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夏休みが終わって、悩みや不安を抱えるあなたへ。私たちの背中をおしてくれた本の一節をとどけます。

本を読んでいると、苦しい時や悲しい時にそっと背中をおしてくれる言葉に出会うことがあります。ままならない状況に心が押しつぶされそうなあなたや、新学期を迎えるのがつらいあなたに、私たちこどもの本編集部が出会った言葉が寄り添ってくれますように。

     

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「いいんだよ。ねずみは、ねずみ一ぴきぶん、きつねは、きつね一ぴきぶん、はたらくのさ。だれのなんびきぶんなんかじゃないんだよ。

おとうさんはくまだから、くまの一ぴきぶん。ウーフなら、くまの子一ぴきぶんさ。みんなが一ぴきぶん、しっかりはたらけばいいんだ。や、にじがむこうの上までかかったよ。」
(中略)
まっさおな空にかかったにじの色は、いままでに見たどのにじよりも、くっきりとうつくしく見えました。

にじも、にじ一本ぶん、いっしょうけんめいかかっているように見えました。


ーー『くまの子ウーフ』くま一ぴきぶんは ねずみ百ぴきぶんか(作/神沢利子 絵/井上洋介)より 


日常生活の中、つい他人と自分を比べてしまい気持ちが晴れない日も。でも、ウーフのお父さんの言葉を思い出すと、その力強い信念と周りを包み込む優しさに勇気づけられました。
(文・小堺加奈子)

      

       

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だってパンは、平等な食べものなんだもの。
道端でも公園でも、どこでだって食べられる。
囲むべき食卓がなくても、誰が隣にいなくても、平気でかじりつける。
おいしいパンは、誰にでも平等においしいだけなんだもの。


ーー『真夜中のパン屋さん 午前0時のレシピ』(著/大沼紀子)より


おいしい物を口にしたときの喜びは、老若男女みんないっしょ。
作中では少し悲しいせりふとして登場しましたが、このせりふを発した美和子の強さと、パンのように身近な物の中にも、喜びや安心を見出すきっかけはあるのだなと感じられて、大好きなせりふです。
(文・上野萌)

       

       

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「それにね、あんまり近くにいすぎると、相手のことが好きなのかきらいなのか、わからなくなっちゃうっていうことも、あると思う。好きときらいって、とてもよく似ているの」

ーーー『トリコロールをさがして』(作/戸森しるこ 絵/結布)より


大人になっても悩む人間関係。でも子供のころから比べたら随分と空気を読むのがうまくなったなぁと思うこともあります。「ちょっと言いすぎちゃったのかも…」そんなとき、ふと思い浮かぶこのセリフが、少しだけ自分を見つめ直す時間をくれるような気がします。
(文・宮尾るり)

         

        

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たしかに、転んだらけがをするかもしれないし、なれるまでは立ちあがるのもひと苦労です。でも、転んだら起きあがればいいし、ひとりで起きあがれるようになるのもまた、練習のひとつなのです。
(中略)
「転んでも、大丈夫」
そう思えるようになると、走りだす勇気がわいてきます。

ーー『転んでも、大丈夫 ぼくが義足を作る理由』(著/臼井二美男)より

いつの間にか、「失敗したらおしまいだ」と、自分をしばりつけてしまうことがあります。起きあがるのも練習のひとつ。この一節に、何度も挑戦する勇気をもらっています。
(文・小林夏子)

    
    
     

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「こころちゃん」
 喜多嶋先生が言う。泣き止んだこころに、とても優しく。
「闘わなくても、いいよ」と。


ーー『かがみの孤城』(著/辻村深月)より

「闘わなくていい」という選択肢があること。闘っていることを、誰かが知っていてくれること。いつも心の中に置いておきたい、お守りのような言葉です。
(文・齋藤侑太)    
    
     
    
    

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ねずみくんは たずねました

きみは そらを とべるかい?
きみは きのぼり できるかい?
きみは はなが ながいかい?
きみは くびが ながいかい?
きみは たかく とべるかい?
きみは ちからが つよいかい?

あしかくんは こたえました

どれも ぼくには できないや……
でも ひとつ
とくいな ことが ある


ーー『りんごがたべたい ねずみくん』(作/なかえよしを 絵/上野紀子)より


ぜんぶできなくたっていい。大したことでなくてもいい。それなら、できることは1つくらいあるはず…この絵本を読むと、いつもそう勇気づけられます。
(文・富山なつき)
  
   
    
     

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