荒川区立第一日暮里小の図書館のヒミツ
図書館は「一日小」の宝箱
荒川区立第一日暮里小学校、通称「一日小(いちにちしょう)」は下町のど真ん中、山手線西日暮里駅近くにある。
「このあたりは、おじいちゃん・おばあちゃんと住んでいる子が多くて、あったかい雰囲気なんだよ」そう教えてくれた白井一之校長は、本と算数とピアノが好きな優しい先生だ。
創立135周年を迎えた「一日小」は、たたずまいも先生方も温かく、居心地のよい学校だった。特に印象的だったのは、学校中にある本棚。
玄関や廊下、体育館前など、いたるところに季節やテーマごとに本がおかれている。
梅雨の時期には雨の本を
先生方から新入生におすすめの本を紹介
読書旬間には、学校中の教室や廊下で「どこでも読書」という読み聞かせイベントを行っている。事前にタイトルだけが発表され、どの先生のおすすめの本なのかはヒミツ。子どもたちは好きな本を選びながら、学校中をかけまわる。
本が大好きなブックロウくん
壁や掲示板には、たくさんのかわいいフクロウが。読書推進のキャラクターだったが、今では学校のマスコットになったブックロウくんだ。
本を大切そうにかかえるブックロウくん
ブックメニューを給食に
授業でも本に触れ合う機会は多い。
4年生の総合の時間では、ブックメニュー(物語に出てくる料理)をもとに、給食の献立を考えた。代表に選ばれた子どもの料理は、給食で実際に食べることができる。
どんな食べ物なのかをじっくり想像することで、読書がもっと楽しくなる。
『うわさのズッコケ株式会社』に出てくるズッコケラーメンも大好評
心と知恵を育てる2つの図書館
「一日小」には、図書館が2つある。
1つ目は、読み物や絵本などの物語を通じて、心を育てる「ハートの図書館(ブックランド)」だ。ゾロリなどの読み物はここにある。
図書館前のハートの木に感想を書く。
2つ目は、調べる学習のための「知恵の図書館(メディアランド)」
知恵の図書館には、調べる学習の進め方が掲示されている。また、棚には卒業生たちの作品も集められていて、まとめ方を迷ったときに参考になる。
また、1年生は土曜授業のときに、「親子で調べる学習」をおこなっている。それ以降も、司書教諭の瀬間先生が担任の先生と司書さんをつなぎ、定期的に子どもたちに調べる学習の方法を指導しているのだ。
調べる学習の課題は、地域のものや課題を扱うこともあり、先生・保護者・地域が一丸となり、子どもたちの探求学習を支えている。
「三河島菜」は地元の野菜。1~6年までの学習記録は1つのファイルに。
読書が大好きな子どもたちを育てる
読書活動への熱心な取り組みは、学校が目指す3つの児童像にも表れている。①本が大好き ②みんなに伝えよう ③いっぱい発見
本を読んだり、人と触れ合ったりしながら、自ら課題を発見し、調べたことを大好きな友達に伝える。そのような心と知恵が、先の見えない未来を生き抜く子どもたちには、不可欠である。
「一日小」では、温かい先生方のさまざまな工夫により、ブックロウくん顔負けの、本好きな子どもたちが育っている。
左から、学校司書の野崎さん、白井校長、司書教諭の瀬間先生
※緊急事態宣言解除後、ウイルス対策を行い取材させていただきました。
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