小泉悠『プーチンの国家戦略』(2016)


同じ著者の『現代日本の軍事戦略』より前に書かれた本だが、ハイブリッド戦争に関する記述など重なるところも多い。

注目すべきは第6章の宗教に関する部分で、プーチンとロシア正教会の蜜月の他、イスラム過激派との対立に紙幅が割かれている。中央アジアは「柔らかい下腹部」と言われるほど脆弱な地域で、この地でイスラム過激派が力を付けることをプーチンは警戒している。
アフガン紛争時にロシアがアメリカ軍を中央アジアに展開させることを容認したのは、対米協調に加え、西側の軍事力でイスラム過激派を抑圧しようとしたことも挙げられる。

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軍事の専門家が書いている本だが、『文明の衝突』に依拠した世界観で読み解けるところが面白い。

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