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コンビニでワンカップを買うおじさん

正午に差し掛かる少し前にも関わらず、太陽はだいぶ傾いたところにいた。

冬はこれだから、と心の中で舌打ちをつく。日照時間が短いと、暗い時間が長くて憂鬱になるのだ。

ブツブツ言いながらも、オフィスでの事務作業がひと段落したので、小腹が空いたし、とフラッとコンビニに立ち寄った。

今日はお昼も早く食べて、早く帰ろう。

お弁当を選んでいると、視界の端にお酒コーナーの前で、顎に手を置き頭を傾げ、何を買うべきか悩んでいるおじさんがいた。

まだ昼下がりで、太陽も人間も仕事をしている時間だ。


「こんな時間から飲むのか...?」と疑問に思っていると、おじさんは傾げていた頭を元の位置に戻し、一度深く頷いて青いラベルでおなじみのワンカップを手にとりレジへと向かった。

買うのはそのワンカップのみである。


勤め上げた会社を辞めて、お昼から自由気ままな一人だけの贅沢な時間を謳歌するのか、

それともまだまだ現役で、活動のためのガソリン代わりにワンカップを購入したのか、

理由はわからないが、その姿にとても親近感を覚えた。


コンビニで一升瓶を手に取っている人を見ると
「いや、どんだけ飲むねん」とツッコミをいれたくなるが、

ワンカップであれば
「ちょっとだけならいいかな」っていう自分に対する甘やかしを感じるからである。


「頑張れ」とか「時間は守れ」とか「寝坊するな」とか、

世の中には当たり前になってしまった当たり前が多すぎるのだ。

日本では、なぜかみんな頑張らなければいけない気がする。

世界には仕事終わりに朝まで飲んで、午後から出勤する国や、
気分で開いたり閉まったりする飲食店がたくさんあるんだぞ、

と声に出して言いたくなる。


そのおじさんは、ワンカップを買うと、颯爽と街の喧騒の中に消えていってしまった。

どこでどんな楽しみ方をするのだろう。

ワンカップと言えど、日本酒のアルコールは、カクテルやサワーよりも段違いで強い。

昼からそんなワンカップを飲むおじさんに思いを馳せていると、それだけでワクワクしてくる。


コーヒーやガムなどの嗜好品を求めて来る若い利用層もいれば、
ワンカップのお酒を嗜好品として求めてくるおじさんもいて、
やはりコンビニは面白い。

日本酒の飲み方を変えて、日本酒が飲まれるシーンを増やしたい。日本酒カクテルの素、ぽんしゅグリアです。ぜひ一度HPに遊びに来てください。 ぽんしゅグリア公式HP:ponshu-gria.com