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海外赴任を伝えた時の周りの反応

「アメリカの本社勤務になりました」と話した時の周りの最初のリアクションを今頃振り返ってみると、見事に2種類に分かれていていることに気付いた。SNS等で多数の人への一斉報告はしておらず、主には会社の人、普段連絡を取っている人、渡米後のお誘いなどの連絡があった人に直接説明する機会があった。家族の話は自分からはせず、単に本社異動になったことだけを伝えた。

①「え!家族どうするの?」
日本のトラディショナルな考えを持つ方々に多い。「旦那さん大変だねー」と続く場合もある。もし立場が逆で、夫が単身赴任して私が仕事あるからと子どもと残っていたら「えーついていかないのー旦那さんかわいそう」と言われそうだ。ネガティブなトーンで聞かれることも数件あったが、基本はナチュラルなトーン。それでも嫌な気持ちになった。最後の最後まで夫とどうするか話し合っていたし、考えすぎてつかれていたし、二人とも大変な思いをして決断したプライベートのことを話す気にもならなかった。

②「おめでとう!良い機会だからがんばって!」
まずは私自身へのコメント。「前から行きたいっていってたもんね。で、どこの部署で何をやるの?」と続き、それから仲が良い人だけ控え目に「家族はどうするの?」と。家族については「家族と離れるのは大変だと思うけど、子どもにもいい経験になるね」とポジティブかつ立ち入らないコメント。ちなみに日本人以外は見事にみんなこちらだった。こう反応するべきというのに則っているのかもしれない。

つまり、その人が私のプライマリーロールを「母であり、妻である」と見るか、「私個人」として見ているかの違いなのだ。今思えば、夫のあの拒絶反応も、私のプライマリーロールを「母であり、妻である」と見ていたからなのだろう。もちろん母であり、妻であることは私のロールの一部だし、家族は絶対的に大事だ。でもプライマリーは常に自分自身である。それをわがまま、自分勝手と名付けるのは違うと思った。子どもが生まれて生活も自分の大切なものも変わったけれど今まで通り働いていたし、遊びにも出かけていて、それが今の自分だと思っていた。周りから「母であり、妻」が私のプライマリーロールとして見られているとは考えたことがなかった。
ちなみに、プライマリーロールは日本語だと「最も重要視する役割」「一番上に来る役割」という意味で書いている。

そんな中、大学研究室の先生からの「すばらしい!私もうれしいです。元気でね。帰ってきたら飲みに行きましょう」というシンプルな返信が嬉しかった。先生がどう思って家族のことを聞かなかったのかわからないけど、私も相手を個人として見て、勝手なロールを押し付けずに付き合っていきたい。そんなことが学べた経験になった。