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テレワークでの「自ら発信」の重要性 | テレワークでも圧倒的な信頼を獲得するリモートコミュニケーションの基礎シリーズ【第2回】

今回は「テレワークでも圧倒的な信頼を獲得するリモートコミュニケーションの基礎シリーズ」の第2回目として、「自ら発信の重要性」というテーマでお送りしていきます。

この記事をお読みいただくことで、自ら発信していくという姿勢や取り組みがなぜ重要かという理由と、具体的にどうすればいいのかが理解していただけると思います。

今回の内容は以下の動画でもご覧頂けますので、ぜひ御覧ください。

●前回の復習:リモート時代はローコンテキストなコミュニケーションが求められる

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前回の第1回の記事では次の様な内容を紹介しました。リモート時代、そしてリモートがゆえにダイバーシティ(=多様性)の時代には、「ローコンテキスト」なコミュニケーションが求められます。 

「ローコンテキスト」というのは、「自分と他人は違うので、きちんと言葉にして伝えないとコミュニケーションが成り立たない」という考え方です。我々日本人は昔からその対極にある、「ハイコンテキスト」で生きています。ハイコンテキストは、言葉にせずとも空気を察する、空気を読むという考え方で日本人はこちらに長けています。しかし、それ故に対極の言葉にして伝える文化である「ローコンテキスト」がすごく苦手です。

だからこそ、「意識的にローコンテキストのコミュニケーションのスキルを身につけて変化していく」のが凄く重要、というのが前回の内容でした。

自ら発信することの重要性

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前回の内容を受けて具体的にどうすべきかというところの1点目として、今回のテーマは「自ら発信することがとても重要」という内容になります。

「自ら発信する」というのは、例えば仕事において、「今何しているのか?」「仕事の進捗がどういう状況なのか」「今困っていることがあるのか無いのか」「気づいたことがあるのかないのか」「自分はどんなことを考えているのか」…こういったことをさまざまな機会でしっかり自主的に発信して、周りの人に伝えていこうということです。

見えないと相手は不安になる

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それでは、まずはこれがなぜ重要なのかという理由からお伝えしていきます。自ら発信が大事な理由、1つ目は「見えないと相手が不安になるから」です。

テレワークだと、そもそも相手と別の場所に居るので、相手の様子が見えません。 相手の様子が物理的に見えない上に情報の発信が無いと、相手の活動状況とか今どういう形になってるかというのが全く見えないということになります。

見えないのはすごく不安です。 特に仕事を開始したばかりでまだ関係性が浅く信頼関係が希薄な状態で相手の状況が見えないのは物凄く不安なのは言うまでも無いでしょう。

私は以前テレワークの会社を起業・経営していて、社員を50人〜60人雇用していました。さらにクラウドソーシングとかフリーランスといった方を数千人スカウトして仕事を依頼してきた訳ですが、やはり関係性を構築していない段階では、仕事を任せしたり依頼した時に、 その後どういう状況かということを教えてもらえないと、それだけで非常に不安になります。 「そもそも本当に仕事やってくれているのかな? 」「良い方向に進んでいるのか?筋違いになってるのではないか?」「進捗のペースは大丈夫なのか」…など様々な不安が湧き上がってくるのです。

それに対してきちんと「自分がこういう状況ですよ」ということを伝えていくことは非常に重要ですこれによって仕事相手の不安を解消することができます。

特にこれからテレワークを始めるとか、若手の方が活躍して行くためには、まずは「上司とか同僚とかクライアントとかは基本的に、 最初は不安を持っている」ということをすごく意識することをお勧めしたいと思います。

自分の状況が見えないことは、相手の不安を増長し良い関係性構築の妨げになる。だから意識的に自分から発信して、活動状況や進捗状況が相手に見える状況にしていく。そして相手の不安を解消できるように努め、関係性を構築しやすくするということが大変重要になります。

●自ら発信すると主体性が高く見える

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自ら発信する重要性の2点目は「主体性が高く見える」です。こちらもとても重要なポイントです。

先述の通り、こちらの様子がわからないとマネージャーや上司など仕事相手が不安になります。その結果どうなるかというと、マネージャーや上司から「今どうなっていますか」「仕事は大丈夫?」「困ったことはないですか?」「仕事はキチンと進んでいますか?」と確認が届くことになります。

ここで重要なポイントは「相手から聞かれてから回答する」のではなく、「自分から発信して伝える」ということが大切だということです。

私が顧問をしている東証1部上場企業のメンバーズ社社長の剣持さんが、週報という形で毎週自身の仕事のスタンスを発信してくれていて、その中の1つがとても記憶に残っています。その内容は剣持さんが新人の時に意識していたことでした。それは、「先輩とか上司から聞かれる前に自分から報告すること」でした。

多くの場合、仕事を任された人は上司から「仕事がどうなっている?」とか、「進んでいるか?」ということを聞かれてしまうが、剣持さんはそれが嫌だと。なぜなら上司から聞かれたり、先輩から聞かれてしまった時点で、その仕事のオーナーシップ(=その仕事の主体性)が上司や先輩に移ってしまうからだと。

聞かれた時点で、自分に矢印が向かってきてる状況になり、受け身の立場になってしまう。そうではなく、最初は仕事はもちろんできないし、新人だから能力も足りないのだけれど、自分の方から報告や質問していくことによって、矢印が自分の方から出る形になり、その仕事の主体性を持つことになります。

そうすると周囲の人たちからすれば、「彼はまだ新人だけど、すごい高い意識で仕事をしているように見える」「安心して仕事を任せられる」といった形になりやすいと。

こういった自分がきちんと主体性を持って発信するという構造にするのが重要で、こういった意識を持ってやっているかどうかで、全然仕事の成長が違うということが書いてあったのです。私はこの剣持さんの考えに完全に同意です。まさにその通りだと思います。

自分の側から言っていけば、仕事に対して自分が主で相手が従の構造になります。反対に上司や同僚の方から聞かれることは、その段階からその仕事が相手が主で自分が従になってしまいます。

すると結果的には伝わる情報は同じであったとしても、どちらが主体性を握っているのか、オーナーシップがあるかは180°全く異なる訳です。

自ら発信することで、主体性やオーナーシップが自分にある構造になり、周囲からもその様に認識される。実際に、私自身もこの意識を強く持って仕事をしてきたので、クライアントワークなどの様々なシーンで「オーナーシップ(=主体性)を持って仕事をしている人間」というふうに見てもらうことができて、それがゆえに様々な会社を起業・経営したり、多くのビジネスにおいて活躍しやすくなっていました。

この意識に気づけている人は日本のビジネスシーンにおいて、恐らくとても少ないと思います。出来ている人が少ないので、実践できれば他の人達に大いに先んずることが可能になります。ぜひこの意識を持って「自ら発信」を推進していくことをお勧めします。

●自ら発信することはアピールになる

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3点目は「自ら発信することはアピールになる」ということです。自分から発信するというのは、「自分が何してるのか」「どんな仕事をしているのか」「どんなことを学んだのか」といったことを発信することですが、それはすなわち自分の存在感であったり、自分の仕事の結果、もしくは自分の仕事の過程などをアピールすることになります。

普段からこういった形でアピールされていると、上司や同僚からすればポジティブに、「彼はこんなことがしたいのでは?」「彼女はこういうところが得意なんだ」ということがわかって、仕事を任せやすかったり何か仕事を依頼する時にその人のことを優先的に思いつきやすくなるのです。

しかし、私達日本人はこの「アピール」というものが結構苦手ですよね。良い仕事をしていれば自然に周りが気づいてくれる、自分からアピールするのは“はしたない”と考えがちで、私もそういう考えを持っている傾向があります。

勿論、出来ていないことまで誇大して発表するのは良くないと思いますが、きちんとやっていることを伝えない、アピールしないというのは、必要以上に自分の評価が過小評価されてしまうので、とてももったいないと思います。特にテレワークやリモート環境においてはアピールがないと本当に全く気づいてもらえない可能性もあります。自分がやったことをきちんと伝えるのは、ビジネスマンとして当然のことで、これからの時代で活躍していくためにはとても重要なことなのです。

●報連相の頻度を上げる

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ここまで自ら発信することがいかに重要かということをお伝えした上で、次は「具体的にどうして行くのか」というポイントを紹介します。

まず1点目は「報連相の頻度を上げる」ということです。恐らく社会人になったばかりの方は、誰かしらに報連相(報告・連絡・相談)をする事が求められていると思います。この頻度を上げていきましょう。

これまで1日1回だったところを2回に増やす。2回しているのであれば3回に増やす。すると上席のあなたへの信頼感が間違いなく大いに向上します。報連相の頻度を上げると言うのは、1番簡単で大変効果的な手法と言えます。

●「分報」を活用する

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続いては「『分報』を活用する」です。「分報」とは馴染みのない方もいるかなと思いますが、次に挙げる「日報」と対比する手法です。「日報」は1日に1回報告するフォーマットであり、分報というのは1日にまとめて報告するのではなくて、30分ごとや1時間ごとなど、何かあった際になるべくリアルタイムに報告するという取り組みです。テレワークが大変進んでいるサイボウズ社などが実施している手法として、注目を集めているコミュニケーションスタイルであり、とても効果的です。実施できる環境であれば、ぜひ導入されることをお勧めします。

報連相は多くの場合誰が誰に発信するか決まっていると思うのですが、分報はツイッターのように独り言のように「今こんな事やっています」というふうに呟く手法です。受けた側は、反応することもあれば、しないこともあるという気軽なアプローチで、緩やかにリアルタイムに状況を可視化できるようになり、非常にお勧めな手法です。

●日報を細かく使う

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続いて「日報を細かく使う」という手法を紹介します。通常、日報を送る頻度は1日1回、作成するのも1日1回だと思いますが、これを仕事する過程で内容を少しづつ作り進めていき、より具体的に細やかなものにしていくという話です。

どうしても1日の終わりに作成しようと思うと、内容が粗雑になったり忘れたり、抜けが多くなってしまうと思います。これに対して、仕事しながら都度細かく作り進めていくことによって、より具体的で詳細な内容が報連相できる様になります。

さらには「スタンドアップミーティング」の様な場を設けて行うのも良いと思います。 スタンドアップミーティングというのは、その名の通り立ちながら会議するというもので、エンジニアや開発者が毎朝集まって高い机に集まりながら、今の進捗状況などを共有するイメージのミーティングです。

テレワークでも、これに近い形で、例えば朝10分だけ上司に時間を貰って、やっていることをバッと話していったり、お昼の10分だけ、もしくは始業就業前の10分だけ話すといった短い時間で定例化して詳細に報連相していくといったことができる環境を作っていくと良いと思います。

●ネガティブな発言は控えめに

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次に自ら発信する際の注意点をお伝えします。まず1点目は「ネガティブな発言は控える」です。

発信を増やすと、愚痴や不平不満などのネガティブな意見もでてきがちです。特に社会人になったばかりの頃は、そういう気持ちになることも無理もないと理解できますが、ネガティブな内容の発信は基本的に良い印象を相手に与えません

「やる気あるの?」「精神状況大丈夫?」「未熟だな」という印象を持たれがちで、社会人としては減点対象になってしまいますので、自ら発信することを意識する際には意識して行わない方が良いといえます。充分に注意したいポイントです。

●期待値調整をする

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前述の通り報連相の頻度を上げるのは大切ですが、「どの位の頻度で」「どういった形で」発信するかなどは、上司やチームメンバーに事前に期待調整をした方が良いと思います。

例えばメールで報連相をする際に、突然1時間ごとにメールが続けざまに飛んでくると上司の方はびっくりしますよね。良かれと思ってやったにも関わらず、「異常にたくさん送ってくるな、彼は社会人として大丈夫かな」と常識や良識を問われてしまう事にもなってしまいます。

こういった相互の認識のズレを防ぐために、事前に話し合って「期待値調整」を行う事が大切です。

「初めての仕事なので最初は細かく報告しますね」「報告する時には、チャットで送ります」「メールで報告します」といったことを事前に期待調整しておけば、不要な誤解を生むことなく「自ら発信」のメリットだけを活かすことができます。

●今回のまとめ

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以上の様に、リモートワークでは「自ら発信していく」ことをまず意識するのが大切です。こちらから発信しないと相手側は動きが見えないので不安になります。反対に自ら発信していると先方には「主体性」があるように見えるし、良い意味での「アピール」を可能にするので、より良い仕事関係や信頼関係の構築を実現可能にします。 

また、「自ら発信」の方法には様々な方法があるので、チームとか状況でケースバイケースで取り入れたらよいと思います。注意点としては、「ネガティブな発信を控える」、「発信の頻度や方法は事前に共有して期待値調整を行う」といったことに気をつけましょう。

以上を踏まえ、ぜひまずは「自ら発信」を意識して行い、ハイコンテキストからローコンテストへの転換を実現して頂ければ幸いです!


▼動画はこちら。参考になりそうであれば、ぜひチャンネル登録お願いします!

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