価値観の押し付けをやめる

2022年元旦、ふとこれから生きていく上で「他人に価値観を押し付けない」ことが大事になると思った。年末年始の休みは短いけど、ふと仕事から離れてこんな風に物事を考えられるのが良い。
私たちは親世代から、または上世代から価値観を押し付けられて育ってきた。結婚して子どもを持つことが幸せだとか、良い大学に行って良い会社に入るのが良いとか、何歳までに結婚しないととか。親世代もまたその上からさらに強い価値観を押し付けられている。女は勉強しなくて良いとか、長男の嫁がなんちゃらとか。

きっかけは若い世代と日本人以外と働く機会が増えたこと、海外で働いたことである。たとえば私が子だけ連れて夫を置いて海外赴任に行くことを決めたとき、日本人は割と自由に自分の意見を述べてくるけど(えー旦那かわいそうはイラッとした)、アメリカに行ってからその話をしてもみんな、そっかーそうなんだーみたいな反応だった。他人が他人の価値観で決めたことに口出ししないというやつである。

もう一つ印象的だったのは、アメリカで10歳以上も年下の友人カップルと買い物に出かけたとき。彼らが試着していたサングラスがとても似合ってたので私ともう1人同年代の友達で若い2人の分も一緒に買ってあげた。そしたら後からランチの時、その若い友人に全部払っても良い?と聞かれた。「サングラス買ってもらったから代わりに払うよ。君たちのこと対等な友達だと思ってるから年下だからっておごってもらうの嫌なんだ」。私と友達は「年上の友人が払うって言ってるんだから貰っといたら良いのよー!」と言ったけど嫌なんだというのは変わらなかった。新しい価値観を知ったと感じたし、自分の価値観を押し付けてしまったなと思った。

今は外資系の会社で日本人が極端に少なくてあと若者が多い環境にいて、同じ日本人でも価値観が違うのを強く感じる。さっきの若い友人みたいに職場の先輩とも対等な関係を築こうとしているのを感じる。少し前、下の世代と価値観が違うのを「ゆとり」と呼んでからかったりしている時代もあったけれど、それってすごく時代遅れだと思った。もちろん仕事のアウトプットに対するコメントはするけど、仕事への向き合い方とか先輩への接し方とかそういう価値観の部分は自分の価値観を押し付けるべきじゃないと思った。

これからは自分が正しいと思う価値観を押し付けるという行為をやめて、他人の価値観を尊重する時代になる。相手が友達でも家族でも子どもでも。「親だからいうのよ」「あなたのためにいうのよ」って母からいろんな価値観の押し付けがあったけど、19歳で留学した時に今まで知らなかった世界を見て、ママの言うことが世界の全てではないと強く感じた。それでママの押し付けてくる価値観を全て無視することにした。それでも小さい頃から延々と注ぎ込まれたものはずっと呪いのように残っててやっと最近抜けてきた。正直母がうるさすぎて結婚したというのはある。悪いのは母の価値観そのものではなくて、それを娘に押し付けようとしたこと。自分の信念を持つのは良いけど他人に押し付けるべきではない。

私の世代は他人に価値観を押し付けることが当たり前だった最後の世代になるかもしれない。それを続けてたら旧世代から抜け出せないから変わらないといけない。価値観の押し付けは押し付ける側は時代が変わってることに気付かず昔のまま頭が固まった人になってしまうし、押し付けられた側は今の時代に合っていないことを奨励されてもし言うこと聞いたら間違ってるし、呪いになる可能性があるし聞かないと無視してるみたいで罪悪感が出たりするので良くない。

他人の価値観を尊重することで新しく見えてくることがある。なんでこう思うんだろう?と考えることが仕事につながったりもする。違う価値観を認めることで新たなことを学ぶことができる。新しい価値観に出会い、学び続けないと時代に取り残される。自分の価値観を押し付けるだけでは何も新しいものが見えないし何も学べない。とりあえず新しい価値観に出会ったら、変なアドバイスをせず「人には人の乳酸菌」とつぶやいてみるところからスタート。