読書記憶10「あの日、君は何をした」

光陰矢の如しどころか、見えない…

時間の流れが速すぎて見えません!!

通勤時間でポツポツ読書をしていたのですが、なかなか記録する間もなく。
酒量が増えて太るばかりですので、ゆるゆるな禁酒をはじめた今日この頃です。

そんな中夢中になった一冊に出逢いましたので、記録!


あらすじ

4人家族で平和に暮らす主婦の水野いづみの生活は、ある事件を境に一変する。
それは、中学生の息子・大樹が、逃走中の連続殺人犯と誤認され警察に追いかけられた挙句事故死したと言う知らせだった。
「素直で良い子」な大樹がなぜ、真夜中に家から姿を消していたのか、そして、なぜ警察から逃げたのかー。
いづみは、心の均衡を失う。

そして、15年後。
会社員の女性が自宅マンションで絞殺され、その愛人の行方が分からなくなるという事件が発生。
所轄の刑事になりたての田所は、変わり者と噂の捜査一課刑事・三ツ矢とコンビを組み、事件を追う。
追ううちに見え隠れする、一見関係のないはずの15年前の事件。

一体どこに繋がりが…?
大樹の死の真相とは…?

母の愛って、怖い。

まず、文章が読みやすいです。
難しい言葉はなくて、会話や心理描写がメイン。週刊誌やネットニュースで事件のゴシップ記事を読んでいる感覚。
「対岸の火事」と思えば、悲惨な事件も、凄惨な動機も、野次馬根性で除いてみたくなるのが人の常。
そんな厭な部分を自覚しつつ、悲壮であればあるほど面白く感じてしまうものなのでしょう…!
その野次馬根性のまま、あっという間に読めてしまうのです。

そして、思いました。
母は怖い、と。

大樹といづみをはじめ、
不倫相手を殺した疑惑のかかる息子とその母、
友達関係というもののどこか後ろ暗さのある母娘、
そして刑事三ツ矢の母…

色々な母子出てきますけど、母側の心理描写が主なので、主語が「子供」や「家族」になってしまっている母の愛の重さ…いえ、怖さときたら、ゾッとしましたね。

とはいえ、読む人によって意見が分かれそうだとも思います。
私は独身、子供嫌い、母のようにはなりたくないと思って生きてきた人間ですので、また子持ちのお母さんとか、男性とかが読んだら違うのかなと。
私の母はそれこそ家族のために色々色々犠牲にしていつも頑張ってくれていた人で、いつも手作りのお弁当や美味しい夕飯を作ってくれ、子供の為に色々我慢してくれていました。幼心に、そんな母をすごいと思う反面、自分には出来ないと思ったものです。(過去形で書いておりますが、母は元気に存命で、父と熟年離婚してからは割と楽しそうに生きていますが、今だに子供達のことを一番に考えているところがありますね)

正直なところ、私が一番共感したのは大樹です。
そこにある、動機は、周りから見れば異常すぎることでも、大樹にとってはどうしようもない衝動だったのかと。

「うちの母さんてさ…」
そう話す、屈託のない大樹の顔が浮かぶようで、
屈託がないからこそ怖くて、
そんな物語の最後でした。

ponta

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