【迷信反証】リモートだとコラボやアイデアが生まれない?テレワークの3つの思い込みと反証|世界の最新テレワークニュース
テレワークに関する日本であまり知られていない世界中の最新ニュースについて、その要点&考察をお届けする「世界の最新テレワークニュース」。今回は、HUFFPOSTのリリースである「3 Myths About Working From Home That Just Aren't True」という記事に基に、「リモートだとコラボやアイデアが生まれない?テレワークの3つの思い込みと反証」というテーマで要点と今すぐ使える対策について解説します。
こういった知識をきちんと得ておき、それぞれの主張の内容を把握していることにより、自分自身の学びを向上できますし、会社やチームに対して何かあった時に説明ができるファクトを提示できる力になっていくと思うので、ぜひ紹介させて頂きたいと思います。(元記事は英文ですがとても興味深い内容になっています。ぜひこちらもご覧ください)
▼今回の内容は以下の動画でもご覧頂けますので、ぜひご覧ください!
●よくあるテレワークへの3つの思い込みとそれぞれへの反証を紹介!!
今回もまずは記事のサマリーの日本語訳から紹介したいと思います。今回は記事からの学びのポイントも同時に記載します。
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●思い込み1. リモートでは、偶発的な会話が減りコラボやアイデアが減る
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・調査結果1:「個室→オープンなオフィス」で、対面交流が70%減り、メールが増えた
→The Truth About Open Offices(Harvard Business Review)
https://hbr.org/2019/11/the-truth-about-open-offices
→第4の壁:演劇の役者が、舞台前に壁があるように振る舞う
・調査結果2:オープンスペースは、監視感が強まり逆に居づらい
→Doing gender in the ‘new office’(Gender, Work and Organization)
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/gwao.12200
→多くの女性が男性に監視された感を感じる
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●思い込み2. リモート勤務する人は仕事意欲が低い
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・調査結果1:リモートワークは従業員のコミットを高める
→Remote-Work Options Can Boost Productivity and Curb Burnout
https://www.catalyst.org/reports/remote-work-burnout-productivity/
→リモートの選択肢があると、コミットが68%アップ
・調査結果(ファクト)2:マイノリティにとってオフィスは辛い
→Office Culture Is So Unwelcoming To Black Employees, They Don't Want To Go Back
https://www.huffpost.com/entry/black-workers-prefer-remote-work-racist-office_l_60c8f805e4b0f7e7ccf59fa1
→「黒人が1人、のような環境で働くのは嫌」
・調査結果3:オフィスかどうかより、上司の対応が大事
→Failure to Attach: The Crisis for Pandemic Hires
https://f.hubspotusercontent10.net/hubfs/2759869/Offers/Perceptyx-Failure-to-Attach-Pandemic-Onboarding-FINAL-May-2021.pdf
→リモートで勤務スタートしても、上司が1on1等を行うことで、疎外感を防げる
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●思い込み3:自宅で働く人はオフィスよりサボる
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・調査結果1:在宅ワークは生産性を下げない
→90% of employers say working remotely hasn't hurt productivity
https://edition.cnn.com/2020/08/27/success/work-from-home-employer-plans-for-more-flexible-policies/index.html
→在宅ワークでも90%は生産性が同様または向上
・調査結果(ファクト)2:逆に燃え尽き症候群などのリスクはある
→Women Are Not OK
https://www.huffpost.com/entry/women-are-not-ok-coronavirus-career_n_5f7cdfb2c5b61229a058bd08
→家事、学校手伝い、仕事が疲労困憊
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●学びのポイント
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・主体的・自発的なコミュニケーション
→アイデア出しやディスカッション
→上司との関係性構築
・仕事のメリハリ(頑張りすぎない)
●思い込み1. リモートでは偶発的な会話が減りコラボやアイデアが減る
まず思い込み1は「リモートでは、偶発的な会話が減り、コラボやアイデアが減る」というものです。
これはよく言われることですね。先日ある会社の代表と話していた際も「やっぱり会社でコラボとか、アイディアの創出ができなくなるので、リモートは禁止で出社前提という風になってしまう」と仰っていました。
今回の記事では、類似例として「オープンオフィス」の事例を挙げています。IT企業やベンチャー企業などで、コラボレーションやコミュニケーションを活性化するためにオープンスペースを作るケースが多く見られます。これが逆にあまり良い影響を及ぼしてないことがあるという調査結果を挙げ、反証を試みています。
・調査結果1:「個室→オープンなオフィス」で、対面交流が70%減り、メールが増えた
記事では「ハーバードビジネスレビュー」の驚きの調査結果が紹介されています。個室からオープンオフィスにシフトした企業を調査分析したところ、なんと対面の交流が70%減ってしまい、メール、電子的な交流が増えてしまっていると言うのです。
原典を見てみると、オープンオフィスで皆の様子が見えることによって、逆にコミュニケーションの壁ができてしまう場合もあることが紹介されています。ここではこのことを「第4の壁」と表現されています。「第4の壁」というのは元々演劇世界で使われている用語だそうです。演劇で舞台に立った時に、役者視点では左右の横と後ろの3方向に壁があって、前方は観客がいる客席で開いている。それに対して、この全面にも壁があるように考えてお客さんがいない意識を持つことによって、自分たちの演劇に集中するといった考え方があるそうなのですが、ここでは同様に、オープンオフィスで前は一見開いているんだけれども、その前の人たちがあまり話していないとか、例えばちょっとしたトラブルがあるとか、集中しているので話さないでくれというオーラを出していたりすると、オープンスオフィスで一見話しやすそうなんだけれども、実は全然コミュニケーションが取れていないといったことがある。この状況をこの記事では「第4の壁」と紹介していました。
実際に、私も以前勤めていた会社で同様のことを体験したことがあります。その会社はオープンオフィス的な感じでしたが、そこに色々な会話があったりとか、アイディアが盛り上がっていくかというと、そういう雰囲気でもありませんでした。むしろ黙々と仕事してる人が多いという感じもあり、確かにオープンオフィスにすることで必ずしもコミュニケーションが増えるとは言えないというのは、私自身の肌感としても思います。
・調査結果2:オープンスペースは、監視感が強まり逆に居づらい
記事では、女性視点のケースが紹介されています。あるオープンスペースにした社員数1,000人位の会社でのこと。一部の人にとっては周りの様子も見えるし、非常に快適という意見がありつつ、大半の人、特に女性などは男性から監視されているように感じて、むしろ行動しづらかったり話しづらいという風に感じてしまうという調査結果があるそうです。
以上の様に記事では、いわゆるオフィスに集まってオープンに皆が集まっていれば交流が増えるというのは必ずしも真実ではないということが強く主張されていました。
●思い込み2. リモート勤務する人は仕事意欲が低い
2点目の思い込みは「リモート勤務する人は仕事する意欲が低いのではないか?」というものです。
これは別の記事などでも同様の調査結果データがありますが、この記事でも反対に「リモートワークは従業員のコミットを高める」ことがあると紹介しています。私のnote記事やYouTube動画でも先日紹介したカタリストという会社の調査でも、リモートの選択肢がある会社の方がない会社よりも従業員のコミットレベル、コミットの意識が68%高いという結果が紹介されていました。
さらにこの記事では、「マイノリティにとってオフィスに居るのは辛い」という意見があることを紹介しています。記事では黒人の方からの声として、「周りに黒人が全然いない環境はとても働きにくい」「自分1人が黒人という環境ではなくして欲しい」「次善の策としてリモートワークも望ましい」という意見が紹介されています。
これはアメリカに限らず、日本や世界中どこにおいても同様なことが言えると思います。オフィスで「年齢が1人だけ若い」、逆に「自分だけ年長である」「1人だけ女性である」といった形だと、自分が少数派として多数派の同調圧力を感じてしまうという声は多々耳にします。
また、「オフィスかどうかということよりも『上司の対応』の方が大事」であるという調査結果も紹介されています。
この記事では、リモートの場合とオフィスの場合のどちらがモチベーションが高いかということと、それに付随した調査結果を分析しています。結果はリモート勤務かどうかではあまり差異は見られないと。むしろ上司の対応に関する内容の方が影響が出ていて、例えば、リモート勤務だけとされると、あまり歓迎されていないと感じてしまうが、上司がきちんとケアして1on1等をすることで、疎外感を防止できる上に、問題化しないという結果が出ていることが紹介されています。
この様に、この記事が主張するのは、一概にリモート勤務するから仕事力が低いということは言えず、むしろリモートワークはコミットを上げることも多いし、マイノリティの場合はリモートの方が働きやすかったりする。問題はリモートかオフィスかということよりも上司の対応が重要であり、そちらの対応力を上げるべきであるという話が、迷信への反証として挙げられています。
●思い込み3:自宅で働く人はオフィスよりサボる
これもよく聞かれる迷信の1つです。記事ではこの迷信に対しても明確に反証しています。
1つ目のデータでは、2020年8月の在宅ワークをしている人に対して在宅になった後の生産性の意識を比べると、90%はリモートになっても全然生産性下がっていなく、反対に3割の人が上がってるという回答をしているそうです。そこから「在宅ワークであっても、モチベーションが低下するとは言えないのではないか」と書かれています。
むしろ在宅ワークをしているときの真の課題としては「働きすぎ」というものがあると。休憩を取らずに長時間に渡って働くことで、燃え尽き症候群ことになることもあり、サボることを心配するよりは、むしろ働かせすぎてしまわない工夫が重要であるという警鐘も鳴らしています。
●今回の学びのポイント
今回の記事では、よくあるテレワークへの3つの思い込みとして、「リモートではコラボしづらい」「 リモート勤務は仕事意欲が低くなる」「自宅で働く人はオフィスよりサボる」といったことを挙げ、それぞれへの反証が試みられています。
これらのデータを踏まえて何が言えるかというところですが、私は2点取り上げたいと思います。 1つ目は、課題はリモートかリモートじゃないかではなく、大切なのは「主体的自発的なコミュニケーション能力や意識」の有無ではないかと思います。
リモートであっても、主体的にコミュニケーションができれば、アイデアを出したりディスカッションすることは当然できると思いますし、逆に対面であってもそういう姿勢がないと難しい。
上司との関係性構築も、リモートであっても1on1をしっかり要望したり、話す機会を依頼することで関係性を構築が問題なくでき、自分のモチベーションを上げることができます。反対にオフィスに出社しても全然リモートコミュニケーションがないとテンションや生産性が下がってしまいます。そこで、リモートコミュニケーションの知識やノウハウを得ることは非常に重要だと言えます。
2点目は「仕事のメリハリが大事」だということです。リモートで長時間過剰に頑張りすぎると燃え尽きてしまったりとか、モチベーションが下がってしまうこともあります。会社からのサボっているのではないかとか、生産性が下がるのではないかという思い込み、先入観、迷信によるプレッシャーというのがあると思いますが、会社がそういうふうに思ってしまう事は致し方ないと考え、きちんと明確に仕事の状況や成果を報告ができていれば、過剰に頑張りすぎる必要はありません。もしろ、努力してメリハリをつけることがテレワークで成功を手に入れる道ではないかと思います。
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