見出し画像

ポップインサイト創業記(60)〜顧問サービスを導入

今回は創業3年目の4月にあった、突然売上が落ちたものの、まだその頃は楽観視していたので、さらなる事業拡大を見据えて外部のプロ人材を顧問に採用したというエピソードを紹介します。

焦りを解消する為に顧問サービスを使うことを検討

当時の私には、「起業して3年も経ってるのに、規模感も全然出ていない」という課題感がありました。実際は堅実に成長できていたのに、周りの華やかなベンチャーを見て、必要以上に焦っていたのです。

会社もそうですが、自分自身にも物足りなさを感じていました。実直に仕事していたし、事業に対する真摯な姿勢とかは着実に鍛えられていた訳ですが、視点や考え方が凄く低いという課題感が頭を離れませんでした。

そういった焦りや課題感から、以前の記事(参照:(52)〜投資家へアプローチに挑戦)で紹介した様に、経験や実績のある人や企業にブレインになってもらうべく、外部の投資を受けようと試みました。しかし、結果的にこの試みはあまり上手く行かなかったので、別の方法で視線を高める事を考えていました。

勿論私には、以前も紹介した嶺井さんというメンターがいるのですが(参照:(18)〜人生のメンター嶺井さん)、メンターに依存するというよりは、別の視点を加えて自分の目線を高めていく事が重要なのではないかと考えていました。

当時のポップインサイトの社員は、私と共同創業者の喜多君を含めて7人でした。社員と私だけでなく、外部の有識者を交えて議論することによって意識を高めていくことができたら会社として面白いのではないかと着想し、そういう人材を探してみることにしたのです。

某大手オークションサイトを立ち上げた人と出会う

調べてみた所、「顧問サービス」というものがあることを知りました。それは、経験豊富なベテランが、月30万位で月に1回2回ミーティングに顧問で入ってもらえるというサービスでした。

そこで、早速問い合わせしたところ、結構凄い人が登録してる事が分かりました。 上場企業で役員をしている人が大勢登録されていたのです。

実際には、今は私自身も一部上場企業の役員なので、それがそんなに大したことではないことが分かります。しかし、当時は知識が乏しかったので、凄く高い経験値を持った人に目線を上げてもらえるチャンスだと考えたのです。

そんな中、某大手オークションサイトを中心になって立ち上げたという人を紹介されました。有名オークションサイトを立ち上げて、今もそこで顧問のような役割をしていると。そこで、早速面談してみる事にしたのです。

会社にとってプラスになるのではと採用を決める

その人の話で面白かったのが、この類の人には「あれ俺」という事が多いという事でした。有名な企画や案件を持ち出して、「あれ、俺がやったんだよ」という人が多いというのです。実際には、その人の知り合いがやっていたとか、ほんの少しだけ部分的に触れたり知っていたりとか、自分自身はほとんど参加していないのですが、自分の手柄や実績として人に自慢してしまう人が多いと。

確かに世間には、芸能人や有名人の名前を出して「あれ、俺の友達なんだ」という人、たくさんいますよね。実際には、知り合いの知り合いの、さらにずっと先に知っている人がいるらしい位の距離感にも関わらず、さも自分の事として自慢してしまう。こんな人の事を「あれ俺」というのだと教えてくれました。

しかし、その人は本当に有名オークションサイトを中心になって立ち上げたメンバーでした。世間に大勢いる「あれ俺」と違い、実際にシステム構築などを中核となって成し遂げた人だったのです。印象としては落ち着いた感じで、40台後半のできるベテランビジネスマンといった感じでした。

私たちのビジネスモデルはネットオークションとは異なるものの、同じBtoBのジャンルとして明らかに豊富な経験を持っていました。こういう人に月数回ミーティングで議論に入ってもらって視点を上げてもらったり、営業的に新規案件や顧客に繋いでもらう事は、会社にとって凄くプラスだと思いました。

当時私の想定では、月30万という金額も全く問題なく行けると思っていました。順調に利益を出せていたし、さらに規模を拡大して行けそうな当時のイメージにおいて全然可能だと。早速その人の採用を決めました。

予想よりもはるかに状況が悪化していた

一方当時の私たちの状況は、自分で全て行なってきた経理業務を外部から細田さんを招聘して委譲した所でした。(参照:(56)〜優秀な経理財務担当者を採用)それとたまたま時を同じくして、月の売り上げが150万に落ち込むという事もありました。

2ヶ月前までは自分で会計やっていたので、その時点までのコストはほぼ完璧に把握できていました。私の計算では前月に1,500万位の利益が出ていたし、翌月にも500万入金がある事が決まっていたので、4月が300〜400万赤字だったとしても大きな問題はないと。また6月以降に盛り返して行けば、支障なく進めて行けるだろうと考えていました。

しかし実際は、私の感覚と現実にズレが生じていました。経理業務を委譲して細やかに把握しなかくなったことで、急激にコストが増加している実態が見えていなかったのです。 

さらに、3月5月に入った利益に関しても、実際は想定より下回っていたのです。想定よりも数100万ずつ低い結果だったのを見て、「あれ、何か少ないな?」と感じていました。


かなり厳しい状況を迎えた夏だった

続く6月7月は、さらに赤字幅が想定よりもそれぞれ100万ずつ大きくなりました。明らかにおかしい状況になっていたのです。

その1番の理由は、急にコストが膨れ上がった事を把握しきれて無かった事にありました。インターン生の大量採用、広いオフィスの移転、そして外部顧問サービス。そういった事をノリでやった結果、想定を大きく超えてコストが膨らんでいました。

さらに、「6月以降で売上を伸ばして盛り返していけばいいかな」と思っていたものの、実際には、6月7月8月とほとんど前期と同等位しか売上を上げることができませんでした。つまり、支出が爆上がりしていたにも関わらず、収入は変えられていなかったのです。

これまで同様コンスタントな営業努力もしていたし、案件の相談も増えてはいた。しかし昨年と比べて売上面で大きな成長できていない。一方コストは倍増どころか、何倍も大きくなっている。そんな現状に気づくのが遅れて、毎月連続して300万ずつ赤字を生んでしまうようになっていた。そんな実態が6月7月8月になって明白になっていった感じでした。

スポット的な売上増に調子に乗って油断した結果、一気に赤字がガンガンと重なってしまって、相当危機的な状況を迎えてしまっていたという状況を招いた事を、やっと心から理解した夏でした。

次の記事((61)〜「一人ワースト会議」で最悪の事態を想定する)へ進む

前の記事((59)〜スタートダッシュで1ヶ月間に1000件の登録に成功)へ戻る

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?