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【独自調査公開】リモート化は「人間関係のストレス」にどう影響する?

テレワークに関する気になる現状に関する独自調査を行い、分析結果を解説する「クイック自主調査」シリーズ。今回は「リモート化は「人間関係のストレス」にどう影響する?」というテーマで独自調査を行いましたので、その結果公開と今すぐできる対策について解説します。

リモート化すると人間関係のストレスにどう影響するのか。人によっては「リモート化は快適」「人間関係のストレスも減った」という人もいれば、一方で「リモート化で本当に大変」「コミュニケーションしづらい」といった人もいて、両方の側面があると思います。

これに対して実際に人間関係の面でどういう影響があって、その要因は何なのかということを把握しておくことは、これからの打ち手を考える上で有益だと考え自主調査を行いました。 ぜひ今回の調査結果を皆さんのビジネスシーンにお役立て頂ければ幸いです。

▼今回の内容は以下の動画でもご覧頂けますので、ぜひご覧ください!

仮説・論点

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それでは早速今回の調査を見ていきましょう。今回の調査では、リモート化は人間関係のストレスにおいてポジティブ、ネガティブ両面あると想定されるが、実際にはどちらの影響が大きいのか。また、なぜそういう影響が出ているのかということを調査しました。

調査対象

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調査の対象は114人。内訳は、会社員、公務員、役員。条件は週1回以上はリモートワークをしている人を対象にしました。年齢構成は20代:16人、30代:38人、40代:32人、50以上:28人でした。 

調査内容は「リモート化で、会社におけるあなたの人間関係のストレスはどうなりましたか?」という質問に対して5段階で回答を得ています。

選択肢は「ストレスが減った(リモート化で人間関係は楽になった)」、「どちらかと言えばストレスが減った」、「どちらともいえない」、「どちらかと言えばストレスが増えた」、「ストレス増えた(リモート化で人間関係は大変になった)」。

さらに、「その理由は何ですか」と、具体的に何で軽減したのか、悪化したのかという理由をフリーワードで回答してもらいました。

結果1〜総合

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それでは調査結果を見ていきましょう。調査結果1、総合的な結果としては「ストレスが減った」という回答が全体の6割になっています。上のグラフの緑色(濃い緑&薄緑)のところが軽減したという回答です。 残りは2割が「どちらでもない」。2割弱が「ストレスが増えた」という結果になりました。今回の調査では、この様に全体としてリモートがストレス軽減に寄与してるという結果が見て取れました。

結果2〜年齢別

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次に「年齢別」の調査結果です。年齢別の調査では、ある程度イメージ通りの結果になりました。上のグラフの通り、20代〜40代までは顕著に「ストレスが減った」という回答が多いという結果でした。

20代ではなんと大半に当たる約7割の人が「ストレスが減った(リモート化で人間関係は楽になった)」をつけていました。30代40代になるにつれて「どちらかと言えばストレスが減った」という割合が増えるものの、やはりストレスが大きく軽減されているという傾向でした。

ところが50代以上ではストレスが軽減したという回答は3割未満で、反対に4割以上は「ストレスが増えた」と回答しています。 ここで年齢における感想の差が大きいということがはっきりと出ていました。

結果3〜年齢別

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今回は「頻度別」でも調査を行いました。リモートをどの位行っているかということで、「週1日〜2日程度リモート」、「3〜4日程度リモート」、「週5でリモート」ということで調査したところ、若干の差異はあるものの、全体としては頻度による大きな傾向の違いは見られませんでした

ストレス軽減の5つの理由

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上記の通り、ストレスが軽減したという人が40代以下では約7割、全体としては約6割に上った訳ですが、次に「なぜストレスが軽減したのか」という質問に対するフリーワードでの回答結果を紹介したいと思います。ストレスが軽減した理由は大きく分類すると4つの理由に分かれました。

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リモートでストレスが軽減した理由の1つ目は「面倒な人と会わずに済む」というものでした。

直接話すとイライラしてしまうがメールなら冷静になれる、嫌いな人と顔を合わせなくて済む、すぐイライラする人とは会わなくても良い、面倒な人や苦手な人と会わずに済むという意見が集まりました。

やはりオフィスというのは色々な人が集まるので、当然その中には気が合う人もいれば合わない人もいます。その中においてリモートによって「合わない人」「面倒な人」「苦手な人」と会わずに済むということがストレス軽減に大きく寄与しているという結果でした。

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リモートでストレスが軽減した理由の2つ目は「上司と会わずに済む」でした。先程の理由1のより具体的な意見とも言えますが、やはり上司との会話や対面が非常にストレスに感じている人は多いようで、今回の回答でも、上司からの圧力が減った、上司が他のメンバーを怒る声を聞かずに済む、(気を遣って)空気を読む必要がなくなったという声がありました。

これを元に仕事においてプラスかマイナスかを直ちに論ずることはできませんが、少なくとも人間関係のストレスという面では上司と会わなくて済むというのはポジティブに捉えられているようです。

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リモートでストレスが軽減した理由の3つ目は「集中できる」です。他の人との会話に煩わされる必要が無くなり、不要な打ち合わせに参加しなくても良くなったということでした。

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リモートでストレスが軽減した理由の4つ目は「他の人の目が気にならない」です。これまで他の人の目を気にして仕事が終わっているのにも関わらず帰ることができなかったという人や、そもそも周りに誰かがいることがストレスという人もいて、そういう人たちがリモート化で非常にストレスフリーに仕事ができるようになったという意見でした。

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リモートでストレスが軽減した理由の5つ目は「望まぬ社交が無い」というものでした。これは主に飲み会を指しているようです。オフィスで「飲みに行くぞ!」と言われた時に、よほど気が強くないと「いえ私は行きません」と言えませんよね。半強制的につきあわされるような状況がな無くても済むようになったということでした。

ストレス増加の4つの理由

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それでは次に、「ストレスが増加している」原因として回答されたものを紹介します。こちらは大きく4つに分類できました。

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リモートでストレスが増加した理由の1つ目は「コミュニケーションがしづらい」というものでした。

これは、まさに私のnote記事やYouTubeチャンネルで課題や乗り越えるべきテーマとして取り扱っていることですね。様々な調査でもリモートになるとコミュニケーションがしづらくなるということが言われています。

今回の調査でも、これまでの調査同様、リモート化によるコミュニケーションの難しさが意見として挙がりました。

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リモートでストレスが増加した理由の2つ目は「管理・マネジメントしづらい」でした。これは管理職側の意見ですね。

これまで私も度々紹介してきましたが、やはり管理者目線では様子が分かりにくいので「部下に出社して欲しい」という意見が見られました。

私のnoteやYouTube動画でリモートでも上手にチームマネジメントする方法を紹介してきましたが、これからの時代、管理職側もリモートで上手にマネジメントをするスキルを身につける必要性がより高まっていると言えるでしょう。

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リモートでストレスが増加した理由の3つ目は「雑談や会話が減る/仲良くなれない」です。

リモートではコミュニケーションの機会が減ったり、ちょっとした雑談がなくなるという傾向が今回の調査でも見られました。また、嫌な人と合わないというポジティブな面を感じつつ、親しい人とも会えないという両面性を感じている意見もありました。

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リモートでストレスが増加した理由の4つ目は「家庭内がギクシャクする」というものでした。

今回は職場での影響をヒアリングしていたのですが、仕事を通じたコミュニケーション全般で見ると、在宅リモートが増えて家族との時間が増えたり、家に居る時間が増えたことによることによってストレスが増えるという事実も挙げられていました。

この件に関しては、また別途詳しく解説の機会を設けたいと思います。

サマリ

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今回の独自調査の結果をまとめたいと思います。

20代から40代は7割程度がストレスが軽減していているという回答でした。

その理由として、「面倒な人と会わなくて済む」「上司と会わなくて済む」「集中できる」「他の人が気にならない」「望まぬ社交が無い」という意見が挙げられました。

一方で50代以上はストレスが軽減したという意見は3割にとどまり、約4割の人がストレスが増加してると言っていました。

その理由として、「コミュニケーションしづらい」「管理しづらい」「雑談や会話が減ってしまう」「家庭内がギクシャクする」という意見が挙げられました。

考察

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以上の調査結果を受けて、私の考察を申し上げたいと思います。

今回の調査結果全体から見ると、リモートワークは様々な人間関係のストレス軽減に有用であると言えると思います。

今後の働き方としてリモートワークを有効に活用することで、これまでの職場の問題の大半を占めていた人間関係のトラブルを格段に減らしていくことができる可能性があります。ぜひ多くの方にリモートワークを上手に活用できる方法を身に着けて頂ければと思います。

一方で「コミュニケーションが難しい」「マネージメントが難しい」「雑談機会が喪失する」といったリモートの負の側面も理解し、その上でチーム全体で解消して行くためのルール化やスキルアップが今後より求められると言えると思います。 

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▼今回の動画版はこちらです。ぜひご覧ください!

▼YouTubeチャンネル「テレワークで活躍したいなら~池田朋弘のリモートコミュニケーション実践塾」

▼テレワークで活躍したい方のためのnoteシリーズ

この度、リモートでの会社経営・チーム運営を続けてきた中で得られた知見や実践例をまとめた書籍『テレワーク環境でも成果を出す チームコミュニケーションの教科書』をマイナビ出版さんから出版しました。

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