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高校英文法のアウトライン 第5章 助動詞 第1回 基本助動詞

今回から「第5章 助動詞」に入ります。
助動詞は数も意味も多いので煩雑な印象がありますが、頻繁に用いられる助動詞に絞って学習すれば、さほど苦にはならないはずです。

基本助動詞

まず、もっともよく使われる助動詞5つの、もっともよく使われる意味を2つずつ示したいと思います。

基本助動詞

この5つの助動詞は誰もが目にしたことがあるはずです。
2つの意味は系統ごとに覚えるのが効果的で、推量にかかわる意味系統と行動にかかわる意味系統があります。

意味の識別は、方法が無いわけではありませんが、ほぼ文脈判断だと思ってください。
とにかく頻出の意味は2つずつしかないわけですから、さほど迷うことはないはずです。

注意すべき書きかえ表現

助動詞は原則、現在の推量や現在の行動にかかわる意味を表します。
従って過去や未来の事柄を表すのには、適宜書きかえ表現を用いる必要があります。

義務:must ⇒ have (has) to / had to / will have to

過去や未来における義務の意味を表すのにmustは使えないため、上記のように書きかえる必要があります。
例文を見てみましょう。

We will have to hold a meeting again if we don't achieve a sale target.
「売り上げ目標を達成できなければ、もう1度会議を開かなければならないでしょう。」

可能:can ⇒ is (am / are) able to / was (were) able to / will be able to

過去や未来の可能の意味を表すのにcanは使えないため、上記のように書きかえる必要があります。
例文を見てみましょう。

Thanks to the financial support from the government, we were able to continue running our store in the economic crisis.
「政府からの財政支援のおかげで、経済危機の中にあっても店を営業し続けることができた。」

過去の可能の意味でcouldが使える場合がありますが、特別な場合に限られます。
英作文などではwas (were) able toを使った方が無難でしょう。

注意すべき否定表現

助動詞には否定語句が付くと特別な意味を持ったり区別が難しくなるものがありますので、特に注意を要するものをいくつか挙げたいと思います。

禁止:must not ~「~してはならない」

義務を表すmustを否定すると、禁止を表すようになります。

I was told I must not open, or even touch, this box.
「この箱を開けたり、触ってもいけないと言われた。」

不必要:don't (doesn't) have to ~「~する必要はない」

義務を意味する助動詞に相当する表現、have (has) toを否定すると、不必要を表すようになります。

In this lesson, you don't have to prepare in advance.
「この授業では予習をする必要はありません。」

拒絶:will (would) not ~「どうしても~しようとしない(しなかった)」

意思を意味するwill (would)を否定すると、拒絶の意味を表すようになります。

I'm pushing the door very hard, but it will not open at all.
「ドアを思いっきり押してるのに、まったく開く気配がない。」
The demonstrators would not move an inch when the police tried to disperse them.
「警察が追い散らそうとしても、デモ隊は少しも動こうとしなかった。」

不可能性:cannot ~「~するはずがない」

可能性を意味するcanを否定すると、不可能性を表すようになります。

He is always lying. His story cannot be true this time, too.
「彼はいつも嘘ばかりついている。今回も彼の話が本当のはずがない。」

終わりに

教える人によっては、助動詞をコアイメージなどと結びつけて理解させようとする立場を取る人がいます。
そのような見方があることは承知していますし、否定もしません。

しかし、私はコアイメージのような意味のふくらみは、一対一対応の語義をまず日本語で押さえて、膨大な用例に触れる中で、徐々に得られるものだと考えています。
まずは今回挙げた意味を覚えて、用例に出会うたびに当てはめて訳していけば、「そうかshouldはこういうイメージなのか」と直観を得る時がくるはずです。

さて今回は以上になります。
次回は、今回少し触れたhave (has) toのような、複数の語句が1つの助動詞として働く表現を見ていきます。

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