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ポップインサイト創業記(69)〜メンバーズへのツール導入

今回は、後にM&Aにてグループ入りする事になる“株式会社メンバーズ”にユーザテストのツールを導入してもらったエピソードを紹介したいと思います。

ストック型ビジネスへの移行

以前の記事で、ポップインサイトのビジネスモデルを単発発注のスポット型から長期継続受注のストック型へ移行する取り組みを始めたというエピソードを紹介しました。(参照:(64)〜スポット型からストック型へビジネスモデルの転換

その時のストーリーはどういったものだったかと言うと、前職の同期で当時自身で立ち上げた会社を上手に軌道に乗せていたwacul社の大津君のストック型ビジネスの成功例などに刺激を受けながら、新しく開発したツール“Usertest Express(ユーザーテストエクスプレス)”を月額定額制にしてストックベースにして行くという取り組みを進めていたというものでした。

一方、当時のポップインサイトの状況は、危機的な状況を乗り越える為に大幅なコストカットをやり切って、業績も順調に回復傾向に入ったという感じでした。もっとも、そもそもピンチを迎えてしまったのは、状況を見誤って規模を拡大してしまった事に原因があり、売上はそれまでと同じ様に上げ続ける事ができていたので、不要に拡大した規模を縮小しさえすれば、問題を解決できるのは当然だったとも言えますが・・・。

それはともかく、当時回復傾向に進みつつある中で、さらに事業を安定拡大する為に、ビジネスモデルのストック化にさらに注力するべく営業活動に取り組んでいました

ストック化の営業は、元々取り引きがある会社を始めとして、ユーザーテストをする機会を感じられる様な企業に次々とアプローチして行きました。価格帯も、最初は月5万位の安いプランからスタートし、様子を見ながら月10万位へと少しづつシフトさせて行きました。

勿論、最初から爆発的に契約が取れていった訳ではありませんが、毎月コンスタントに新規契約を獲得し、年間契約や半年契約といったストック型の契約を着実に増やして行きました。

当時の収支の状況は、大幅にコストカットしたとは言え、月300万〜400万位は売り上げが必要でした。その中で、月5万とか10万という契約はたかが知れているようにも見え、実際に事業におけるインパクトというのはそこまで大きくありませんでした。

しかし、ストック型は毎月決まった額の入金が約束されます。これまでの毎月翌月の収益が見えなくて不安感がつきまとうスポット型とは全く違います。会社経営にはこの毎月の安定した入金の約束が積み上がっていくという事が本当に重要です。そういう面が確立できているという点においては、確実に成果を上げられている手応えを感じていました。

メンバーズとのストック型契約へ

このストック型営業をスタートしてまだ間もない半月程経った頃、その後M&Aをしてグループ下に入る事になるメンバーズへアプローチする機会を得ました。

▼メンバーズホームページ https://www.members.co.jp

メンバーズ

メンバーズとはもともと単発のスポット型で数件受注しており、既に取り引き関係がありました。そこで新たに、従来のスポットの取り引きに加えて、より細やかで適応した対応が可能な年間契約型サービスを提案しました。単発のスポット型の受注では、掛けられる時間や手間が限られる為、なかなか細やかなカスタマイズ対応を行う事ができません。しかし、年間契約であれば、腰を据えて取り組めるので、しっかりと自由度高く細やかなカスタマイズをする事が可能です。さらに、価格も安くすることもできるのです。

そこで、窓口をしてくれていた鎌田さんという方に、一度そういった年間契約型サービスのメリットを提案させて頂く事をお願いした所、責任ある立場の方にお話させて頂く機会を頂ける事になりました。

その時にお会いさせて頂いたのが、後々深い付き合いをする事になる高野さんと池上さんという方々でした。この2人は、後にメンバーズの役員となる方々なのですが、東大出身で会社の頭脳と言える様なエース的存在として活躍されています。会社全体の方針を決めたり、戦略を練ってメンバーズの根幹を担っている方々です。そういった2人に、当時スタートしたばかりの年間契約型サービスを紹介させて頂きました。

メンバーズは、クライアント企業のWEBサイトの運用をメインに取り扱う会社です。高野さんや池上さんは、当時から既に高い意識と課題感を持っていました。

「WEBサイトを運用するにしてもただ運用するだけではいけない。ビジネスとしてマーケティング成果をしっかり出していく形にしていかないと、価値が下がって安いベンダーに切り替わってしまう。それを防ぐ為には、成果型運用の様な方向にどんどん切り替えていく必要がある。しかし、現場はまだまだ運用してるだけだし、なかなかそういうドライブができないという現状がある。そこで、それをドライブしていくために、いろんなパートナーと連携してツールいれたりとか、取り組んでいるものの、なかなかうまく使いこなすことができない」という状況と課題感を説明して下さいました。

この課題の解決には、まさにユーザーテストがぴったり当てはまりました。ユーザーテストは動画見るだけで課題が分かるというシンプルで分かりやすさがある上に、マーケティング成果をしっかり出していくという面での効果が絶大です。しかも、新しくリリースした“Usertest Express”とその年間契約型サービスは、特にニーズに応えられる要素を大きく含んでいました。そういったメリットを紹介した所、「相性いいですね。 早速導入しましょう!」という事で、提案した年間契約型サービスを契約してもらえる事が決まったのです。

後の展開につながる貴重な機会だった

このメンバーズと結ばれた契約は、案件として見る分には数多くの取り交わした契約の内の1件に過ぎません。しかし、これはストック化推進の企画をスタートさせてからわずか半月という極初期のタイミングで結ばれた契約である事、また、そこから濃い付き合いが始まって最終的にM&Aという大きな結果へと繋がったという事などから、私とポップインサイトにとって特別な契約だったのは間違いありません。

もしストック型サービスへのビジネスモデルの方向転換をしていなければ、メンバーズとの濃い関係性は始まらなかった。そして、この濃い関係性が始らなければ、M&Aをするという話にもならなかった事でしょう。

そう考えると、やはり何がどう繋がるかわからないと非常に面白さを感じます。そして、それが故に1つ1つの出会いや機会、チャンスというものに正面から真摯に相対するという事の重要性を感じます。その上で、ここまで自分自身がその様に取り組む事ができてきた事は、本当に良かったと強く思います。

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