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ポップインサイト創業記(70)〜立て直しに向け体制強化

大幅なコストカットとビジネスモデルのストック型への移行が上手く行き、次は再びの安定した黒字化へ向けてチャレンジしていくという段階に入りました。今回は、そんな新たなフェーズに入るに当たって強力な人材をスカウトしたというエピソードを紹介したいと思います。

黒字化への再チャレンジへ

黒字化への再チャレンジのフェーズに入る訳ですが、そもそも一時的に危機的状況を招いた原因は明白でした。元々とにかく手堅く堅調にやってきた所、成長の遅さからの焦りがあって間違えて規模を拡大していただけなので、その規模感を一気に下げる事で、危険な状況からは比較的早く脱出することができていました。

多くの取引先からの信頼も勝ち得ていたので受注は普通にあって、売り上げ自体は少しずつではあるものの右肩上がりに伸びていました。それに加えて月額契約サービスなどのストック型のビジネスモデルを積極的に打ち出していた事もあり、早い時期から黒字化へ移行する事が出来ていました。

強いメンバーの必要性を感じる

大幅に規模の縮小をしてから1年弱位経った翌年の夏、ここから改めてもう1回改めて積極策を考えていきたいと思い、その為の体制作りを考えていました。

そんな時に一番重要視していたのは、“強いメンバー”と言える様な有能な人材を採用してしっかり展開していける座組を作る事でした。

サークルの優秀なメンバーに目をつけていた

そして、せっかく人材を採用するのであれば、やはり共に会社を大きく成長させてもらえるような“スーパーメンバー”に来てもらいと思いました。

ハイレベルな人材を獲得に来てもらう為には、方法は自ずと限られます。以前紹介した様に当時の私たちはリモート採用が増えてきた状況だったとはいえ(参照:(68)〜意図せずリモートワークの応募が急増)、リモートでは会社を支える様な人材を得る事は限りなく難しくなります。現実的にそういった、全面的に信頼できてすぐに一緒に結果を出して行ってもらえるような人材を得る為には、知っている縁故関係の人からという事になります。当時私にも、かねがね「いつか一緒にやって行きたい」と思っていた人がいました。

私は大学時代に編集サークルの代表をしていたのですが、同期が10人位いました。そしてその中で明らかに優秀だと思える友人が2人いたのです。

1人目は久川君。彼はその後ポップインサイトに大きく関わってくる事になりますが、彼の合流は少し先の話になるのでまた改めて紹介したいと思います。

2人目は武久君。彼はその名の通り武士の様な男気があって、一度決めた事は最後まで必ずやりきるといった感じの、強い意識というかパワーを感じられる人でした。

この2人はとても優秀なので、早い時期から「どこかのタイミングで一緒にできたら良いな」と思っていました。

右腕になってくれる強力な人材を・・・

そこで、「起業したので一緒にやらない?」といった感じで何度か誘いを入れていました。

当時、武久君はトレンダーズという会社に新卒で入社していて、その優秀さを発揮して新しい事業を作る役割を担っていました。何度か私が口説いていた所、一度「やってみようかな」という事で入社が決まりかけたものの、残念ながら直前でストップしてしまったという事があったりしました。

一方、当時のポップインサイトの体制は、私、共同創業者で役員の喜多君、営業の木島さん、S君、現場の運用担当者が2名、以上社員6名という形でした。

私としては、是非COOを努められる様な人材に来てもらいたいと思っていました。COOとはChief Operations Officerの略称で、最高執行責任者を指します。代表者であるCEOが決めた方針に従って日々の業務を実行する責任を負う、いわば社長の右腕のナンバーツーとして経営を担う重要な役職です。

私としては、COOを担ってもらえる様な人をちゃんと見つけて強い体制にした上でリチャレンジしていかなければいけないと考えていました。そこで、大変優秀だと思っていた武久君に再び声をかけたところ、幸運な事に前向きに検討してくれるという雰囲気になりました。

提案した事をきちんと実行する所に魅力を感じる

実は、私が彼に魅力を感じていた理由がもう1つありました。この話の少し前にサークルの後輩の結婚式があったのですが、そこで武久君と話をしていた際に、あるビジネスが可能性があって面白いという話をしたのです。武久君も「面白そうだね」と興味を示していました。

こういう話をした時に興味を示す人はたくさんいます。私も数社の起業を経験していてビジネス経験があるので、一定レベル以上の有益と言える話をする事ができる訳ですが、話を聞いて「やってみたい」という人は大勢いるものの、本当に実行に移す人は殆どいません。

ところが、武久君は私が話したビジネスを本当に実践したのです。しかも、きちんと成果を出して大きな利益も上げたのです。私は彼の素晴らしさを改めて実感しました。アイディアを提供しても何もしない人が大半である中において、やはり武久君は素晴らしいなと。こういう人材にこそ共に会社を支えてもらいたいと思いました。

新体制を整えて攻めて行く機運ができた

せっかく武久君に来てもらうのであれば、取締役として来てもらいたいと言う事で条件などの具体的な話をしていた時に、再び彼の魅力を感じた出来事がありました。

役員として来てもらうに当たって株式の割合の話をした際に、彼は私が最初に提示したよりも彼の配分を多くして欲しいと希望したのです。彼の希望は当然です。ポップインサイトは、この少し前に危機的な状況があった訳です。ここで入社するのはリスクがあります。そのリスクを踏まえて入社してもらうのですから、彼の希望は正当だと言えました。

私が素晴らしいと思ったのは、それを彼がきちんと言ってくれた事です。希望は私の中で許容できる範囲内であれば許容できるのです。しかし、実際にはそういった事を遠慮して言えない人が多い中で、彼はちゃんと言ってくれた訳です。やはり彼はビジネスマンとして優れていると改めて感じた一幕でした。

そういった流れを踏まえつつ、晴れて武久君に合流してもらう事ができました。会社全体が大きく前向きに変わっていけている機運を感じました。ビジネスモデルをストック型に変えて実績も出始め、さらに強力な人材を得て新体制を整える事ができました。「さーいくぞ!」といった感じで、新章のスタートを切る事ができた夏になりました。

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