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[26] 中国大手デベロッパーが教える「等式」

経営危機が叫ばれて久しい中国大手デベロッパー「E社」の決算書を見ると、1つの特徴が見えてきます。

金利の資産化です。
固定資産等を得るべく借金をした時、その支払金利について費用(損益計算書)でなく資産(貸借対照表)に計上します。

【図表26-1】は、E社の支払金利です。
殆どが、費用として計上されていません。

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【図表26-2】から、その主因が中国の不動産業界でなくE社個社にある事も判ります。

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ご認識のとおり、金利の資産化は粉飾によく使われます。
ただ、もはやE社が粉飾していたかを語っても詮無いでしょう。
むしろE社は我々に、財務分析の「基礎」を教えています。

粉飾にビビらない

「入門レベル」とされる貸借対照表の等式(資産=負債+純資産)は「基礎」とイコールではありません。

E社が教えているのは、貸借対照表を含む決算書の基礎となる等式
資産 + 費用 = 負債 + 資本 + 収益…①
の有効性です。

架空売上(例:資産↑ & 収益↑)、在庫水増し(例:資産↑ & 費用↓)、簿外債務(例:費用↓ & 負債↓)…。
粉飾でさえ【図表26-3】のとおり①式を外れません。

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粉飾はおろか、決算そのものだって如何様にもなる。
【図表26-3】からは、そんな言葉も出てきそうです。

粉飾に限らず何であれ、相手を形づくる「基礎」を押さえるのがビビらないコツなのは、ご認識のとおりです。

入門と基礎を峻別する。
本当の財務分析はそういう所に関係する気がします。

追 記

中3の約3割が視力0.3未満、学年が上がるほど視力低下。

最近報道されたこの傾向は、時系列と学年別の数値を基にすれば、約30年即ち一世代前には、既に表れていた事が解ります。
(【図表26-1】や【図表26-2】と同手法です)

ファミコンのやり過ぎじゃねえか!?
昭和末期にそう言われた我々が、今やスマホを扱う子供達の親世代にいるという事実に、改めてハッとさせられました。

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