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桜庭 紀子
2024年1月20日 10:34
一面に河原を覆うタンポポ。主体はその景色を、眼を通して胸に写しとり、帰宅する。静かで、おそらく電気のついていない自分の部屋のドアを開ける。暗くさびしい部屋に一人で入る自分のために、主体は明るく長閑な景色を持って帰って来たのだろうか。 内山晶太『窓、その他』を読むと、生きることの寂しさが詠われつつも、人生に明るさを見出そうとする意思を感じる。内山は1977年生まれ。1992年より作歌を