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ポップインサイト創業記(52)〜投資家へアプローチに挑戦

前回に引き続いて、「3年目の焦りと迷い」にまつわるエピソードを紹介します。今回は、周りの華やかな会社に影響されて投資を募ろうとした、というストーリーです。

周りに影響されて資金調達に乗り出す

ポップインサイトは1期目2期目と堅調かつ順調に事業を成長させることができていたにも関わらず、私は周りの会社の華やかな成長を見て、必要の無い焦りを感じていました。そんな私が取り組んだのが「資金調達」でした。


当時、私たちは充分黒字でしたので、資金調達など全く必要がありませんでした。しかし、周りがガンガン資金調達して派手に活動していているのを見て「カッコいいなー」と思ったのです。この様なお恥ずかしい思いからの取り組みが、結構たくさんありました。今考えると本当に意味が無い事だったと思います。

それでも当時の私は、「チマチマと自分だけでやってるよりは、違う視点の人に仲間になってもらい、もっと上の視点で引き上げてもらいながらやる方が、より成長に繋がるんじゃないか」などと自分自身に理由付けしていました。


多くの経験を積み重ねた今の発想としては、「実際には成長に繋がらないかもしれないし、必要が無い事ならしない方が良いよね」と思いますが、当時は焦りと迷いで完全に浮き足立っていました。

それで資金調達をしようと決めたのです。周りの華やかさに憧れての判断でした。今となっては、かなり愚かだったなと恥ずかしさを感じますが、それが当時の私のリアルな状況でした。


資料を作り込んで投資家へアプローチ

資金調達といっても上場までは考えていませんでした。そして、ベンチャーキャピタルを中心にアプローチするというよりは、意欲を持ってくれるベンチャー企業や個人投資家に投資してもらうのが良いのではないかと考えました。

そこで、早速資料を作り込んで、数社へアプローチして行ったのです。

▼当時の投資家や投資会社向け資料(一部抜粋)

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まずはビジョンポイントを打ち出し、
展開できる可能性を打ち出しました。そして、それぞれのサービスごとの市場規模感などを伝えて行きました。

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次に、自社が現在行っているサービスの内容を紹介しました。営業シーンの可視化ということで全部音声にして文字起こしをする、といった具体的な内容を紹介したのです。


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当時、定数データを扱う分野はそこそこ市場がありました。しかし、私達の様に定性データを管理するプラットフォームは稀有な存在で、優位性がありました。この点を取って行くことで、大きな可能性があることや、実際に、海外の類似企業は急激にスケール拡大している事を伝えました。

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さらに、自社の実際の実績を打ち出し、着実に成長していることを伝えました。そして今後の成長目標を示した上で、結論として1億円の投資をお願いして、さらなる成長に繋げたいと伝えました。


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そして最後に、投資する企業側にとってのシナジー効果を表現しました。

この様な感じで、数社を相手にアプローチして行ったのです。


中途半端に成功しなくて良かった

当時、ポップインサイトは順調に成長していたし、実際に中身がある実績を出していました。その為、私が言っている事も先方に響いた様で、反応はどこも悪くはありませんでした。

しかし、振り返ってみても、当時私たちは全く問題なく事業が進んでおり、資金も充分あって、必要の無い投資話だったのは間違いありませんでした。

その辺りが先方たちも感じる所だった様で、「確かな可能性があって充分価値があるお話だと思いますが、もう少し規模感が出てからの方がお互いに良い投資になるのではないでしょうか」ということで、すぐ投資実行という事にはなりませんでした。

今となっては、断ってもらえて良かったというのが私の本音です。当時の自社には財務状況的に全く必要の無い話ですし、中途半端に投資をしてもらえていれば、縛りができて選択肢が限られてしまい、とてもやり難くなっていたと思います。

私は良い着想を得ると、危険度が無い事を重々確認した上で、とことん挑戦してみないと気が済まない面がありますが、このエピソードもそういった事例ですね。しかし、私としては、貴重な経験が積めた良い思い出の1つになったと思っています。

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