[23]「これ、お勉強?」と思ったら
~利益率、1人当り~円…、背景も十分掴んだ、系統立てた…。
そこまでやらずとも、この種の取り組みに対して、
これ、お勉強?
と思った経験はありませんか。
それを避ける手段として、よく「強み・弱み」が挙げられますが、その中身は得てして数的根拠の薄い「空中戦」になりがちです。
あらゆる分析の価値が「将来」への言及により初めて産まれる事は、ご認識のとおりです。
そうした中、財務分析の格言に
すべての道は「収支予想」に通ず
があります。
「収支」が当期利益や営業キャッシュフロー、ROE等の何れを指すにせよ、分析らしくその源泉を辿れば「限界利益(付加価値)」に出会います。
(よくある表現「価値創出の源泉は結局何なのか」です)
従って「説得力ある収支予想」には、限界利益に繋がる、その対象先だけに当てはまる「鍵となる媒介変数」を掴まなければなりません。
「キーパラメータ(Key Parameter)」です。
(Key/Value DriverやKey Performance Indicator等の用語に比べ、分析として本来求められる「無機質さ」や財務諸表の「背後にある」といったニュアンスを重視しました)
「キーパラ」と現場で略される事もあるキーパラメータは「3つの分ける(セグメント、数量単価、固定変動費)」を通じて特定されます。
【図表23】は、化粧品メーカーS社を例にしたイメージです。
「日本高級品や中国を除く海外事業では、コロナ禍もあり、1個の鞘(限界利益率)より何個売れるか(販売数量)だ」
「中国やその他事業で個数が出る事はもう解っている。問題は鞘だ」
といった見方が【図表23】を形成しています。
先般来の「マッピング」にしても、
キーパラメータは何ですか?
という「問い」に答えるもの、とすれば作業上の「無駄感」が省かれます。
公表されていないと言って止めるのか、キーパラメータへの根拠づけを継続できるのかが、差別化のポイントになる訳です。
キーパラメータの重要性は語られて久しい中、各種の分析がそれに繋がらず分量だけが増えている時、即ち「大将の首」でなく「首の数」を追いかけている自分にふと気づいた時、
これ、お勉強?
と思うのでしょう。
この分野にありがちな「多数の並列化された重要項目」で軸を見失う事ほど残念な話はありません。
狙うのは、キーパラメータただ一つ。
本当の財務分析はそういう所に関係する気がします。
追 記
キーパラと書いた時「この種の略英語」に、職場の先輩から昔「ネイティブに対して恥ずかしいよね」と言われた事を思い出しました。
英語ネイティブのご近所さんも、ブレイブボードが「ブレボー」と略されている事を知り、反応に困っていました。
外国語の略し方には気をつけます。
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