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会社で「ひと棚図書室」をはじめてみた話

こんにちは、一般書通信の中の人・森です。
突然ですが、みなさん本読んでますか?
僕は読んでます。

読んではいますが、なにを読めばいいか悩むことが多々あります。だって本屋さんに行ったら面白そうな本でいっぱいで、どれを買えばいいか迷ってしまうじゃないですか。
だから「なんか本読みたいんだけど、誰かいい本教えてくれないかなあ」みたいな気持ちをずっとモヤモヤと抱えていました。

そんなある日、ひらめいたのです。
会社の人たちとオススメ本の貸し借りができるシステムがあればいいのでは?

ご存じの通り、ポプラ社は総合出版社です。
僕だけでなくみんな読書好きばかり。だから本の話をしたり本の貸し借りが活発なんだろうと思われるかもしれませんが、仕事ではともかく、プライベートの読書の話をあんまりしないんですよ(僕の周りだけかもしれませんが)。
でも、実は僕と同じような気持ちを抱えている本好きがいるんじゃないかなあ、と思いますし、そんな人たち同士でオススメ本の貸し借りが出来れば、迷わず面白い本を読むことができるし、なによりすごく楽しいのではないでしょうか。読んでドはまりしたら安心して買えますし。

というわけで、「ひと棚図書室」を始めることにしました。

個人が好きな本を並べて販売できる「一棚書店」が各地で増えていますが、あれの図書館版みたいなイメージです。
運用はこんな感じ。
図書室の場所は会社のキャビネットの棚一列。
・社内の本好き有志がオススメ本を持ち寄って蔵書として並べて、社内の人が自由に借りることができる。
・全社掲示板でコミュニティを作って、感想を共有しあったりします。

ちなみに、こういう一銭にもならないことをわりと自由にやらせてくれるのがポプラ社のいいところです。あ、仕事もしてますよ。

もちろん勝手に始めるわけにはいかないので、いろんな人に筋を通して相談しましたが、みんな快く協力してくれ、またたくまに図書室の場所が決まりました。

この一棚が図書室です

次は蔵書の募集です。
「仕事もしないでなにをしょうもないことをやってんだ……」と怒られたらどうしよう……とドキドキしながら全社メールで主旨を伝えたら、いろんな人から「おもしろそう!」と声をかけてもらい、話したことのない人が連絡をくれてたくさんの本を持ってきてくれて感動しました。
いや、ほんとポプラ社の人たちみんな優しい……。

蔵書本は受入日や所有者などをエクセルでデータ管理しています。
大切な本なので、いつ受け取ったか、返したかなどをデータとして残しておくつもりです。
この時点でもう気持ちは司書さんです。
本をお預かりする時ですら「この本いいですよね!」みたいな話で盛り上がり、やっぱ本の話っていいなあ……としみじみ。

note用に所有者名は消しています


図書館を開くなら、どうしても作りたいものがありました。
それは「蔵書票」です。
蔵書票とは、本の見返し部分に貼って、本の所有者を明らかにするための紙のことで、 外国では「エクスリブリス」とも呼ばれます。
蔵書票という存在にずっと憧れていたので、この機会に作ってみることにしました。そんなことより仕事しろって言わないで。

そして、これが社内のデザイナーさんが作ってくれた蔵書票。
ねえ! めっっっちゃかわいくないですかあ!!!

かわいいかわいいかわいい

これを用紙に印刷するとこう。

雰囲気あります

世界堂で「羊皮紙N」という紙を買って印刷してみましたが、めちゃくちゃいい感じの風合いがでました。
ちなみに「羊皮紙N」とは、かつての羊皮紙のような雰囲気を再現した紙だそうです。いろんな種類の紙をかったので、蔵書票ごとの手触りも楽しんでもらいたいです。

場所が固まり、本がそろい、蔵書票もできました。
いよいよ開架作業です。

大切な本なので、傷まないように100均のビニールカバーをかけてあげます。

ぴったりカバーがかけられると気持ちい


裏ソデには蔵書票。ビニールカバーの上に貼るので、本は傷めません。
素敵でしょ。

黒塗りのところには所有者名が入ります

本を並べて完成した図書室がこちら!
並べてあるのは蔵書の一部で、定期的に本の入れ替えを行う予定です。
貸し出す際は置いてある貸出票に記入してもらいます。

スティックのりとか置いててカッコ悪いのでモザイク掛けました

こんな感じで、「ひと棚図書室」が無事にオープンしました。
おかげさまでたくさんの人が図書室を覗いてくれていて、盛況で嬉しい限りです。
利用者が増えて蔵書も増えたら、「マンガ月間」とか「SF月間」とか、フェア月を作っても楽しいなあと思っています。

この「ひと棚図書室」という名称、たまたま「ひと」をひらがなにして告知していたんですが、編集部の人から「森君、あれすごくいい名前だね」と言われました。
「?」という顔をしていると、「一つ」と「人」をかけたんでしょ、と言われてびっくりしました。
そこまで深い意図はなかったんですが、たしかにそうかもなあと。
「人」の集積で作られる「図書室」って、なんだか素敵じゃないですか。

コロナによって在宅勤務が多くなり、会社の人たちとリアルで話す機会がぐっと減りました。ずいぶん戻ってきたとはいえ、そうした血の通った交流は以前と比べると少なくなったままです。
でも、いろんな人と話さないと何かが生まれないような気がしていますし、素敵な本を作っていくためには、本の話をしてなんぼじゃないでしょうか。
あと、「読書する人をもっと増やしたい!」と自分を含めた出版界の人間はよく言いますが、そのためには出版に携わる我々こそが読書を楽しんで、読書の話をまず率先して行うべきだとも思います。

そんな一助にもなるように、「ひと棚図書室」を育てていこうと思うので、続報にご期待くださいませ。


ポプラ社一般書通信管理人:森潤也



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