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簡単な英語だけれど奥が深い “I can live with …” と、少し使いづらい “ruin” という語を洋画で見つけ、深掘りしてみました。


『アナと雪の女王』ー アナのせいで自分のソリがなくなってしまったクリストフが愛馬(スベン)とやりとりするシーン。( スベンはしゃべれないので実際はクリストフが一人二役をしている)

アナ: And I understand if you don’t want to help me anymore. ( もう私のことなど手助けしたくないわよね )

< ここからはクリストフと愛馬スベンの会話>

クリストフ: Of course I don't wanna help her anymore. In fact, this whole thing has ruined me for helping anyone ever again. ( もちろん手助けしたくない。僕はもう二度と誰も手助けしないぞ )

スベン: But she'll die on her own! ( “彼女死んじゃうよ“ )

クリストフ: I can live with that. ( 知ったことか )

スベン: But you won't get your new sled if she's dead. ( “死んだら新しいソリをもらえない” )

映画「アナと雪の女王」


今回取り上げたいのは、 I can live with that. と ruin の2つの表現です。

I can live with that.「知ったことか」

このような簡単な語句しか使っていないのに、奥が深くて使い勝手のいい表現は、個人的に大好きですね。

直訳は「私はそれと一緒に暮らしていくことができる」です。「それ」というのは、上のセリフでは、アナが死んでしまうかもしれないということですが、もしそうなっても「僕は暮らしていける」、すなわち「僕は大丈だよ」という意味になります。

セリフの字幕「知ったことか」も名訳ですね。思いつきそうで思いつかないです。

他にも、

「それでいいよ」
「それで我慢するよ」
「それで構わないよ」

など、「理想的ではないけれども、受け入れられる」 というニュアンスを含んでいる表現が I can live with that. です。

もちろん、I can put up with that.  /  I can accept that.  /  I can deal with that. などと言ってもいいですが、big words を使っていない I can live with that. が個人的に一番気に入っています。

逆に、I can’t live with that. は「とうてい受け入れられないね」や「我慢できない」と言った意味で使えます

I can live with that. ー こんな表現を口からすぐに出てきるようにしておきたいですね。

ruin ( 台無しにする )

The heavy rain ruined our picnic.「大雨が私たちのピクニックを台無しにした」

で、ruin は「...を台無しにする」という動詞ですが、クリストフのセリフで使われている

this whole thing has ruined me for helping anyone ever again.

の ruin は ruin (人) for ... で少しわかりづらくなっています。

直訳は「この全てのこと ( this whole thing ) は他の誰でも再び手助けすることに対して、私をダメにした」です。

この this whole thing は、ここでは「アナのせいで大金をはたいて買ったソリが一瞬で使えなくなった」ことを指します。

ですから、言いたいのは「こんな酷いことされると、アナだけでなく、他の誰でも手助けする気が失せてしまった」ということです。

そこから「僕はもう二度と誰も手助けしないぞ」という字幕になっているのです。

ruin を使ったワンランク上の英語表現ですが、こいういった表現を覚えておくと、表現と理解の幅が広がります。

字幕は意訳が全てと言ってもいいくらい意訳が多いので、英語字幕と日本語字幕がすぐにマッチングしないことも多いと思います。

ですから大切なことは、まずはセリフの英語を直訳してそこから「何が言いたいのか」を考えていくことです。

そうすることによって、英語、日本語両方をより深く理解できるようになります。また、字幕以外のもっとよさそうな日本語も思いつくかもしれません。

I feel a little tired. so I need to take a break...   See you soon.

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