「リモートじゃ駄目」だと、上司や経営者に思われないための5つの工夫
コロナのタイミングでリモートに舵を切るという決断をした会社は多いと思います。しかし、リモート化すると色々な課題に直面しがちです。
経営陣としても、随時「出社形式に戻すべきか」、はたまた「リモートを維持するべきか」といった議論が起こるということを聞きます。さらに、緊急事態宣言が解かれて、多くの企業が「リモート化したけれども、やはり出社に戻すべきか?」「全国採用もできるしリモートをこのまま維持するべきか」と色々な議論や検討が行われているのではないかと思います。
そして、それと同時に働く側の方として、「リモートが良いけれど、自分の会社がどういう決定をするのか・・・」といった不安を持つ方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、主に働く側の方向けとして、こういった点をきちんとしないと「リモートじゃ駄目だね」と経営者側に思われてしまって、せっかくのリモート環境が無くなってしまうというポイントと、それに対処するための工夫の仕方をお伝えします。
▼今回の内容は以下の動画でもご覧頂けます。ぜひご覧ください!
上司は出社させたがる5つの理由とは
理由1.評価しやすいから
理由2.管理したいから
理由3.(上司が)自分の存在感を出したいから
理由4.モチベーションの不安があるから
理由5.生産性の不安があるから
それではまず最初に、そもそもなぜ上司はリモートではなくて出社させたがるのか?というところで、以前BBCの海外サイトで紹介されていた「上司が出社させたがる5の理由」を簡単にご紹介します。
理由1.評価しやすいから
「同じオフィスにいる方が、目に見えている方が評価がしやすい」というのが、上司が出社させたがる理由の1つ目です。
本来は、人事評価は目に見えているかどうか、出社してる姿がどうかではなく、仕事の成果や業績などで数値的に計るべきですよね。しかし、実際にはどうしても「印象」で決められがちです。その為、目に見えていない人は評価が下がりやすいという形にも繋がっています。
こういった「目に見えている方が評価しやすい」ということが、1つ目の世の上司達が部下を出社させたい理由です。
理由2.管理したいから
多くの上司は、実際に人が目に見えている方が「管理」できている印象が持てるそうです。上司としては、コントロール欲求から同じ場所にいてきちんと自分の指示や指揮の下で働いていることが見える人の方が、そうじゃない状況の人より安心感が感じられるそうです。そういった面から、部下を出社させたいというのが2つ目の理由になります。
理由3.(上司が)自分の存在感を出したいから
皆が出社している時、多くの上司が自分が会議に参加するときに上座の席に座ったり、オフィスで仕事をしている時にも、歩き回りながら皆の様子を見る姿を見せることによって、仕事を監督したりサポートをしているというような存在感を示しやすかったと感じているそうです。
ところが日本でも最近、リモート化が進んで「上司がいなくなってしまった」と言われるようになりました。これはつまり、実は元々あまり何もしていなかったのが露見して、リモートになった途端に存在感が無くなってしまった上司が凄くたくさんいるということが話題になっているのです。これはて世の多くの上司とか経営者からしたらとてもマズい事態ですよね。
上司にも管理職なので自分が実務をしている訳ではないケースもありますが、「存在感を感じてもらいたい」「チームのためメンバーのために役に立っているという実感を得たい」というところからオフィス出社を求めがちになるということが理由の3つ目です。
理由4.モチベーションの不安があるから
理由4つ目はシンプルな内容で、リモートだと「部下がサボるんじゃないか」「仕事をしないんじゃないか」という不安があるということです。
理由5.生産性の不安があるから
理由5つ目は、「自宅で仕事をするとあまり仕事がはかどらないのではないか」「出社する方が生産性が高いのではないか」という不安や懸念があるということです。
このモチベーションとか生産性に関しては、「リモートの神話」とも言われていて、リモートの方がむしろモチベーションも高く、生産性も増えるという説もあるのですが、上司からするとこういう不安は拭いきれません。
・・・以上の様な5つの不安があるので出社をさせたい、というのがBBCで紹介されていました。
この5つの不安が分かれば、上司や経営者から「リモートじゃ駄目」だと思われないようにする具体的な方法が見えてきます。そこで次に、それぞれの不安点を解消するための具体的な工夫、方法を紹介したいと思います。
工夫1.仕事の業績や成果をしっかりアピールする
上司のリモートへの不安を解消する工夫、1つ目は「仕事の業績や成果をしっかりアピールする」ということです。
上司が「リモートだと評価できない」という風に思っていることに対しては、部下の方から自分の仕事の業績や成果をしっかりとアピールできれば、「リモートであってもきちんと仕事が出来ているな」という風に思ってもらいやすくなります。
例えば、“数値的な結果”もそうですし、「こんなプロセスで取り組んでいます」とか、「お客様からこういう声を頂きました」とか、自分の仕事の成果や実績をきちんと自分の方からアピールするということが、リモートワークでは大変重要になります。
私も経営者や上司としてリモートでの部下の評価をしてきたので分かるのですが、正直なところ、かなり意識高く見ていたとしても、部下の頑張っている内容が全て見えているかというと見えていないのです。さらに言えば、世の中の多くの上司は、出社していることで部下の成果が見えているかと言えば、実際は多くの場合ほとんど見えていないことも多いのですが・・・。
そこで、本当に部下の人たちを評価しようと思えば、積極的に上司が自ら部下にどの様に仕事しているかと話を聞きに行ったりとか、意識的に情報収集しにいかないと全然分からないのです。加えてリモートワークであれば、何十倍もこの傾向は強いと言えます。
そういった背景があるので、以下のように部下の方から自慢気とか変な形ではなく、自分が行ったことを分かりやすく教えてくれたり、報告してくれると評価が凄くしやすくなるのです。
「今月、こういう取り組みをしました」
「この目標に対してこういうアプローチをしました」
「●●時間かけて取り組みました」
「■■件やりました」
上記の様な形で、自分の仕事を適切に、しかも主体的に報告することで、上司にとっても「それならこういう評価ができるよね」と前向きな評価がしやすくなるので、適切にアピールしてくれるのは非常に助かるのです。
こういったことを上司に対してきちんとやって行くことができる人は、「リモートであってもきちんと仕事ができている」上に、「評価しやすい」という風に思われて、ネガティブな「出社しないと駄目だね」という風に思われてしまうことを回避できるのです。
工夫2.存在感をアピールする
上司のリモートへの不安を解消する工夫、2つ目は「存在感をアピールする」ということです。
2つ目の上司の不安として、「管理したい」ということがあった訳ですが、簡単に言うと見えてないと不安なのです。「きちんと自分のチームのメンバーが仕事ができていないんじゃないか」「サボってしまっているんじゃないか」という不安感に襲われると。
それに対して、「リモートであってもきちんと仕事していますよ」という“存在感”を出すことによって上司の不安を軽減し、上司がきちんと管理できていることを感じられるようにするということです。
具体的な方法としては以下の様な取り組みがあります。
・1on1をしてもらう
・定例ミーティングに欠かさず参加する
・報・連・相を積極的にする
・リモートミーティングの際にはカメラをオンにして顔を見せる
こういった簡単なことを適切にきちんと行うことで、自分の存在感を適切に表していくことができるようになります。
例えば1on1をすると、場所が離れていても仕事の様子や課題や問題などが分かって上司に現状が生々しく伝わります。伝わって来ると上司としては非常に安心できるのです。
こういう取り組みを通じて、しっかりと自分がリモートでもチームに所属しているという存在感を伝えていくことはとても大事なことだと思います。
工夫3.頼る
上司のリモートへの不安を解消する工夫、3つ目は「頼る」ということです。
これは凄く重要なポイントですね。先述の通り、上司は自分の存在感を出したい訳です。上司として存在しているということを誇示したいという気持ちがある訳ですが、これを満たす部下側として最も良いアプローチは「頼る」ということです。
例えば、以下のようなことを意識的に相談していきます。
「目標達成をどうしたら良いのか」
「業務の具体的な方法」
「分からいないこと」
「人間関係の悩み」
場合によっては“プライベートなこと”も人生の先輩として相談して行く。 こういった相談をしてくれると、上司側としては「頼りにされている」と感じられますし、相談に乗ることで「上司としての役割を果たしている」という気持ちになれます。
さらに、頼りにされれば上司として安心できますし、反対に全然頼りにされず、連絡も来ない、会議の招集通知も来ない、という状況になってしまうと当然不安になるのです。
その結果、「自分は存在感を出したいのにできない、これはリモートワークの性なのではないか」そして「やはりオフィス出社に戻そう」みたいな感じになってしまうこともあるのです。
頼られると上司も嬉しいですし、部下側としても上司の知恵を借りて自分の仕事の生産性やクオリティが上がるので、お互いにとってWin-Winになるのです。
工夫4.熱意をアピールする
上司のリモートへの不安を解消する工夫、4つ目は「熱意をアピールする」ということです。
世の上司には、「リモートだとモチベーション下がってしまうのではないか」という懸念があるということをお伝えしましたが、それに対して、1on1やチャット上などでやりとりする際に、やる気や情熱を随所で意識して伝えていくことはとても大切です。
工夫5.生産性をアピールする
上司のリモートへの不安を解消する工夫、5つ目は「生産性をアピールする」ということです。
1つ目の「業績をアピールする」と似ていますが、成果を数値で示しながら「生産性」が落ちていないこと、向上していることをアピールすることは非常に大切です。
なぜなら、リモートでは思っている以上に「成果」が伝わりづらく、認識されづらいのです。生産性への不安は大きいので、きちんと主体的に生産性が維持、向上されていることを伝えていくことがとても大切です。
今回のおさらい
上司がオフィスに出社させたい5つの理由への工夫5点
工夫1.仕事の業績や成果をしっかりアピールする
工夫2.存在感をアピールする
工夫3.頼る
工夫4.熱意をアピールする
工夫5.生産性をアピールする
今回紹介した5つの工夫を重ねることで、上司側の不安を軽減して「リモートでも大丈夫だね」という形にできる様になります。
これらは上司の不安を解消するだけではなく、業務を円滑に回すポイントにも直結しますので、ぜひ少しずつでも採り入れて頂ければ幸いです!
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