ディズニー映画「インサイドヘッド」のワンシーンから使える表現をいくつか掘り下げてみました。【パート45】
ライリー一家が車で新居へ向かっている場面です。
Step on it!は車を運転中の決まり文句で「急いで!」です。
「急げ!」は Hurry up! が一般的に用いられますが、この Step on it! は運転中に用いられる表現です。
“step” は動詞で「踏む」ですが、接触の “on” を伴って「(その対象物の表面を) 踏む」という意味が生まれます。
例えば日本語の「ガムを踏む」は、“step gum” と書いてしまいそうですが、間違いで、正しくは “step on gum” です。
この on をつけるのは少し違和感がありますが、step on ... をそのまま覚えて口に出していくと、逆に on がなければ違和感を感じる状態になってきます。
この「違和感を感じる・感じない」というのは言葉を習得していく上でとても大切なことではないかと思います。
英語は言葉なので文法がどうのこうのと考える以前に、「ちょっとこの言い方、変だなぁ」と“ピンとくる”のが言葉をマスターしていく上で重要なことだと思います。
そのためには英語をたくさん聞いて、読んで、話して、書いていく以外ないように思います。
「学問に王道なし」ですね。
I accidentally stepped on his foot on the train.「電車で誤って彼の足を踏んでしまった」
セリフの “Step on it!” の it は accelerator (アクセル)を指すのですが、不思議ですよね。「それを踏んで」が Step on it! の直訳ですが、it はブレーキの可能性だってあると思いませんか?
時間に遅れている時に Step on it! というと「(アクセルを踏んで)急いで!」と、状況で理解できます。
でも、もし飛ばしすぎてると思った時に it をブレーキに見立てて Step on it! と言えるかと言えば、それは言えません。もしそんなことを言えば、さらに運転手はアクセルを踏み込むかもしれません。
「ブレーキを踏んで」と言いたい時は、”Step on the brake.” と言わなければならないのです。
”Step on it!” ー 慣用表現として覚えるしかないですね。
ちなみに「ブレーキを踏む」は “hit the brake” という言い方もあります。”hit” からそれとなく伝わってくるものがありますが、この “hit the brake” は、「ブレーキを急に踏むこと」を意味します。
それに対して “step on the brake” は「ブレーキペダルをゆっくりと踏むこと」を意味します。
状況によって hit か step の使い分けの必要性が出てきます。
こういった違いもホント面白いですね。病みつきになってしまいます(笑)
新居に到着したライリーはその新居の見た目の悪さに顔を曇らせます。
I’m telling you, ー「私はあなたに言いっています」ではありません。
日本語字幕はこの I’m telling you には触れていませんが、「本当なんだって」と、信じてもらえそうにないことを言う場合に使います。
この表現も決まり文句で、「私はあなたに言っている」と直訳しても意味が通じません。ですからそのまま覚えるしかないです。
ただ、「君に(そう)言ってるだろう。信じてよ」という具合に考えると合点がいきます。
“I’m telling you, I saw a UFO last night.”「本当なんだけど、昨日UFO見たんだ」
後ろに持ってくることもできます。
“He’s a millionaire. I’m telling you.”「彼は大金持ちなんだ。ホントなんだって」
“I’m telling you.” を別の表現に置き換えると “Believe me.” や “Trust me.” です。 “I’m serious.” や “I mean it.” でもいいですね。
でも個人的に “I’m telling you.” の表現が使う頻度が少ないので、今後使っていきたいですね。
“I’m telljng you” 以外で、tell を使った慣用表現でよく耳にするのは、”I’ll tell you what.” です。
意味は「じゃあこうしようか」、「いいこと思いついた」と何かを提案する時によく使われます。
“I’ll tell you what. I’ll drive you to the station.”「じゃあこうしようか。僕がきみを駅まで送っていくよ」
簡単な語彙を使ったものばかりですが、それが意味するものは案外難しいです。
「簡単そうに見える英語ほど奥深いものが多い」ー 英語を勉強していて痛感する毎日です…。