【不動産】『家賃滞納という貧困』、2019年•太田垣章子著

著者自身が離婚してシングルマザーになり貧困一歩手前まで経験され、頑張って行政書士の資格を取って、家賃滞納の行政執行代行のお仕事を2000件以上経験したそうです。16年以上も先駆者として滞納者に寄り添って真摯に仕事をされているのがすごく伝わりました。(代行しているので滞納者の住民票なども見ることができます。知りませんでした。)

滞納→督促や連帯保証人に催促→3ヶ月滞納→内容証明郵便による督促→明け渡しの判決により執行人が部屋に行って紙を貼る→強制執行 という手順を踏むようです。
その経験の中から、数十のケースの紹介し、現状がどれほど悲惨か、社会はどうあるべきかを最後に述べられています。

端的に努力の欠如、人間関係のもつれがほとんどの原因です。

•大企業から独立→仕事が途絶えるが、生活水準を変えられず
•寂しさにつけこまれた高齢者が有り金とられる
•親との不仲で就職氷河期の中、単身ブラック企業に派遣で就職を転々とする•シングルマザーで子供3人独立しても家を変えず滞納
•体調管理ができず、お酒の飲み過ぎで肝臓を悪くし退職して滞納
•親の滞納や病弱で子供が仕事を頑張るが、首も回らないくらい大変

原因は金融リテラシーの欠如、安い物件がない、保証会社の台頭、希薄な人間関係、一人親家庭です。
原因はわかりますが一言では言い尽くせないどうしようもない境遇があり、とても大変だと感じました。

全て自己責任として努力を怠らないこと、日頃からのコミュニケーション、いかに腹を割って関係を構築するかがとてつもなく重要だと感じました。

今後高齢者やワーキングプアなどが増加するのは目に見えており、ますます「家賃滞納」をする方は増えていくでしょう。高齢者の場合、強制執行できないと判断される場合もあり、滞納した方も滞納された大家の方も苦しい状況になってしまいます。部屋を借りる側を強く守っている旧態依然とした法律を今の状況に合わせて再構築しなくては本当に立ちいかなくなってしまいます。できるだけ多くの若い人が夢を持って働けるような社会になってほしいなと読了して感じました。

どなたかの参考になれば幸いです。

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