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中国は民主化するのか、という命題

はじめに

中国は民主主義に変わると思うか?という話は、周りからもよく聞かれるし、新聞でもよくあるトピックの一つだと思います。私は現時点では下記のように考えています。

「可能性はある、でも限りなく低い」

①可能性の話

可能性は十分にあると考えています。少なくともこれから共産党内部で主力になるような年代の人は留学経験者も多く、海外についても詳しい人材が多いのは間違いないでしょう。

海外の優れている点についてもきちんと認識していると思うし、ただ思考停止して現状の政治体制を肯定しているわけではないと思うのです。

そう、そこには一定の合理性があって現代中国を取りまとめるための手段として非民主化を徹底している、というのが個人的にはしっくりくる解釈です。もちろんその合理性が西側に受け入れられるかは別の話ですが。

②合理性の話

この合理性というのが重要で、民主主義に移行するメリットが大きければ政府内部でも動きがあるだろうと思います。共産党も一枚岩の組織ではなく、利権もあるので時間はかかるでしょうが、今のような自信満々の強気な姿勢ではなくなるはずです。

問題は民主主義が中国に対して現在以上のメリットを示せるか、という点です。中国は共産党の指導の成果を経済成長という形で国民に示し続けてきました。そこにはたくさんの歪みがあることも事実ですが、それ以上のメリットを国民に与え続けており、結果として党の正当性を確保できているのが現在の中国です。

コロナへの対応も、おおよそ他の国には制度的にも心情的にもできない手法での管理でしたが押さえ込みには成功しています。経済の影響は他国より小さく、日常生活はかなり正常化していると私は感じます。

ですので、現時点では共産党は民主主義に対してはほぼメリットを感じていないでしょう。現状の体制への自信を日に日に深めていっているところかと思います。最初に可能性は限りなく低い、と書いたのはこのような理由からです。

③西側諸国の甘い夢

昔は経済成長を果たした中国が自然と民主化することが望まれていました。このアプローチは民主主義が最良だ、という考え方から来ていると私は見ています。自由や権利は尊いもので、成熟した国は自然とその方向に舵を切るだろうという思想です。

一方の共産党は中国を治めるにあたり、最良の方法は何か、というアプローチをとっているように思います。ですので、過去の歴史の積み重ねとか、権利獲得の歴史にはあまり意味を見出せず、実利としての優秀な統治体制を求めています。

このギャップがある限り、外圧による中国の民主化が進むことはないだろうと思います。

トランプ政権以後のアメリカは中国との対決姿勢を強めています。しかし現状の中国の行動に対する批判的なアプローチに中国を変える本質的な力はないでしょう。中国の行動は中国の実利に対する合理性があるからです。

終わりに

中国を変えるためには民主主義の優位性を示す必要がある、というのがこの投稿の論旨です。中国は技術にも巨額の投資を行っており中国にできないことは日を追うごとに少なくなってきています。テクノロジーや製品で中国を惹きつけるのは既に難しくなっており、逆に中国が自身の技術や事例を紹介しながら国際的な発言力を強くしているのがここ数年起きていることです。

彼らを変えるアプローチはおそらく今後もあまり意味をなさないでしょう。次に我々が考えなくてはならないのは民主主義の課題をいかに乗り越えるか、いかにアップデートするかという点になると思います。

今後10年で民主主義の更新が先か、それとも中国の統治体制の成熟が先か、という戦いになると考えられます。我々日本人も問題の枠組みを正確に把握し、アクションを起こしていく必要があります。

きちんと対処できなければ、アメリカが選択を突きつけるのではなく中国が我々に選択を迫るという日が来るかもしれません。我々の生活に関わる部分まで踏み込んでくる案件になるかもしれません。日本人は、特に若い世代は自分の未来に関わる案件として考えていく必要があります。

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