現代の「シンデレラ」
Amazon primeオリジナル作品として公開された本作。新解釈!っていっても結局はシンデレラでしょう…と思ってたけど、見たらなかなか楽しかった。今まで先延ばしにしててごめんなさい!
あらすじ
「新解釈」シンデレラ
いわゆるシンデレラというと、恵まれなかった女性が白馬の王子様を夢見ていて…という待ちの姿勢で受身なキャラクター。グリム童話やディズニーが最初に映画にした頃を考えると、女性は「普通そう」だとされてた時代だし、それが美学であったんだろうけど、現在2021年は違う訳で。今回のシンデレラも現代に限りなく近い、強い意志を持った自立しようとしているキャラクターでした。
劇中はまだ「女性が商売するなんて」という風潮が存在する様だけど、それでも諦めようとしないのも良い。また王子様も全然待ってない。王子様が追いかけてきて、シンデレラの考えに同調してくれるというのとまた今までとは違ったポイントで好感が持てました。
あと、あんまり「シンデレラ」って呼ばれないんですよね。ちゃんとエラという名前があってそう呼ばれてる。灰被り姫じゃない、エラの話だったんだなあと思ったり。
ミュージカルとして
ミュージカル映画で外せないのが、歌とダンスの演出。どんなに良いストーリーでも、この2つがハマらないと楽しめない…と個人的に思っています。そういう意味では、本作はオリジナル曲と既存曲アレンジが絶妙で、かなり良かった!
オープニングがJanet JacksonのRhythm Nationで始まるのも良いし(日々の繰り返しでルーティンワーク、リズムの王国!っていう解釈なのも好き)それにマッシュアップされてるのがDes’reeのGotta Beってのも最高。民衆はRhythm Nation、シンデレラはGotta Beというバランスも最高でした。
その他にも、継母と姉たちのMaterial Girl、全キャラクターのAm I Wrong(このナンバーをミュージカルに組み込むとは!)舞踏会冒頭でのWhatta ManはLinda Lyndellかな?王子に選ばれたい女性たちというシーンにぴったりの曲でした。それにマッシュアップされるのがThe White StripesのSeven Nation Armyというのもなんという絶妙なチョイス!この曲を選ぶセンスが最高。
舞踏会でのロマンチックなシーンはEd Sheeran のPerfect、ラストの大円団にピッタリなJennifer LopezのLet’s Get Loud(チョイスはJ.Loファン垂涎もので最高。J.Loの代表作と言われるものは他にもあるのであえてこの曲ってのが良い)
もちろんオリジナル曲も良くて、シンデレラのソロ曲「Million to One」は何度かアレンジが入って歌われるのですが、彼女の強い意志と何があってもやってやるという情熱を感じる。歌詞も良いけど、特に舞踏会に行けなかった時に泣きながら歌うシーンの時が良かったな。イディナ・メンゼルのDream Girlも良かった。この曲がアカデミー賞オリジナルソングのショートリスト入りしたとのことで、メインのMillion to OneじゃなくてDream Girlが入ったのか…と驚いたけど、これもまたイディナ・メンゼルのパワーなのか、曲の力が現代の女性に影響力があるからそうなったのかはたまた。
YouTubeのアマゾンプライムビデオ公式チャンネルが一部の歌唱シーンをアップしてくれているのでぜひぜひ見てみてください。サントラもあるので映画を見た後は、ぜひサントラ聴いてほしい!
出来れば映画館で見たかった
お城や舞踏会などなど、煌びやかでゴージャスなシーンも多いし、壮大な草原のシーンなどなど大スクリーンで見たら迫力あっただろうなあというシーンも多々。フェアリー・ゴッドマザーのシーンもテレビサイズとスクリーンでは大分変わりそう。コロナの影響もあり、やむなく映画館上映を断念してアマゾンに買い取ってもらったという経緯があったそうです(Wikipedia情報)
コロナ禍で映画館にフォーカスが当たりがちだったけど、制作会社や配給会社も苦しい時期を経て、延期したり、配信サービスに切り替えたりしているんだなあ。ソニーも求めていた形ではないとはいえ、やっぱりこういう派手な映画は映画館の大スクリーンで見たかったなあと夢見てしまいます。
キャストはやっぱり良い
登場人物はみんな素敵でした!私の中で「イディナ・メンゼルが出てるミュージカルは外れない」法則があるので、やっぱり今回も良かった。見るまでは彼女が出演してるの全く知らなかったので嬉しかったです。私の中では映画版「RENT」でのイディナで止まっているので、年取ったな〜と思ったけど、やっぱり歌声は健在だし、表情とかニコッとしてるのにちょっと怖いっていうのが継母のキャラクターに合ってました。マテリアル・ガール、良かった!
主演のカミラ・カベロは本作が初出演らしいですが、やっぱり歌はうまい。フィフス・ハーモニーでも、ソロでもうまいのは分かってるし、全く心配していませんでした。見た目も可愛らしいですし。小さいけどパワーに満ち溢れている彼女本人の印象が、本作のシンデレラに合っていた様な気がします。ただやっぱり「歌手」だなあ…と思ったり。ソロで歌う「Million to One」とかはしっくり来るんだけど、複数人と歌う「Am I Wrong」とか「Perfect」はちょっと我が強すぎるというか…何歌ってもカミラ・カベロになっちゃうんだよなあ。Perfectは特に、相手のニコラス・ガリツィンが正統派ミュージカル!って感じだったので余計にね…見せ場だし。
そんなニコラス・ガリツィンは初見の俳優さんでしたが、ちょっとアホな世間知らずの王子って感じが上手かったですね。冒頭のみんなとつるんで遊び歩いてる感じが良かった!そんな彼がシンデレラに影響されて自分の道を歩いていく決断をするのも良かったなあ。王子の取り巻き3人も個性的で、放蕩息子感が最高でした。キャラクタービジュアルが全体的に良かったなあ。それぞれの俳優さんにちゃんと似合う感じになりつつ、シンデレラの世界観は感じられるという良いバランス。
冒頭にあるソロ歌唱シーンの「Somebody to Love」めちゃめちゃ良かったです。
ビリー・ポーターは使い方がもったいなすぎるのでは?と思ったり。フェアリー・ゴッドマザー=魔法使いポジションは、ああいうキャラクターにしたいならビリー・ポーターかル・ポールくらいしか思いつかないんですけど(笑)キンキーブーツで世界中を魅了したビリー・ポーターを起用するなら、もっと見せ場を作って欲しかったというか…あのシーン以上は登場できないからこそ、ナレーションをさせているんだと思うけど…踊って欲しかったし、もっと歌って欲しかったな〜。
ピアーズ・プロズナンも出演しているのは見るまで知らなかったので、登場した時はちょっと嬉しくなりました。邪道だとは思いますが、私は彼の007が好きでして…久しぶりに見れて良かった。でもやっぱり歌唱シーンはほぼありませんでしたね。マンマ・ミーアでもなかなか良かったし、歌えると思うんだけどなあ。
意外にも印象に残っていてとっても良かったのは、王子の妹グウェンドリンを演じたタルーラ・グリーヴ。
若い頃のダコタ・ファニングを思い出させるノーブルでピュアな雰囲気が王女っぽいし良かった〜!王女は兄の王子とは違って、政策や環境改善とかに興味がある様だし父である王様に聞いてほしいんだけどいつも遮られて聞いてもらえない…という状況なのですが、ラストには王子の代わりに王位継承順位が1位になって大喜びしてました。(その姿もまたかわいい)歌唱シーンは少なかったですが、低くてハスキーな歌声がギャップがあってこれまた良かったです。
基本のストーリーは知っているからこそ、変わっている部分でグッと来くる部分も多いし、安心して何も考えずに見られる部分もあるし、ミュージカル映画としてはかなり好き。ハッピーな気持ちになれる映画でした。
シンデレラ
Cinderella
2021年 アメリカ
監督:
出演:
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