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私のテレワーク環境におけるチームビルディングの成功例、失敗例

今回も前回に続き、とある上場企業から社内報の為のインタビューとして受けたご質問にお答えした際の内容を紹介したいと思います。

Q.池田さんご自身の体験から、テレワーク環境におけるチームビルディングの成功例や失敗例を教えて下さい。

私は、テレワークに限らず、チームビルディングにおいて、「チームとして目指す方向性」と「メンバーのモチベーション・文脈」が一致するのが最も良い状態だと考えています。その様になっていれば、個々のメンバーが、納得感を持ちながらやる気も出ると思うし、物理的に離れていても高いモチベーションを持って頑張れると思います。

反対に、チームとして目指す方向性とメンバーのモチベーション・文脈が一致していないと、あまり各自のテンションが上がらず、低いモチベーションのまま、「給与の分適当にこなせばいいや」といった感じになりがちだと思うのです。

失敗例:「方向性が共有できていなかった」

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私がポップインサイトを創業して軌道に乗り始めた頃の社員数は6人程でした。結局その時のメンバーは、最終的に1人しか残りませんでした。全員個別には今でも良いコミュニケーションを取っているものの、チームビルディングとしては上手く行かなかったと言えると思います。この上手くチームビルディングできなかった失敗要因は3つあると考えています。

《失敗の要因》
1.チームとして目指す方向性がそもそも無かった
2.目指す方向性について、しつかりと議論・共有できていなかった
3.メンバーのモチベーションや文脈を知らなかった

1.チームとして目指す方向性がそもそも無かった

要因の1つ目は、「チームとして目指す方向性がそもそもなかった」という点にあったと思います。

私がポップインサイトを起業したのは、前職で扱っていたユーザーテストの素晴らしさを世に拡めたいという想いからでした。つまり、独立や会社設立ありきではなかったのです。その為、会社をどうして行きたいというビジョンやミッション、社是やクレドの類は持っていませんでした。

勿論、「ユーザーテストを世に拡めたい」という強い想いはあったので、自分の中に全く何も方向性が無かった訳ではありませんが、改めて方向性をしっかり詰めて検討したり、言語化したりといった事は全然できていなかったと思います。

2.目指す方向性について、しつかりと議論・共有できていなかった

2つ目の要因は、「目指す方向性について、しつかりと議論・共有できていなかった」という事にあったと思います。

そもそも方向性自体が無かった事に加えて、メンバーと「一緒に考えていこう」としっかり議論したり、皆を巻き込んでいく取り組みができていませんでした。

当時会社は既にリモートワーク環境でしたから、メンバーにはリモート環境で働けるというメリットや、普通に給与を受けられるという面こそあったものの、残念ながら、それ以上のモチベーションを持ってもらえる要素はありませんでした。

もちろん、「ユーザーテストを拡げよう」という想いは、多少なりとも共有してもらえていたとは思います。しかし、今から考えると、もっとビジョンや方向性を共有できていれば、モチベーションを高めてもらう事ができ、より良いチームビルディングができていたと思います。

3.メンバーのモチベーションや文脈を知らなかった

3つ目の要因は、「メンバーのモチベーションや文脈を知らなかった」事だったと考えています。

方向性を共有できていなかった事に加えて、各自が何がしたいか、どういうモチベーションでいるのかといった事を理解する取り組みができていませんでした。

後日当たり前の様に行うようになった『1on1』や『自己トリセツ』といったチームコミュニケーションを向上させるアプローチができていなかったので、メンバー個々の個性や思いを理解・共有できていませんでした。

各々のメンバーが、何に対して「頑張ろう」とか「モチベーションが上がる」と思ってもらえるかという事が理解できていなかったので、会社として、的を得たやる気やモチベーションの提供ができない事につながってしまったと思います。

成功例:「失敗事例を踏まえ、様々な手法を駆使して方向性をチームメンバーに共有する」

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その後ポップインサイトは、テレワーク環境ながら社員数50人を超える所まで成長しました。コミュニケーションも良好で、長く勤務し続ける人も多かったので、客観的にも、ある程度チームビルディングに成功できていたと思います。

上記の様な失敗を踏まえて、様々な試行錯誤をする事で、企業チームとして成長できたと思います。その要因には、以下の3つのポイントがあったと考えています。

《成功の要因》
1.チームとして目指す方向性を定めた
2.月1回の経営方針会などでしつかり共有したり、半年に一度の合宿で議論して取り入れた
3.自己トリセツ・1on1などを重ねてメンバーの背景を知り、背景に合わせて会社の方針・業務内容を説明した

1.チームとして目指す方向性を定めた

まず、チームとして目指す方向性として、ミッションやビジョンといった事を定めて言語化して共有しました。「どういう会社になりたい」、「どういうことを実現していきたい」ということを言語化していった事で、メンバー全体に安心感を得てもらう事ができていたと感じます。

2.月1回の経営方針会などでしっかり共有したり、半年に1回の合宿で議論して取り入れた

次に、言語化して定めた方向性に関して、月1回行っていた経営会議や半年に1回行っていた合宿、それぞれのミーティングの際などにおいて、しっかりと共有したり議論する場を設けました。

こういった共有したり深める場を組織の側が設定する事によって、それぞれのメンバーに着実に方向性を浸透していく事ができ、チームビルディングに活きていったと思います。

3.自己トリセツ・1on1などを重ねてメンバーの背景を知り、背景に合わせて会社の方針・業務内容を説明した

さらには、これまでも度々紹介してきた『自己トリセツ』や『1on1』などを重ねる事で、メンバーの背景を理解する事に努めました。そして、知り得た各自の背景に合わせて、会社の方針や業務内容の共有を深めて行くようにしました。

当時私の中でも、各々のモチベーションの源をきちんと理解しようという意識は非常に高まっていました。そして、知り得た各メンバーの背景の元に、相手に合わせた言い方の変化や 仕事の提示が、以前に比べると遥かにできるようになっていたと思います。その結果として、良いチームビルディングができたのではないかと思っています。


以上が、テレワーク環境下における私のチームビルディングの成功例、失敗例になります。目指したのは、チームの方向性を決めて共有し、各々の背景を知り得ながら、各々の良い形へと合わせて行くという事でした。今回紹介した事例が、皆様のテレワーク環境下でのチームビルディングにお役に立てば幸いです。


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ぜひ、テレワークを導入される皆様の、より良い職場環境作りや、より楽しくて幸せなチームコミュニケーションの一助になればと心から願っています。


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