸感に包まれ、しばらく夢見心地で通常業務に支障をきたすほどであった。我がオタク人生において大切な出来事であったため、ここに記録しておく。

菊池風磨への複雑な感情

 表題の通り、私は「きくちに怯えるきくちのオタク」である。どういうことか少しだけ解説したい。

 2020年の始まりとともにSexy Zoneに堕ちた。そこからは彼らの過去を辿るべく、デビューから現在に至るまでのCDやBlu-rayを片っ端から収集した。とっくに私の心臓をつかんで離さない5人であったのだが、どうにもこれはいただけないと思った男がいた。セクチャンの菊池風磨である。セクチャンとは、2014年〜2015年にかけて放送されたSexy Zoneの初レギュラー冠番組だ。5周年記念アルバム「Sexy Zone 5th Anniversary  Best」初回限定盤Bの特典として、メンバーセレクトの神回傑作選約180分を視聴することができる(特典凄すぎないか)。未視聴の方はぜひご覧いただきたい。全力で高級な食べ物を奪い合い、遊び、笑い、涙するかわいらしくもいたいけなSexy Zoneの姿に心がギュッとなってしまうことを約束する。

 話を戻して、セクチャンの菊池風磨。こいつがいただけないのだ。簡単にいうとクソ陽キャである。それも、爆イケ陽キャなのだ。傷んだ茶髪に伸びた襟足、調子のいい破天荒な言動、年下をいじめているかと思いきや突然見せるいい兄ちゃんな振る舞い…なぜいただけないのか。それは私が、ただのド陰キャオタクだからである。教室でオタク仲間とオタク同士にしか分からない話題でプヒプヒ笑っている。そういう青春を過ごしてきた。そんなド陰キャオタクにとって、菊池風磨のような男は、相容れない存在だ。同じクラスであろうとも絶対に世界が交わることはない。体育祭で、あっちが応援リーダーグループで全校の注目の的となっているのであれば、こっちは衣装係の末席でうだうだチャコペンいじってるだけなのだ。

 しかし私は、菊池はただの爆イケ陽キャではないということに気づいてしまっていた。なんせ、たった数ヶ月で約8年分のSexy Zoneを摂取し続けていたのである。セクチャンだけでなく、他の特典や、年を追うごとにクオリティーが高まるコンサートでのパフォーマンスや彼の言動に触れ、「菊池ってもしかしてこっち(隠キャ)側も見えてる陽キャなんじゃないの??」という思いを強くする。だって、ただの陽キャはおすすめの映画で「愛のむきだし」を挙げたりしない。こんなに美しく整った敬語を操ったりしない。「ざんぎり頭」で爆笑したりしない!!確かな知性や心の機微を垣間見るにつけ、この男のことを信用してしまっている自分がいた。そしてライブパフォーマンスで見せるあの感じ、急に見せる笑顔、「また遊ぼーね」の台詞、こんなの完全に「大学の優しい先輩」じゃん。2、3個上の、男女ともにみんなから人気があるけどなぜか彼女はおらず、私にも話しかけてきてくれ、会話の流れでノリで深夜に2人でエヴァの映画を見に行ったりして、帰りにファミレスでパフェ食わせてくれたりする、大学の優しい先輩じゃん…(大学はとっくの昔に卒業しています)。そう思うともうダメでした。完全にTwitterでよく見るタイプの女が私でした。「菊池風磨に苦手だという感情を持つ女ほど、沼に沈みやすいから気をつけろ」ってね。気づいた時にはもう遅いのだ。「菊池風磨とサソリの毒はあとから効いてくる」ってね、本人も言ってるしね。腹立つなあ…

 400字くらいでまとめるつもりであったがもう1600字も書いている。それでもこの気持ちを言葉で上手く伝えられている気がせずもどかしいが、本当はDOREAM  BOYSのことが書きたいのでまとめる。かくして、「本当は菊池風磨のことなんか好きじゃないはずなのに、なんで私の心は彼を追いかけるの」状態で、未だに素直に菊池風磨を好きだと言えない。でもライブで振るうちわは菊池。そもそも菊池風磨のことを「風磨」と呼べず「菊池」と呼んでしまう。「菊池の女」に憧れているが、自ら名乗ることはできない。でもTwitterではイキって、度重なる菊池の意味深で思わせぶりな言動に腹を立てては「きくち!!」と吠えちゃう。こんな自分が気持ち悪い。かくして、菊池の陽な人間性と陰にも通ずる繊細さと感性、パフォーマンス上の爆イケ、菊池風磨という男が内包する多様性と味わい深い魅力に怯える拗らせド隠キャオタクが完成したのであった。

 こいつのせいで、俗にいう適齢期なのに、親からも結婚を期待されたりしているのに、もうまともに恋愛ができなくなってしまった。

 「爆イケ」「ガチ恋」「親泣かせ」

この三拍子が、我が仲間内で彼に与えられた称号である。

ここからようやく、ドリボのお話をさせていただく。

ふまじゅりのドリボ決定 健康を決意

 夢かと思った。

 ふまじゅりといえば、界隈では有名な親友コンビだ。「Youと菊池は不良だから勝利と遊ばないでよ」と言わしめたふたりだ。そんなふたりが、主演とその親友役でドリボに。夢のような激エモ展開を現実のものにしちゃう彼らに胸が熱くなった。

 神に祈りつつ申し込み、当選。

 生きていてよかった、神は存在した。エレン・イエーガーのごとく世を恨み、掃き溜めみたいな感情で渦巻いた救いのない生活をしている己がようやく報われた。そういう気持ちでいっぱいになり、絶対に世間に迷惑をかけまいと、免疫を上げるべくR1を飲み続ける生活が始まった。

きくち、まじで感謝しろよな。

 現場が決まった。

 拗らせド隠キャオタクとて乙女である。日頃泥舟で海を渡るような生活をしているとはいえ、できるだけ見苦しくない格好で現場入りしたい。

 炭水化物を抜き、糖質を抜き、美容院で髪を整え、まつげを上げ、レーザーを当て、爪を整え、黒い服を買った。ふまじゅりドリボと言えば黒だと思った。こんなに見えないところまで整えて何やってんだろと、正気に戻る瞬間もあった。私だけじゃなく、きっとたくさんの女の子たちが、その日のために胸を躍らせて、自分を磨いている。すごいことだよ。きくち、お前のために、まじで感謝せえよ…!!!お前が自分のファンはかわいいかわいいって騒ぐから、こっちは恥をかかせまいと足らん努力をして…!!菊池からしたら知ったこっちゃないが、そう叫ばずにはいられなかった。

これがDREAM  BOYS 、一生ジャニーズ 。

 観劇数日前より、謎の高揚と緊張で眠りが浅くなった。やっとの思いで江戸に馳せ参ず。洗練された通りを抜け、帝国劇場にたどり着いた。これが、あの、帝国劇場。胸が震えるのを感じた。麗しい乙女達が列を成す中に混ざり込む。

 そして発券

 まさかのE列 下手花道最前 

 神、どうした???

 会場で、観劇できるだけで十分に幸せだったのだ。だのにこのような良席、身に余る幸運に震えた。これからは世を恨まずどんな理不尽が降り掛かろうともマザー・テレサのように生きていこうと、背筋が伸びる思いであった。

 今が我が人生のピーク、そのような思いで開演を待った。そして幕は開ける。2時間半の上演を終えた時、世界があまりにも輝いて見えて驚いた。好きな男の、帝国劇場の座長としての堂々たる勇姿をこの目で拝むことができたことへの感謝と感動に襲われていた。「ジャニーズ舞台は考えるものではなく感じるもの」。多少のトンチキ展開があっても臆するなという友からの助言は意味をなさなかった。それほどまでに舞台に引き込まれ、心を動かしてしまった。「私はもう一生ジャニーズでいい、そして一生菊池だ。」翌日も朝早い。荒れ狂う胸中を押さえつけ日付が変わる頃に就寝、努力はしたのだが結局2時間で目覚めてしまい、そこからは一睡もできなかった。脳裏に、まばゆい光を放ちまい踊る菊池風磨が、田中樹が、焼きついて離れないのだ。永遠にドリームボーイズが流れ続けるのだ。

 この激情を忘れたくないと、したためたメモがある。DREAM  BOYSのあらすじをご存知ない方にはさっぱりかも知れないが、以下そのまま画像で引用しようと思う。ドリボを語りたいと言ってnoteを書いたなら、きちんと文章にしろやと思われるかも知れないが、そのまま画像で引用に変えさせていただく。久々に文章を書いてそろそろ力尽きそうだ。精進したい。

 ドリボ初見の上、ほぼ菊池しか観ていなかったため、時系列はバラバラ、内容も偏りがひどい。オタクのリアルな手記である。

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菊池風磨 私が好きな男

 お分かりいただけただろうか(何を)。

 とにかく感無量であったのだ。仲違いし、ほとんど会話もなく目線も合わない劇中のフウマとジュリのお互いへの深い愛情と絆、全てを抱え込み弟のために嫌われ役を買って出るフウマの生き様。見せ方によってはオモシロ展開に見えてしまうような内容も、ふたりの地に足のついた演技によって深みを増して客席に訴えかけてくる。素直に感動した。そしてジャニーズ舞台らしい煌びやかなショーパフォーマンス。これがジャニーズ。ジャニーズって最高だ。そしてその真ん中で、座長として舞台に生きる菊池風磨、これが私の好きな男。菊池風磨は紛れもなく、好きに値する男だった。

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おわりに

 私は菊池風磨が好きです。

 それは事実だ。しかし、これからも友人の前で、Twitterで、素直に好きだとは言えないのだろう。拗らせド陰キャオタクだから。でも今回ばかりは、声高々に叫びたくなった。菊池風磨が好きだと。余韻が抜けず、頭の中でドリームボーイズが流れ続けて辛かった。だから、菊池風磨のソロ曲だけを集めたプレイリストを聴きながら帰路についた。たまらなくなった。気がついたら海にいた。

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  現実世界に戻ってきてしまったけれど、海は残酷なまでに綺麗だった。

  2019年の秋、菊池は、世界中の誰もが知るシェークスピアのハムレットを演じたという。ジャニワやサマリーにSexy Zoneが出演していたのも、もう何年も前のことだ。舞台に立つ姿が見たかった。好きになるのが遅すぎた。そう思っていた。しかし、幸運なことに、あの帝国劇場での座長公演を目にすることができた。生きていてよかった。本当にそう思った。

 私事ではあるが、半年前から環境が変わり、これまでよりも心身共に大きな負担を感じている毎日である。Sexy Zoneのことを忘れたことはないが、Sexy Zoneにかける時間は確実に減った。パンフレットもろくに読めずに会場に入った。DREAM  BOYSの公演を経て感じたのは、私にとってアイドルというのは、現実を忘れさせてくれる存在ではなく、現実を生きる活力を与えてくれる存在だということだ。歴史、伝統、多くの事物を背負って立つ彼らを見て、圧倒的な光に触れて、私もまた立って歩こうと思えた。共に現実を歩んでくれるアイドル達、感謝してもしきれない。ぜひ毎日幸せでいてくれることを願う。そんな彼らが生きる世界の一部として、真摯に働きたいと思う。

 ここまで、菊池風磨とかいう一見ただの爆イケ陽キャの男に軽率にハマってしまったことが小っ恥ずかしくて素直になれなかったけど、舞台に立つ奴を見たらもう認めざるを得なくなったよ、という、オタクの呻きをご覧いただいた。きっと同じような思いを抱いている乙女らが、たくさんいると感じている。でも大丈夫、みんなで手を取り合って共に歩いてゆきましょう ここから One the power of dream……

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