ポップインサイト創業記(53)〜3度目のオフィス移転
創業して1期目2期目を順調に乗り越えて3期目に入った2015年、3度目のオフィス移転をしました。今回はその時のエピソードを紹介します。
再びのオフィス移転を決意
当時、社員も少しずつ増えて事業も拡がっているという状況があり、「そろそろ引っ越してもいいかな」と感じていました。当時のオフィスは家賃月14万円で、社員8人にはギリギリか少し手狭といった感じでした。
たまたまそんな時に、仲良くしていたアルコ社から「今まで他企業に貸していたスペースが空いてしまうから、入りませんか?」という話が飛び込んで来ました。それまでアルコ社が借りているスペースの一部に入っていた企業が移転するので、どこかに貸したいと。そこで、仲良くしている私達に賃料月60万円位でどうかと誘って下さったのです。
アルコ社の入っているビルは、とても素敵な感じのオフィスビルでした。これまでは、ワンルームマンションの一室の様なイメージの所だったので、正直な気持ちとしては、かっこいいオフィスビルへの憧れもありました。「ちょうど手狭になってきてるし、行っちゃおうか」と、その時のテンションで移転を決めました。
ワンルームから素敵なオフィスへ
▼3箇所目のオフィス
これまでいたオフィスに比べると、相当広くなりました。3倍位の広さで、賃料は約5倍に跳ね上がりました。
元々の事務所は普通のマンションの1室ということもあって、会議室もありませんでしたが、今回のオフィスには会議室もできました。さらにアルコ社と共用で使える会議室も別にあってとても便利でした。
新しいオフィスはかなり余裕を持った広さがあったので、ベンチャーっぽいイメージというのでしょうか、畳のスペースをおいて、少しゴロゴロできたりとかレクリエーションができるような感じにしてみたりしました。
▼畳のスペースも設置
社員の子供や家族もよんで、レクリエーションイベントみたいなのも開催しました。正直、素敵なオフィスを見せびらかしたいといった気持ちもあったと思います。「みんなで楽しくやろうよ」と・・・かなりハイテンションな時期でしたね。
「やってる感」が欲しくなっていた!?
今思えば、高い家賃を支払ってそこまでスペースが必要だったかというと、必要ありませんでした。「イケてる会社と言えば、やっぱりオフィスビルでしょう」と、イメージに釣られてしまったのは否めません。今から考えると、恥ずかしながら「やってる感」「会社感」「社長感」などのイメージを求めての移転でした。
周りの多くの会社が、成長の目処がそんなに立っている訳でもない状態で、見切り発車で先に立派な事務所を借りるという事例を数多く見ていたこともあり、私もテンションに釣られて、普段の自分には無い意思決定してしまいました。
普段の私は、全く逆の発想に生きています。仮に明らかに必要な事であったとしても、石橋を叩いてそれでもやらない位の姿勢を採っています。何かを進める時には、相当余裕があってミスっても全然大丈夫だという事を確認できて始めて進むといったイメージです。
しかし当時の私は、完全にその場のテンションで進んでしまった訳です。つくづく自分のスタイルに合わないことをしてしまいました。そこそこ順調も売り上げも伸びていたし、なんとかなるかと思ってしまったのですね。
そこには、前回の記事でも書いた様に、3年目の焦りもありました。実際には、堅調に業績を伸ばしているのにも関わらず、周りの華やかなベンチャー企業の急成長ぶりを見て、自分の事業の成長スピードに不安を感じていました。
そんな時「成長が遅いのは、小さいオフィスでせせこましくやってるからダメなのかな」と考えてしまったのです。普通に考えて、オフィスの広さや立派さと、事業の成長は全く関係ありません。やっぱりそういう合理性に基づかない考えはダメですね。
こういった立派なオフィスを構えたりする「やってる感」に類する取り組みは、一通り体験できたので、今では立派なオフィスで仕事したいという気持ちは全然ありません。そういう意味では、一度やってみたのも良かったとも言えます。実際に綺麗なオフィスに入ってみた結果、明らかに無駄で大して良いものではないという事も分かりました。自分の考えに合わないということを、身を以て体験したのです。
やっぱり私には、堅すぎる位の手堅さと、徹底的に合理性に基づいて進めるというスタイルが合っていると思います。
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