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動物はどうやって体温を調節しているの?

1 導入

こんにちは、ひろきです。これからいよいよ夏本番ですね。クーラーが大活躍する時期がやってきます。さて、人間は暑かったらクーラーをつければいいですが、動物はどうしているのでしょうか。どういった仕組みで体温を上げたり、冬の場合は下げているのでしょうか? 今回はその機構について解説していきたいと思います。

2 変温動物の体温調節機構

変温動物は恒温動物とは異なり、体温が環境温度によって左右されてしまいます。そのため、主に以下のような工夫をしています。

① とにかく自分の体温と近い環境を選択する。
② 代謝によって熱を作り出す(環境温度が低い時限定)

まず、①に関してですがいたって単純で気温の高い日には石の下や巣穴などに隠れて、気温の低い日にはなるべく日なたに出て太陽光を浴びる、といったことが挙げられます。よく石を持ち上げると昆虫がいることってありますよね。それが一例です。

夏でも日陰は涼しいですよね

次に②に関してですが、熱を作って体を温めよう!という考えのもとで成り立っています。例を挙げるとすればマグロですかね。速く泳ぐことによって、筋肉運動を活発に行って体の中心部を外部よりも高くしています。

3 恒温動物が体温を上げる仕組み

話の筋的には体温を下げる仕組みから書くべきなのでしょうが、許してください笑 恒温動物では間脳の視床下部に体温の調節中枢があります。また、視床下部内にある中枢性温度受容器と皮膚にある末梢性温度受容器で感覚情報を受け取ります。早い話、温度受容器で温度情報を感知して、調節中枢で調節するといった感じです。

視床下部は大体この辺り

調節中枢が体温を上げる必要がある、と感じたらここから全身の神経や器官に以下のような命令を出します。

① 交感神経を介して、毛細血管を収縮させる。収縮することで熱の損失を少なくする。
② 骨格筋において熱生産を増大させる。
③ 副腎皮質からアドレナリン、甲状腺から甲状腺ホルモンを分泌することで、代謝を促進させて熱生産を増大させる。

主にこの3つの命令を出しています。ちなみに①、②、③の順番で即効性があり、持続性が低いです。これらを上手く組み合わせることで体温を調節しています。

4 恒温動物が体温を下げる仕組み

この場合は先ほどの場合とは少し異なっています。先ほどの項目の①と同様にまず、副交感神経を介して毛細血管を増大させることで、熱の損失を増大させます。

しかし、ここで問題が生じてきます。熱って実は温度差によって移動するんですよね。夏の暑い日に冷房のガンガン効いた部屋の窓を開けると、外から熱が入ってきますよね。これって温度差があるから熱が移動しているんです。温度差が無いと熱は移動しません。

体温を下げる必要がある、ということは体内と外部の温度がさほど変わらない、つまり熱が移動しません。

熱はこうやって移動していきます

そこで、気化熱を利用します。気化熱とは水が気化(気体になること)する際に発生する熱で温度に依存しません。汗をかき、汗が蒸発することで気化熱が発生し、これが体温を下げています。

ちなみに熱と付いているので、「熱が発生したら熱くなるじゃないか!」と思われた方もいるかもしれません。しかし、熱と名前についているものの吸収熱(周りから熱を吸収する)なので、周りから熱を吸収して温度を下げてくれます。

5 汗腺が無い動物だったらどうなの?

前項目で紹介した機構は汗をかくことができる、つまり汗腺があることが前提になっています。では、イヌや鳥のように汗腺が無い動物はどうやって体温を下げているのでしょうか? 彼らはあえぎ呼吸をすることで体温を下げています。イヌがベロを出してはあはあ言っているあれです!

あえぎ呼吸をすることで、気道からの水分蒸発を増加させ、気化熱を発生させることで体温を下げます。

舌を出しているイヌは暑い日に見かけますね

このあえぎ呼吸にも実は工夫が凝らされています。あえぎ呼吸は見て分かるように非常に速いペースで呼吸をしています。つまり過剰な呼吸をしているわけです。

過剰な呼吸をしてしまうと、二酸化炭素の放出量が激増し、血液全体がアルカリ性に傾いてしまい昏睡状態になってしまいます。
※二酸化炭素は酸性です。

なので、敢えてあえぎ呼吸を浅い呼吸にしています。どういうことかと言いますと、普通の呼吸と違って肺の中身をあまり入れ替えないということです。つまり、出入りする空気の量は多いが、肺の中身はあまり入れ替わらないので、血液全体がアルカリ性に傾く、ということもありません。

6 まとめ

水分調節に続いて温度調節について纏めてみました。良かったらいいねお願いします!



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