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「アナ雪」で使われていた3つの表現を深掘りしてみると多くのことがわかり、英語の面白さを再発見しました。

「アナと雪の女王」の一場面 ー 宮殿を凍らせる魔力を使ってしまい、逃げ出そうとしたエルサを探すために宮殿を離れようとするアナ。そして、それを心配するハンス王子の会話のシーン。

Hans: I'm coming with you. ( 僕も行く)

Anna: No. I need you here to take care of Arendelle.
( いいえ、あなたはアレンデールを守って)

Hans: On my honor. ( 名誉にかけて)

Anna: I leave Prince Hans in charge. ( ハンス王子に委ねます)

Hans: Are you sure you can trust her? I don't want you getting hurt.
( 彼女を信頼できるか?君が心配だ)

映画「アナと雪の女王」

短い会話のシーンですが多くのことが学べます。映画ってそういう意味で英語学習の宝庫かもしれません。

I’m coming with you.「僕も行くよ」
“I’m coming.”「今行きます」は、I’m going. とは言わないというのは聞いたことがあるかもしれません。「目的地」に向かっていく時には、go ではなく come を使うからです。

コロナ禍前にアメリカでホームステイしていた時に、私の部屋は2階にあったのですが、ホストマザーがいつも “Dinner time!” と呼びかけてくれ、その度に私は “I’m coming.” と言っていました。

でも面白かったのは “Supper’s ready.” ではなく、”Dinner time.” と言っていたことです。ちょっとしたことですが、使える表現が増えたなと思った瞬間ですね。

少し前書きが長くなってしまいましたが、このハンス王子の “I’m coming with you.”「僕も(君と一緒に)行くよ」も I’m coming. 同様、ハンス王子はアナと一緒にエルサがいる目的地に向かっていくので I’m coming ... を使ったのでしょう。

ではこのケースで “I’m going with you.” とは言えないのでしょうか?

答えは、I’m going with you. とも言えるのですが、I’m coming with you. の方がより自然です。

come を使った方が go を使った時よりも相手に対する親密さや共感が生まれます。それは、come は目的地に近づき、go は離れていくというイメージからきているのです。

目的地に一緒にお供しますよ、と共感を生むのですね。ですから go は通じますが一緒に行くのに何故 go なのかと違和感あると思います。

come は目的地に向かっていく。そこから相手と一緒に行く場合、目的を共有することになる。= 相手との親密さや共感が生まれる。これって本当に面白いですね。I’m coming! の概念をもう一歩深めたのが I’m coming with you. なのです。

leave ... in charge「任務や責任を…に委ねる」
別の言い方として You’re in charge. がありますが、leave を使うと一時的に責任をあなたに委ねるというニュアンスが出ます。

この「アナ雪」の場面でもアナがエルサを探しに行っている期間のみハンス王子に責任を委ねるということなので納得です。

You’re in charge. も使えますが、一般的な言い方で一時的なのか今後ずっとなのかは不明です。

ちょっとした違いですが、ニュアンスの違いって面白いなあと思ってしまいました。

③ I don't want you getting hurt.「君が心配だ」
字幕なのでかなり意訳していますが、直訳は「僕は君に怪我をしてほしくない」です。これはハンス王子が、エルサの魔力によってアナが怪我をしてしまうのを心配しているシーンです。

この表現を取り上げたのは、want (人) to ... で「(人)に…して欲しい」と後ろに to ... がくるというのが一般的な理解として定着しているのではないかと思ったからです。

実際、英語の問題で want (人) の次に来るのは to ... か 〜ing のどちらかを問う問題を見たことがあります。正解は、to ... です。

でもネイティブスピーカーは I want (人) to... も 〜ing もどちらも使うのです。

Q&A サイトの HiNative に I don’t want you to get hurt. と I don’t want you getting hurt. の違いを聞いたところ、次のような2種類の回答が返ってきました。

"I don’t want you to get hurt" - Natural and good grammar.”
"I don’t want you getting hurt" - You will hear this, but it is wrong.”

HiNativeより

There's no difference in meaning.

HiNativeより

やはり to get hurt が自然で文法的にも正しそうです。が、「getting hurt も使われる」し「意味は2つとも違いはない」と言ってることです。

「アナ雪」でも使われているように、文法的に間違いと思われている表現でも普通に使われているという事実は大切だと思います。

でも、それが言葉というものではないでしょうか?

文法的に間違っている日本語を無意識のうちに使っているのと同じことだと思います。

ですから学校教育などで「これは間違いでこれが正しい」と二者択一を教え込むのは、コミュニケーションのレベルにおいては、より良い方向に進まないので、気をつけなければ、と思ってしまいます。

I hope my article is useful for your English studies.

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