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祝!料理レシピ本大賞エッセイ賞受賞!平野レミさん『おいしい子育て』ができるまで

こんにちは。一般書企画編集部の辻です。

編集を担当した平野レミさんの『おいしい子育て』が料理レシピ本大賞2022のエッセイ賞を受賞しました! すごくうれしいです! 

というのも『おいしい子育て』を会社の企画会議に出したときから、「今度こそ料理レシピ本大賞のエッセイ賞を取ります」と言い続けていて、2度目の挑戦にしてやっと受賞できたからです。(じつは昨年、レミさんのエッセイ『家族の味』もエントリーしていたのですが、最終選考まで残るも受賞はできませんでした)

エッセイ賞受賞の連絡をいただいてから、
注文書を作り直して、重版数を決めて、出荷の手配をして、新しい拡材の準備をして……。

授賞式に向けてリリースを作って、PRTIMESを書いて、SNS担当者にツイートのお願いをして、レミさんとの連絡もしっかりとって……

これでばっちり! なんて思っていました。
(ぼくは編集と営業の兼務なので、『おいしい子育て』の営業担当でもあります)

でも、ばっちりじゃなかった。
先輩の森さんがぼくの席にやってきて一言。

「辻くん、note書こう。今回は書こう」

noteを書くのを忘れていました。(ぼくはnoteを書く書く詐欺の常習犯です)
ということで、『おいしい子育て』がどうやってできあがったかを紹介しようと思います。
※長いです!

『おいしい子育て』を語る前に、説明しなきゃいけないのが『家族の味』という本です。

『家族の味』 平野レミ 著 / 和田誠 絵

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はじめて料理を作った思い出から、和田誠さんとのなれそめや子育て方針まで、家族と料理への愛情がぎゅっと詰まったエッセイ集。オリジナルレシピ29品も収録。

2007年刊行の新書『笑ってお料理』を大幅に加筆修正し、書籍未収録原稿を収録の上、タイトル・判型・デザインをリニューアル。巻末に和田誠さんとの対談と、阿川佐和子さんと清水ミチコさんとの鼎談も収録。帯の推薦文も阿川佐和子さんと清水ミチコさんにいただきました。

この『家族の味』の続編となる本が『おいしい子育て』です。

『おいしい子育て』 平野レミ 著 / 和田誠 絵

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ふたりの息子さんとの思い出から、育児と仕事との付き合い方や料理哲学まで、子育てと料理の喜びがたっぷり詰まったエッセイ集。オリジナルレシピ47品も収録。

レミさんの25年前の本をリニューアル

『おいしい子育て』は1997年に刊行された『笑顔がごちそう』という本がベースとなっています。

『笑顔がごちそう』はいわゆる「レシピ本」の作り。料理の写真も豊富に入っていて、そこにエッセイがサブ的に入っているという本でした。

ぼくがすごくいいなと思ったのは、このエッセイでした。
そこには「子育てと料理」という明確なテーマがあり、『家族の味』に続く2巻目の内容としてぴったりでした。元の本ではサブ的な扱いだったエッセイをメインに据えて、本のリニューアルを進めていこうと思いました。

『おいしい子育て』ができるまで

〇テーマがわかるタイトルに
今回のテーマは「子育てと料理のエッセイ」。
このテーマが感じられて、『家族の味』に続くシリーズ2巻目とわかるようなタイトルをつけたいという気持ちがありました。

さいしょに思いついたのは…

「子育ての隠し味」、「子育ての面白味」、「子育ての醍醐味」、「子育ての調味料」……

なんだか最後に「味」をつけることにこだわりすぎてる?
別の案も考えてみました。

「母の味わい」、「子育ての味わい」、「おいしい子育て」……

ちょっと渋いけど、わりとよいかも……!

この中から、「子育ての隠し味」「母の味わい」「おいしい子育て」の3本のタイトルに絞り、レミさんにご相談するため事務所まで伺いました。

レミさんは「『おいしい子育て』がいいね」と即答。こうしてタイトルが決定しました。


「これ、おいしくないから外しちゃおう」 レシピとエッセイは大胆に修正!
本の奥付には「大幅に加筆修正」と記載がありますが、本当に大幅に加筆修正をしています。

元になった本では、レシピ→エッセイの順番になっていたのを、エッセイ→レシピの順に直しました。エッセイとレシピはなるべく関連するものを近くに配置して、レシピ自体の順番も大胆に入れ替えました。

レシピの内容はほぼすべて、いまの時代に合わせてレミさんに修正していただきました。
レミさんが実際に作ってみて「これ、あんまりおいしくなかったから外しちゃおう」なんて削除したレシピもあります。新しいレシピも数点入っています。


〇「レミさんと上野樹里さんと和田明日香さんの鼎談記事」を追加
巻末には、レミさんと上野樹里さんと和田明日香さんの鼎談記事を収録しています。

『おいしい子育て』のエッセイは、レミさんと幼少期のふたりの息子さん(和田唱さんと和田率さん)との思い出を綴ったもの。そのふたりの息子さんたちの奥様である、樹里さんと明日香さんとの鼎談で本を締めくくるというのは理想的な構成!
こんなにふさわしい追加原稿はほかにないよ!と見つけたときは興奮しました。

この鼎談記事のほかに、レミさんの書籍未収録のエッセイも1本加えることに。
これで本としてばっちりなボリュームになりました。

〇長男・和田唱さんに推薦文を依頼
帯の推薦文は長男の和田唱さんにお願いすることにしました。

ぼくはレミさんの『ド・レミの子守歌』(中公文庫)という本が大好きで、その解説は唱さんによるもの。それがまた名文なんです。いつかレミさんの本に、何かしらの形で唱さんにご協力いただきたいと思っていたのです。

46歳になった僕は、おかげさまで心も体も超元気。
もし子供の頃の「基礎」によるものが大きいとすれば、
ここにヒントがたくさん載ってます。
――和田唱(長男・TRICERATOPS)

こんな素敵な推薦文をいただくことができました!


〇なんとしても和田誠さんにイラストを使いたい!
本の装丁にもこだわりました。
本の作りを『家族の味』と合わせたかったため、なんとしても和田誠さんのイラストを本に入れたかったんです。企画の意図をレミさん、和田誠事務所さんにご説明し、イラストの使用を特別にご許可していただきました。

レシピやエッセイと合わせて和田誠さんのイラストを当てはめていくのはなかなか大変な作業でした。がんばったかいもあってか、「この本のために和田誠さんがイラスト描いたみたい」と言ってくださる方もいらっしゃいました。

ぼくのおすすめは3点のレミさんの似顔絵。どれもかわいくて、和田誠さんの愛情が表れている気がします。

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〇「和田誠さんが感じられるデザインを」
『家族の味』に続き、デザインは川名潤さんにご依頼しました。

じつは『家族の味』の刊行時、レミさんと約束したことがあったのです。
それは、和田誠さんのイラストをカバーに使うならば、「和田さんが感じられるデザインにしてほしい」という約束でした。

この約束を守るため、デザイナーさんをどなたにするか、当時すごく悩みました。
そんなとき、川名潤さんの対談記事を見つけました。雑誌『イラストレーション』の2020年6月号「特集・和田誠」に掲載されていたものでした。

川名さんなら間違いない! そう確信しました。

デザインを依頼するときはレミさんとの約束を正直にお伝えしました。
「和田誠さんが感じられるようなデザインを……」という、ふつうならありえないお願いを川名さんは真摯に受け止めてくだり、和田誠さんに最大限のリスペクトを込めてデザインしてくださいました。

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『家族の味』も『おいしい子育て』も、最高の佇まい!
ぼくが店頭でこの本を見つけたら絶対買います。めちゃくちゃ気に入っています。

こうして、レミさんのエッセイに、和田誠さんのイラスト、レミさんと上野樹里さんと和田明日香さんの鼎談記事、和田唱さんの推薦文を加えてリニューアルした本ができあがりました。「和田家総動員」の1冊です。


店頭で少しでも目立つために…

冒頭でも触れた通り、ぼくは編集と営業を兼務しています。
だからポップを作るのもぼくの仕事です。

書店の店頭で『おいしい子育て』を少しでも目立たせるため、レミさんの似顔絵を貼り絵で作って、それをポップにしようと思いました。

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ポップの完成品はこちら。

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おそるおそるレミさんにデザインをお見せしたところ、
「似てるじゃない!!!」と満面の笑み。すごく気に入ってくださいました。
もしかしたら怒られるかも…と思っていたので、その瞬間、胸をなでおろしました笑。


長くなりましたが、『おいしい子育て』はこうやってできあがりました。
この記事を読んで、『おいしい子育て』を読んでくださる人がいたならば、それよりうれしいことはありません。心からおすすめできる1冊です。



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