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大好きなあの人に贈りたい絵本 ー編集者オススメの本

大人のあなたに届けたい、珠玉の絵本をあつめました。美しい絵とともに、心温まるメッセージも届けられるのが絵本の素敵なところ。大事なあの人に心をこめて送ってみませんか? 


おとぎ話のような、美しく切ない愛の物語
バンビと小鳥

(作・樋上公美子)

その娘はバンビとよばれていました。いつも、美しい鹿皮のスカートをはいていたからです。そのスカートはバンビをやさしくつつみこみ、どこからがスカートで、どこまでが自分なのか、わからないくらいでした――。


「鹿皮の香りのあとを、どこまでも追いかけて行きたい。たとえ二度と戻ってこられないと、わかっていても」(作家・小川洋子)

(帯コメントより)


作者の樋上公美子さんは、書籍の挿画のほか、チョコレートで人気のテオブロマのパッケージイラストも手掛けられている画家。
幻想的で優美な世界を描き、見る人の心をたちまち独自の世界へといざないます。
森の奥へと導かれていくバンビのように、絵本の中へ迷い込んでみませんか?

ふたりで過ごす時間のいとしさを感じられる絵本
「きみはほんとうにステキだね」

(作・絵 宮西達也)

 父と子の愛、母と子の愛、友情など、さまざまな愛を描く「ティラノサウルス」シリーズ(作・絵 宮西達也)の中でも、ひときわ心がふるえるような友情を描く物語があります。『きみはほんとうにステキだね』(宮西達也/作・絵)です。

主人公は、あばれんぼうで、きらわれ者で、ずっとひとりで生きてきたティラノサウルスです。

ある日、海におちておぼれかけたときに、心やさしいエラスモサウルスに助けられます。
生まれてはじめて「ありがとう」とつぶやいたとき、ティラノサウルスの心がぽっとあたたかくなりました。
「ともだちがいない」と、さみしそうに言うエラスモサウルスに、ティラノサウルスは思わず「ともだちになってやる」というのですが……。
ティラノサウルスは、自分が陸で恐れられているティラノサウルスだとうちあけるこができません。
うそをついたまま、ふたりは仲よくなるのですが……。

このページは見るたびに、映画のワンシーンのようで、心がきゅんとします。
しあわせな時間をすごしていたふたりですが、エラスモサウルスが海のあばれ者の恐竜におそわれて大けがをしてしまいます。
やっとの思いでティラノサウルスのもとへやってきたエラスモサウルスをだきあげると、ティラノサウススは泣きながら自分の正体をうちあけます「……目をあけてよ。おれには、おまえしか友達がいないんだ。ほんとうのおれは、うそつきで、いじわるで、あばれんぼうのティラノサウルスなんだ!……」
すると、エラスモサウルスはほほえんで言うのです。「ほんとうのきみは、こんなにやさしい……ぼくのたったひとりのステキなともだちさ……」


他の人がどんなふうに思っていたとしても、たったひとりだったとしても、自分にとってたいせつな人、想い合える人がいることの幸せや、ぬくもりに気づかされます。

だれかを思うと優しくなれる。だれかを思うと強くなれる。だいすきな人と読みたい絵本です。



世界でいちばん美しい日を、大好きな人へ
ちいさなまち

(ふじたしんさく/そうえん社)

あるはれた、冬の日のひるさがり。
お兄ちゃんがちいさな妹に、
「さんぽにいこう」と声をかけます。

ふたりは手をつないで、水辺の道を進みます。

ページをめくるたびに水の表情が変わります。
水の中に、もうひとつの世界、もうひとつの物語が紡がれているよう。

この絵本は、宮部みゆき、スティーブン・キングらの作品、江戸川乱歩やルパンのシリーズの装画などでみなさんご存じの藤田新策さんが手がけた絵本。
小説作品の装画と同じように、この絵本でも、文字で語られるだけでない物語世界を、絵で多層的に見せてくれます。

さて、なかのいいお兄ちゃんと妹のふたりのおさんぽもそろそろおしまい。

そこには、あなたが大好きなあの人にこの絵本を贈りたくなるとてもすてきなしかけがあります。それは、本を読んでのお楽しみ。


★この記事で紹介した絵本★