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「雑談チャンネル」はなぜ流行らないのか?その原因と解決策

“リモート起業家”の私がテレワークで活躍する秘訣をお伝えするリモート仕事術シリーズ。今回は「雑談チャンネルはなぜ流行らないのか?その原因と解決策」と題してお話します。

「雑談チャンネル」というのは、チャット上での雑談ルームのことです。リモートワークでメインの交流の場がチャットになるとどうしても雑談が減りがちです。

コミュニケーションのためには必須とされる雑談を増やすために、チャットのルームとして雑談がしやすい場所を作ろう、という流れで作られるチャンネルのことを雑談チャンネルと言います。

私はこれまで7社を起業して来ましたが、Slackチャンネルだけでも、自分の会社、顧問やアドバイザーなどで入っている組織分など合わせて20チャンネルぐらいに所属しています。

そんな際に、割と多くの組織で見かけるのが「雑談専門チャンネル」を作っているケースです。 世間一般でも、リモート化したことで雑談の機会が減ったことを危惧する多くの企業が雑談チャンネルを作っていることが紹介されています。ところが、この雑談チャンネルがきちんと使われて上手くいっているケースはほとんど無いと言われます。

たまにポツポツと情報共有みたいな感じの投稿があることもあれど、ほとんど反応もなく、そのまま過疎ってしまう・・・。こういうケースを非常によく聞きます。 

今回は、「なぜ雑談チャンネルが上手くいかないのか」という原因と「それではどうすれば雑談や活発なコミュニケーションができるのか」という有効な対策を紹介します。

このテーマに悩むチームや会社、組織は今後ますます増えてくると思いますので、是非参考として役立てて頂ければ幸いです。

▼今回の内容は以下の動画でもご覧頂けます。ぜひご覧ください!

原因1.衆人環視のプレッシャーがあるから

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それではまず、「なぜ雑談チャンネルが上手くいかないのか」という原因を3つ解説します。雑談チャンネルが上手いかない原因、1つ目は「衆人環視のプレッシャーがあるから」です。

雑談チャンネルには多くのケースが全社員、もしくはチームメンバー全員が入ります。 そうすると数十人、数百人といった規模感のチャンネルになります。その様などのような人が見ているかよく分からないチャットにおいて、「さあ雑談してください」「何か投稿ください」と言われても、投稿するのは相当ハードルが高いですよね。

多くの場合、リモートの組織においては会ったことが無かったり、話したことが無い人がチャットのチャンネルに入っています。 また、自分より役職や年齢が上の人とかも入っています。 そのような中で「自由に雑談してください」と言われても、皆が見ていると思うと気軽に話せないのも無理はありません。

原因2.テーマが明確ではない

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雑談チャンネルが上手いかない原因の2つ目は「テーマが明確ではない」ということです。

考えてみると、雑談で話す内容って「結果」のことなのです。つまり「昨日こんなことがあったんです」とか「先日の状況をシェアしたい」とか、「週末に食べた料理のことを話してみたい」とか、「旅行に行って面白いことがあったので共有したい」「好きなスポーツチームの試合結果の話をしたい」みたいな過去の結果のことがテーマであることが大半で、それらを総称して雑談と言うことが多いのです。

しかし、「過去の●●について話す」とテーマを明確にして言われれば分かりやすいのですが、「雑談をしてください」と言われると途端に不明瞭になります。ですから、「雑談を投稿してください」と言われてもテーマが見えてこない方が普通なのです。

さらに、リモートやチャットにおいては、「テーマ」が決まっていないと発信するハードルがすごく高くなりがちです。「これについて報告や相談するときはこのチャンネルで」ということでテーマが明確なので、業務上では問題なく使用されるのです。

以上の背景からも、テーマが見えにくい「雑談」ということを専門にしている雑談チャンネルは、投稿しづらいと思われてしまうのは自然なことだと言えるでしょう。

原因3.流行ってないから

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雑談チャンネルが上手いかない原因の3つ目は「流行ってないから」ということです。

上の2つの理由からもあまり投稿がなされない雑談チャンネルですが、ほとんど投稿がないチャンネルに自ら先陣を切って投稿するのは相当大変です。

社長とかマネージャーとか、先陣を切る責任ある立場であれば義務感で投稿しなくてはいけないケースもあるかと思うのですが、大半の人はそんなことしたくありません。

その結果、もともと使われていないことが原因になって、余計使われなくなってしまう・・・という感じで、ネガティブスパイラルが発生しているという現状がよくあると思います。

具体的な解決策の前に・・・対策3点まとめ

・発信しやすくする
・テーマを明確にする
・過疎感を無くする

それでは、どうすればリモートで雑談ができるようになるのでしょうか。具体的な手法をお伝えする前に、流行らない原因を元に対策のポイントをまとめてみたいと思います。

●発信しやすくする

まずは「発信しやすくする」ということが大切です。いかに色々な人が見ていることへの不安と抵抗を減らして、気軽に投稿できる状況を作るかということが1つ目の考えるべきポイントになります。

●テーマを明確にする

次に「テーマを明確にする」ということがポイントになります。どんな発信をすればいいのかということをきちんと決めて明確にすることが大切です。

例え名前は「雑談チャンネル」であっても、例えば「昨日あった事を投稿しよう」とか、何を投稿するかが具体的に決まっていれば、送る側としては格段に送りやりやすくなります。

●過疎感を無くする

ポイントの3つ目は「過疎感を無くす」ということです。やはり「みんな使ってないな」と思うと送ろうという気になりません。

そう思われないためには、グループを小分けにしたりとか、誰かが順番に定期的に投稿するルールにするとかして、過疎っている感じを出さないようにして、皆が気軽に発信できるようにすることが必要です。

超お勧めの対策:自分チャンネル(分報)を作る

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それではここからは、非常に効果的な取り組みを紹介します。それが「自分チャンネル(分報)」です。 

「分報」というのは耳慣れないかも知れませんが、「日報」は1日の終わりに1日分の報告をすることですよね。「週報」は一週間分の報告です。これを分単位の様に、何か報連相すべきことがあればすぐに送るというものが「分報」です。 

分報は近年日本を代表するIT企業などで導入されてきていることで有名になりつつあります。要するに、トップのビジネスシーンのスピード感では、日報の様な1日1回の報連相だと遅すぎる訳ですね。

私がお勧めしたい手法は、この「分報」を「自分チャンネル」の中で送って情報共有していくというものです。

「自分チャンネル」とは、チャットの中に個々のメンバーが発信する専用チャンネルを作ってTwitterの様に発信していく手法です。

私は自分の会社やチームで、この自分チャンネルで分報を呟いていくという取り組みを行って来ましたが、これが雑談チャンネルに代わり、非常にうまく機能して雑談を良い形で生んでいっているのです。

実際の「自分チャンネル」の様子紹介

以下は、実際の「自分チャンネル」のイメージです。これは「絹子さん」という方の自分チャンネルを抜粋したものです。

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このような感じで、「仕事をスタートしたこと」や「今日何をするのか」であったり、「今、何をしているのか」「仕事中に疑問に思ったこと」「分からないこと」などを書いていきます。

周りのメンバーはこういった発信に対して、スタンプで反応したり、必要に応じてコメントやリアクションを返して行き、コミュニケーションを生んで行きます。さらにこの中で自然に雑談に発展することもある・・・というのが、「自分チャンネル」のイメージです。

この時に非常に大切なポイントは、自分ひとりのチャンネルをそれぞれ全員が持つということです。 

上の画像は「絹子タイムズ」という名前が付いている絹子さんという方の自分チャンネルです。もちろん、私の「池田タイムズ」もありますし、鬼頭さんという方の「鬼頭タイムズ」もあります。

この様にメンバー全員が自分のチャンネルを持って業務報告も状況共有も、雑談や近況などもここで発信する訳です。

それでは次に、なぜこの自分チャンネルが雑談チャンネルと比べて上手くいくのか、理由を3つお伝えします。

自分チャンネルが上手くいく理由1:自分がオーナーであることが明確なので、発信がしやすい

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自分チャンネルが上手く行く理由の1つ目は、「自分がオーナーであることが明確なので、発信がしやすい」ということです。 

雑談チャンネルは皆が参加していて、基本的に皆並列です。そうすると、当然、会社の序列であったり、人間関係によって発信のしやすさが決まってきます。つまり下の立場の人が非常に発信しづらいのです。

それに対して自分チャンネルは明らかに自分がオーナーです。ここで発信することをルールで決めてもらえている場なので、自分から発信することへの抵抗を格段に減らすことができます。

自分チャンネルが上手くいく理由2:目的が状況共有と決められている

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自分チャンネルが上手く行く理由の2つ目は、「目的が状況共有と決められている」ということです。

前述の通り、「雑談チャンネル」は漠然と雑談を呟いてくださいね、という曖昧なテーマなので何を投稿して良いのか分かりません。

それに対して、自分チャンネルは「分報」という概念が明確ですので、「状況共有(報告)をする」というテーマが明確です。

特に通常リモートワークでは互いの仕事の状況や現状が分かりづらい、共有しづらいので、積極的に互いの仕事の様子を状況を共有する自分チャンネルや分報の効果は本当に大きいのです。

日報や週報などで自分の状況共有をするように、それを頻度をぐっと上げて分単位でSNSで発信するかのように自分の業務状況を投稿していく。

さらにそこにプラスアルファして私生活であったり、自分のプライベートの事を入れても全然オッケーというような形で雑談要素が組み込まれていくといった感じになるので、テーマが明確で非常に使いやすいのです。

自分チャンネル&分報に関しては、以下noteでどんなパターンで発信するべきかということを整理してまとめていますので、もしよろしければご参照ください。

自分チャンネルが上手くいく理由3:少数参加でもオッケー

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自分チャンネルが上手く行く理由の3つ目は、「少数参加でもオッケー」ということです。

雑談チャンネルを作ると、全社もしくはチーム全員が揃って入る必要がありますよね。公式チャンネルっぽい感じになって全員参加が求められがちです。

ところが自分チャンネルは、フォロワーの様に好きに入って見てくださいというものなので、別に「池田タイムズ」に10人入っていて、「絹子タイムズ」が20人入っているとか、チームメンバーが3人とか5人とかであれば、チャンネルの登録数が3人5人でも全然オッケーです。 

ツイッターを自由にフォローするかのごとく、上司やチームメンバーとか数人が入っていれば、全員入る必要はないということで、スモールスタートしやすいのです。

この様に、「自分チャンネル」は、非常に始めやすくて、始めてみると自分オーナーなので発信もしやすいし、テーマも明確で発信されて過疎ることもなく、周囲も反応しやすいので盛り上がりやすい、という非常に良い取り組みです。

私の組織ではとても上手くワークしていて無くてはならない手法です。ぜひ皆さんの組織でも役立てて頂ければ幸いです。

それではまた、次回の「テレワーク実践術」でお会いしましょう!

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▼動画版はこちらです。ぜひご覧下さい!

▼YouTubeチャンネル「テレワークで活躍する秘訣~池田朋弘のリモート仕事術」

▼テレワークで活躍したい方向けのnoteシリーズ

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