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映画を観ようと思う。「GLEASON」(邦題:ギフト 僕がきみに残せるもの)

観たいと思った映画を観たい時に観ていく映画鑑賞メモです。
先日、Amazonプライムで「GLEASON」を観たので、感想など。ネタバレ…あるかもしれません。

私の映画鑑賞方法について

基本は「洋画を字幕版で映画館で観る」。邦画はほぼ観ません。吹き替え版も観ません。映画に求めるのが「非日常感」、「エンターテインメント」と「ダイナミックさ」だからかな。観るときはポップコーン大盛り+炭酸飲料必携(むしろポップコーンを食べに行っている感も否めません)。

でもどうしても公開中に映画館で観られない作品も、もう一度観たい!フガフガ‼ってなる作品も沢山あるので、その場合はWOWOW、WOWOWオンデマンド、Amazonプライムなどで観ます。ポップコーンも極力携行で。

parentingとfathering

アメリカンフットボールのトッププレイヤーだった父が初めて生まれてくる息子へ贈ったビデオダイアリーを軸にしたドキュメンタリー映画です。
主人公のスティーブ・グリーソン(Steve Gleason)はアメリカ・ワシントン州スポケーン出身、地元ゴンザガ高校→ワシントン州立大→ニューオリンズセインツ(NFL)で8シーズンプレイ後、2008年に引退。
大男ぞろいのアメフトプレイヤーの中では小柄ながら、スピードと突破力そして恐れを知らないプレイでファンやチームメイトから愛されていたようです。

その彼が引退後結婚し、初めての子(男の子)を授かったのが2011年。
そこから彼は「父親として息子に伝えたいこと」をビデオダイアリーに撮りためていきます。
改めて、つくづく感じる、「子育て文化」の違い。
あくまでも主任はお母さん。でもって、お父さんが「俺も手伝うよ」なんて言っちゃう日本の子育てとはちょっと、いやだいぶ違う。

子育ては「parenting(親業)」であって「child-raising」ではない。
「fathering(父になること)」と「mothering(母になること)」が全く対等である。

最終的には「男性として、父親として、こういう意識を持つことが当然だよ。」という「紳士道」みたいなものが、ビデオダイアリーを通して息子にも受け継がれるんだろうな。と。うらやましい。
うちの息子たちにこのビデオダイアリー「とおちゃんからだよ」とか言って見せたいw とおちゃん完全に人種が違うけど。

ALS、ご存じですか?

でも、彼がビデオダイアリーを撮り始めたのは、妻の妊娠が判明する数週間前に彼自身が「ALS(筋委縮性側索硬化症)」という難病であると診断されたから。刻一刻と進行する病状と、育っていく小さな命。強烈な光と影、そこでさまざまに形を変えていく家族を記録に残していくことになります。

数年前に「アイスバケツ・チャレンジ」というリレーキャンペーンが流行りましたね。有名人が次々と氷水かぶってSNSに投稿してたあれは、ストップALS!というスローガンの下展開されたもの。
すでに5年ほど前のことなので、若い世代だと「知らない」って方が結構いて、あぁあれはやっぱり「ブーム」だったんだなと気づかされました。
その後毎年氷水をかぶるなんて方はいないし、違うリレーキャンペーンが行われてるわけでもないですしね…

ALSは聞こえや味覚・触覚、知能は阻害されないまま、手足を動かすことや話したり食べたりすること、最終的には自力での呼吸すらできなくなってしまう、健康体な側から考えると絶望的な病。原因すら特定されず、有効な治療薬もない難病です。
日本にはおよそ9000人の患者さんがいて、今も世界中で1日に2~3人が新たに診断を受けているそうです。

でっかい「父から子へのラブレター」。

病状が進行し家族が疲弊し、輝かしい過去の自分や関係の良くない父親との対峙があり、観ていてヒリヒリする場面が多くなっていきます。それでも、なにしろ強い。彼自身も、奥様も。どんどん成長する坊ちゃんも。
観ているとメンタル・ザ・豆腐な自分が恥ずかしくなる。

なんだろうなぁ。お国柄だと思うけど、それぞれの「個」が強い。
「自分はこうでありたい」という明確な意思が、幼い頃からしっかり育てられてるので、いい意味でお互いを干渉しない。それはすなわち「自分自身が尊重されるため」でもあるから。
そして健康体であれ、ALS患者であれ、「尊重される」ことは決して揺るがないのです。
アメリカは皆保険制度もなく医療制度が云々、と言われますが、その一方で一般に浸透しているこういう「意識」が、実は患者や障がいを持った方にとってものすごく支えになるというのも事実。

そして彼自身もまた「息子」であり、父親との関係がどうにもしっくりいかないことに難病を抱えたからこそ真っ向からぶつかっていきます。
信仰、価値観がことごとく合わない相手が実の父親であるという厄介な事実を受け容れ、それでも関係性をより良いものにしたいと格闘している姿はきっと坊ちゃんに大きな影響を与えるでしょう。

決して楽しい!やハッピー♪がそう多くない日々の記録なのに、なぜか清々しい。結局最初から最後まで、父から息子へどうしても伝えたいことだけがいっぱいつまったラブレターだったな~…と観終えました。

今年の父の日は、6月21日日曜日。
そして「世界ALSデー」です。



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