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【テレワークの問題解決&回避の決定版】リモートで揉めないためのルール作り3つの視点

“リモート起業家”の私がテレワークで活躍する秘訣をお伝えする「リモート仕事術」シリーズ。今回は「リモートで揉めないためのルール作り3つの視点」と題してお伝えします。

私はこれまで7社を起業し、今も数社を起業準備しています。これまで2013年に起業した1社目が、2016年にフルリモートワーク化して全国採用・全国雇用になりました。それをきっかけに人も増え、業績も伸び、一部上場企業のグループ化を果たし、それまでの経験を基に本も出版した・・・みたいな華々しく見える経歴を語っていますが、実際にはそんなに上手くいったかと言うと、最初はとても酷かったのです。

2016年にフルリモートワーク化した頃には、アルバイトを除く正規雇用が7人いたのですが、大半が辞めてしまい、残ったのはたった2人・・・そういった苦節の時期を経た上で、色々な直面する課題に対して改善や努力を重ねていった結果なんとか上手くいった、というのが正直な所です。

しかし、毎回そういった局面がありつつも、乗り越えて軌道に乗せてこれた訳ですが、上手く行けた取り組みの中で、特に重要なポイントだったと思うのは「ルール作り」です。ルール作りというと自由が束縛されるみたいな感じで、嫌な印象を持つ方も多いかも知れません。

私もやはり自分で起業して行くような自由系の人間なので、本来ルールとかは嫌いです。ところが、リモートで組織を上手くマネジメントしようと思うと、明文化したルールを作るのは大変重要になります。なぜなら、リモートでは「空気を読む」ということがすごく難しいからです。 

皆がオフィスに出社していれば、別にわざわざルールを作らなかったとしても、お互いに空気感を察して「こんなことはしてはいけないよね」「これは良いんだよね」という合意が取りやすい訳ですが、物理的距離が離れているリモートではそうはいきません。

ですので、リモート環境では、きちんと言語化して、「この組織においてはこういうことをやっていきましょう」「これは止めましょう」ということが伝わるためのルールを作っていかないと上手く回らないのです。 

それぞれ人によって生きてきた経歴も違えば、考え方、感覚も全然違うので、言語化されていないと、Aさんはこう思う、しかしBさんはこう思うという感じでズレていき、お互いに不満をいだいて衝突してしまいます。 これを防ぐために、ルールを作るというのは非常に重要な取り組みになります。

今回は、これまでの私の経験を踏まえて、どの様にルールを作ればリモートで揉めなくすることができるのか、その3つのポイントを紹介したいと思います。ぜひ皆様のビジネスシーンにお役立て頂ければ幸いです。

▼今回の内容は以下の動画でもご覧頂けます。ぜひご覧ください!

1.カルチャー(行動指針・基本的考え方など)を作る

リモートで揉めないための2つの基本ルール
1.「発信」
2.「反応」

1つ目のポイントは「カルチャーを作る」ことです。「カルチャー」というと言葉は難しいのですが、要するに「行動指針」であったり、この「基本的な考え方」を作るということです。 

例えば、家のルールであれば、「食べ残しはしない」であったり、「毎朝勉強しましょう」といった超基礎レベルのルールをまずはざっくりと作っていく。これを最初に行うのがとても重要です。 

私の会社では、リモートで揉めないために2つ基本ルールを設定していました。

●リモートで揉めないためのルール1:「発信」

1つ目は「発信」です。 リモートだとお互い状況が全然分かりません。ですので、「自分を表現」という文言で、「自分がどんな状況でどんな仕事をしているのか」「今どういうステータスにあるのか」「良かったこと」「悪かったこと」・・・こういったことをきちんと発信していこうということを1つの根本的なルールにしていました。 

リモートでは発信しなかったら分かる訳が無い、発信しない方が悪いということで、積極的に「発信」することが一個目のルールだった訳です。

●リモートで揉めないためのルール2:「反応」

2つ目は「反応」です。 

「発信したものに対してきちんと明確に反応しないと、見ているかどうかもどう感じていたかも分かりませんよね?」

「チャットの既読スルーは、対面の場面ですれ違って会釈したのに無視したのと一緒ぐらい失礼なことですよ」

・・・こういった言葉で、反応することが物凄く重要だということを伝えて徹底していました。

この「発信」と「反応」が両輪で、コミュニケーションがリモートでも活性化し状況もわかり、スムーズになっていく、そう考えて、この2つを物凄く重要なルールとして明文化し、朝会などで毎回ひたすら言い続けました。

当然これを言ってるだけですぐに徹底するわけでは全くないので、ずっと言い続けることが大切でした。入社前に伝え、入社しても伝え、毎朝毎週の朝会でも伝え、ずーっと言い続けるようにしていました。

2.報告や相談のルールを作る

プレゼンテーション1

こういったカルチャーを作った上で2つ目に重要になってくるのは、「報告や相談のルールを作る」ということです。ここでいうルールとは、コミュニケーションの“具体的”なルールです。 

発信と反応、などのカルチャーがあったとしても、やはりそれをどういうふうに具体化していくかというのは、メンバーによっても組織によっても全然違います。 個々人の感性に任せていくと齟齬が出てしまいます。そこでこれを具体的にルール化していくというのが2つ目の重要なポイントになります。

具体的なルール化する上で、検討する観点としては、例えば「レスの速さをなるべく即レスにしよう」、もしくは反対に、「集中が必要なので、レスポンスは1日に1回にしよう」などがあります。

この即レスの良し悪しは、まるで神学論争の様に「即レスが良い派」と「即レス不要派」で分かれがちなのですが、あらゆる組織においての共通の正解はありません。だから、チーム単位や組織単位で、自分たちにはどちらが良いのかを検討して決めることが大切なのです。

これが決まっていないと、即レス派の人はレスが遅い人に腹が立ってしまうし、集中派の人は即レスを求める人に腹が立ってしまう。つまりトラブルが起こってしまう訳です。しかし、決めてさえおけば、何ら問題にならないことなので、ぜひとも決めておくことが大切です。

また、別の検討ポイントの例として、「文章をどれぐらい硬くするのか」といった点もあります。きちんとした文章でやりとりしたい組織もあれば、カジュアルな雰囲気にしたい組織もあって、これも感性や求めるところが違うので、ある程度ルールを決めて文章化、明文化しておくと後で気まずいトラブルが起こりません。

また、報告相談の頻度も検討ポイントでしょう。日報ぐらいの頻度で良いのか、週報で良いのか、もしくは、なるべくリアルタイムに報告、共有しようということで「分報」を推奨するのか、これも決めさえすれば解決する問題です。

組織によっては、なるべくリアルタイムに報連相して欲しいというケースもありますし、組織によっては日報とか週報でまとめたいというケースもあります。しかしルール化されていないからぶつかるだけなので、ぜひルールを決めておきましょう。

これらは、最初から決めておくことがベターですが、揉め始めたり違和感が出た時に考えればそれで充分だと思います。ある程度土台があった上で、不都合が出てきたら現状ベストな形を検討するという形でも良いでしょう。

3.会議体(コミュニケーションを取る機会)を設定する

プレゼンテーション1

そして3つ目のポイントは、「会議体(=コミュニケーションを取る機会)をルールとして作る」ということです。

これもすごく重要なポイントです。 例えば、以下のような定期的なコミュニケーションの機会をルールとして設けるようにしましょう。

・チーム単位で集まる朝会や夕会
・プロジェクト単位で集まる定例会
・上司と部下の1on1
・メンバー同士の相互1on1

どんなに文化のルール作りをしたり、具体的な細かいルールを作っても、なかなか全部網羅できるないですし、お互いに不満が溜まったり、「違うな」と感じる瞬間があります。

そういったケースに備えて、普段から心理的安全性を構築しつつ報連相し合えて、建設的に議論をできる場として、定期的にZoomなどを使ってリアルタイムで話す場を設けておくことが重要です。 

これがチャットやメールの文章コミュニケーションだけになると、相談もしづらいし、言い方がキツくなったりして、また揉めてしまいます。口頭で言えば全然問題無いのに、メールで余計な一言を言ったが故に嫌な関係性になってしまうといった事はよくあります。

そこで、きちんと時間を同期して集まる機会、できればチームなら毎日、1対1でも週1~2回のコミュニケーションの場が取れれば、トラブルを格段に防止できると思います。

今回のおさらい

リモートで揉めないルール作りの3つの視点
1.カルチャー(行動指針・基本的考え方など)を作る
2.報告や相談のルールを作る
3.会議体(コミュニケーションを取る機会)を設定する

ということで、今回は「リモートで揉めないためのルール作り3つの視点」というテーマでお話をしました。 

1つ目のポイントは「カルチャーを作る」でした。何を大事にするのか、私の会社の場合は「発信」と「反応」の2つを重要視していましたが、まずは組織のコミュニケーションの土台を整理して行くことが大切です。

2つ目のポイントは、このカルチャーの土台がある上で、「具体的なルール」を作るということでした。

土台だけではやはりどんなに決めたとしても人によって感覚が違い、現実的に進めて行けないので、そこを進めるためのルールを作って行きましょう。

一旦ルールを作ったとしても、全部が解消できるとも限らないので、定期的にルールを追加したり、ルールを修正したり、場合によってはルールを削除するということを話し合って進めていきましょう。

3つ目のポイントは、「会議体=コミュニケーションの機会」を作りましょうということでした。カルチャーとルールの2つの土台の上に、実際にコミュニケーションを取る場をルールとして設定して、定期的に実践することが大切です。

そしてこれらを進める上で重要なのは、こういったことをお互いに話し合いながら良い形を模索して行くということだと思います。こういう環境が作れると、すごく建設的で良いチームが作れて、揉めたりトラブルことが激減できます。

「リモート化した結果、チームが少しギクシャクしているんだよね」とか「コミュニケーションが上手くいかないんだよね」という組織がありましたら、ぜひ今回紹介したポイントを1つからでも採り入れて頂ければと思います。きっとすぐに好転したことを実感して頂けることでしょう・・・!

それではまた、次回の「リモート仕事術」でお会いしましょう!

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▼動画版はこちらです。ぜひご覧下さい!

▼YouTubeチャンネル「テレワークで活躍する秘訣~池田朋弘のリモート仕事術」

▼テレワークで活躍したい方向けのnoteシリーズ

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