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洋画のワンシーンから使える表現をいくつか掘り下げてみました。【パート5】

今回取り上げるのは、映画「リメンバー・ミー」の最後のシーンです。ミゲルが死者の国から自宅へと急いで帰り、曽祖母のココに実の父親であるヘクターを思い出させようとする場面です。

ミゲル: Mama Coco, please! Don't forget him. (ココ、お願い。彼を忘れないで)

エレナ: What are you doing to that poor
woman? (ココに何してるのさ?

ミゲルの父親: What's gotten into you?  I thought I'd lost you, Miguel. (なんのマネだ?心配したぞ)

ミゲル: I'm sorry, Papa. (ごめんなさい)

ミゲルの母親: We're all together now.  That’s what matters. (みんなそろった。もう大丈夫よ)

ミゲル: Not all of us. (みんなじゃない)

エレナ: It's okay, Mamita. Miguel, you apologize to your Mama Coco. (何でもないわ。ミゲル、ママ・ココに謝りなさい)

ミゲル: Mama Coco? (ママ・ココ)

エレナ: Well? Apologize! (謝るんだよ)

映画「リメンバー・ミー」


What's gotten into you?「なんのマネだ?」

= What has gotten into you? です。get into ... = enter into...「…に入る」なので、直訳は「何があなたの中に入ってしまったんだ?」です。

この日本語からも、「何かがあなたの心の中に入り込んでしまった」という意味が伝わってきます。

そこから、普通とは違う行動をとった人に対して「どうしてそんなことをしたんだ?」と、驚きと時には非難が入り混じった質問になっています。

「どうしたんだ?」という英語は、

What (has) happened to you? や What was wrong with you?

が真っ先に思い浮かぶのではないでしょうか。もちろんこれらの表現でも問題ないのですが、「その人らしくない」行動に戸惑ったり驚いた場合、What’s gotten into you? がピッタリです。

私も happened か wrong のどちらか二択だったので、この What’s gotten into you? も状況によっては使っていきたいと思っています。

でも字幕の「なんのマネだ?」は素晴らしい日本語訳だと思いませんか?その人らしくない行動をとった時に非難を込めて「なんのマネだ?」と確かに言いますよね。でもパッと浮かばない日本語です。


② I thought I'd lost you.「心配したぞ」(= I thought I had lost you. )

字幕はかなりの意訳で、直訳は「お前を失ってしまったのではと思った」です。
お前とはミゲルのことで、ミゲルの父親はミゲルが突然いなくなってしまったことに「ミゲルを失ってしまった」=「どこかに行ってしまって戻ってこない」と心配していたのです。

この表現を取り上げたのは、単に誰かがいなくなってしまったという意味だけでなく、カッとなって言った言葉で相手を不快にさせてしまった時に、I thought I’d lost you. と言うと、

「君との関係は終わってしまったと思った」

という意味になります。(実際は考え過ぎだったのですが)

実際は思い込みに過ぎないのですが、その時はもうその人との関係が悪くなったと思い、もう会ってくれないのではと考えてしまうことってありますよね。後でそうではなかったことがわかった時に I thought I’d lost you. がピッタリの表現です。


③ That’s what matters. (もう大丈夫よ)

That は手前の “We're all together now,”(今家族が皆揃っている)を指し、matter = to be important (大切である)の意味があるので、全体の意味は「家族が皆揃うことが大切なことだ」となります。( what ... は「…すること」です。)

ここでのポイントは “matter” が「大切である」という意味を持つことです。matter は通常名詞で「事柄」「問題」という意味で使われますが、「焦点が当たっていること」から「大切である」という意味が生じます。例えば、

That’s a matter of life and death.「それは生きるか死ぬかの問題だ」

The matter under discussion is how we can help him.「議論になっている事柄は、どうやって彼を助けることができるかということだ」

のような文から matter の「大切さ」が伝わってくると思います。

That’s what matters. は That’s what is important. と書き換えることができますが、That’s what matters. の方がより感情的に訴え、強調する表現です。「リメンバー・ミー」でミゲルの母親が言った That’s what matters. では「家族が皆揃うことは何よりも大切だと」と心を込めて言っているのです。

それに対して That’s what is important. は、「別のものと比べながら、〇〇がより大切だ」ということを表しています。

この違いがわかると、ミゲルの母親が matter を含む表現を使った理由がわかるのではないでしょうか。

この matter は次のように簡潔に使われることもよくあります。

It doesn’t matter.「重要じゃない」「どうでもいい」
Does it matter?「それって重要?」
It matters.「それ重要だよ」

ちなみに、That’s what counts. という表現もあり、That’s what matters. と同義語です。

Keeeping studying English is what matters!   See you soon!

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