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ポップインサイト創業記(34)〜アルバイト2名が7年間も継続してくれた理由

前回に続いて、採用についてお伝えします。実はポップインサイトでは、初期に採用したアルバイトの人たちが、7年たった今でも変わらず仕事をしてくれています。今回は、そういったアルバイトの人たちとの関係を、長期に渡って良好に行うことができた秘訣を紹介します。

知り合いからの採用の限界

前回の記事(参照:(33)〜インターン生は将来の取締役)でも紹介したように、私は人を採用し始めるにあたって、まず最初に知り合いや、知り合いの紹介のルートから着手しました。しかし、知り合いを通してという形だけだと、どうしてもソースに限界があります

私も共同創業者の喜多君も、当時30歳位だったので、知り合いの大半は就職したりとか、すでに仕事を持っていました。

森川君のケースの様に、優秀な後輩にインターンとして来てもらうという線もあるものの、世間の学生の多くがベンチャー企業のインターンをしたい訳でもありません。

特に学生の場合は、卒業するとインターンが終了になってしまって1年程で辞めてしまうので、期間的な面で限定感がありました。

アルバイトのターゲットは主婦

その一方で、私が当時作りたかった体制は、ある程度経験を積んだ人が継続的に残って、ずっと安定的に働いてくれるという形でした。そして、その希望の形に一番合うのは主婦層でした

主婦で少し時間的余裕があって長期的に継続して働きたいという人に集まってもらえば、経験を積んだメンバーが安定的にユーザーテストを分析するという希望の体制を確立できる。そう考えた私は、主婦層にターゲッティングして採用を行うことにしました。

そこで、まずはアルバイト求人サイトを使って募集を始めました。主婦層に強い求人サイトに、「渋谷で働きませんか?」というメッセージを添えて募集をしたのです。そして、それに加えて、主婦層に強いアルバイトの人材紹介会社にも相談し、あわせて2つのルートでの募集を行いました。

当時、会社の売上も順調で、財務面もそこそこ黒字で安定していました。2人とか3人なら充分雇える状況だったので、2人位を採用するイメージをしていました。

採用した2人は、7年間継続してくれた

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その様な流れで募集を始めた所、まず最初に人材紹介会社のルートからKさんという女性が来てくれました。

Kさんはとても真面目そうで、充分信頼が置ける印象でした。さらに、彼女の方でも継続的に働きたいという意向を持っていて、まさに双方の希望がピッタリと合う人でした。

続いてもう1人、アルバイト求人サイトからFさんという人が応募して来てくれました。

Fさんは漫画家をしていて、コロコロコミックで読み切りを何回も掲載されている人でした。漫画家として大成する夢を持っていて、その実現に向けて生活費を稼ぐために長期的に安定して働きたい、というのが志望動機でした。Fさんも真面目そうな人柄だったし長期を希望していたので、私達とお互いのニーズがピッタリ合う人でした。

そこで、この2人の採用を決定。早速業務を担当してもらうことにしました。

実は、この2人は7年経った今も、ずっと継続して働いてくれています。アルバイトが7年間もの長い期間続くというのは、一般的に見てとても珍しい成功例だと思います。

これは、お互いの信頼関係を築くことができたからこそ成し得た成果だと思っています。


採用のポイント1:人間として信用できそうか

この様に、初期に採用したアルバイト人たちと長期に渡る信頼関係を築くことに成功することができた訳ですが、成功要因を振り返ると、採用の時に適切なチェックポイントを設けていた事があると思います。

当時も今も、私が採用の際にポイントにしている点は2つあります。1つ目は、「人間として信用できそうか」という点です。

一般的に採用時には、学歴や職歴、スキルなどの面を重視しがちです。しかし、私は人として信頼できるかどうかという点を一番重要視しています

それは、対面での面接であっても、リモートあっても同じです。実際に話してみて、人間的に嘘をつかずに、誠実で信用できそうな感じなのかどうかを見ています。

話している中で、ちゃんと信用できそうな感じがするか、言ったことを守れなさそうな感じがしないかどうか。こういった事を、これまでの自分の人生経験を総動員して感じることが最も大切だと思っています。

勿論面接は実際に会って行った方が良いのですが、リモートであってもその気になれば、そういったパーソナリティーの部分も充分読み取ることができます。

やはり、「この人は信用できる」と確信できないまま採用してしまった場合は、駄目な結果になってしまったということが多々ありました。

多少優秀であっても信用できないと一緒に仕事することはできないので、採用しても意味がありません。そもそも、口先だけで上手く乗り切っている様な感じの人とは、あまり付き合わないほうが良いと思います。

私は、常日頃から、「人が信用できるのか」、「ちゃんと約束を守れるのか」ということを見る目を養っていくことは、誰にとっても大切な事だと思います。それは、経営者であってもそうでな人にとっても重要です。ましてや、経営者にとっては必須であることは言うまでもありません。日頃からそういったセンスを養っておくことがとても大切なのです。

私の場合、その点を最初から意識してできたことが、7年以上の長期に渡ってアルバイトの方たちと良い関係を続けて来れた事に繋がったと思っています。


採用のポイント2:人生の方向性と働き方が一致しているか

2点目の採用のポイントは、「人生の方向性と働き方が一致しているか」という点です。

働く側にも当然それぞれの希望や将来のビジョンがあります。私は会社はこれを尊重して、環境を提供できるかどうかを考えていくことが、とても大切だと考えてきました。

Kさんの場合は、安定的に継続して働いていきたいという意向がありました。プライベートで歌を歌いながら、ご主人の稼ぎにプラスオンできる長期的な収入を得ていきたいという希望でした。

ユーザーテストの動画分析は、長期的に安定して仕事を提供することができます。これはどんなにAIが発達しても、省略することができない作業なので、今後も無くなることはあまり考えられません。つまり、長期的に安定して作業をしたいというKさんの希望と、会社の方向性が一致した訳です。

また、漫画家のFさんは、人の思考やニーズを分析するユーザーテストから、漫画を書くにあたって必要な人間心理が学ぶことができると。こういったインプットを得ておくことで、マンガのストーリーやキャラクターの視点を考える際に大変役立って価値があるということでした。要するに、彼女のメインである漫画家としての方向性に、仕事の方向性が完全に一致できた訳です。

このように私は、働いてくれる人たちの方向性と、会社の方向性を一致させるように努めることが、円満な雇用関係の為にとても大切だと考えてきました

彼らの望む方向性と、会社が提供できる環境と一致させ、同じようなベクトルを向くことができるのかどうか。

例えば、長期で働きたいと希望しているのに、「こちらは1ヶ月でだけでいいんですよね」とか、「作業が終わったらなるべく早くやめて欲しい」と一方的に押し付けるのは良くないと思うのです。

また、「漫画家として色んな人間心理のインプットが得たい」と希望してるのに、全然関係ないルーティンワークをずっとやってもらうというのも、私は良くないと考えます。

例え100%完全には合わせられなくても、お互いのベクトルをできる限り合わせて行くことが重要です。1人1人のストーリーと会社のストーリーが合うかどうかをしっかりと考えて取り組んでいく事がとても大切なポイントだと、そう強く意識してきました。

そして、こういった事を重要視して取り組んできたことが、アルバイトの方々と長い間に渡って良好な関係を持続できた秘訣だと思っています。

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