【創作】 かつらぎさん

「君は、きみでいれることがすごいんだ!」

教科書をパラパラとめくるとそんな文章ばかりが並んでいて、毎日晩飯として出されるカップヌードルと同じくらい飽きたなと思った

ランドセルは赤色が当たり前で。

てか何で2回目の君はひらがななんだとも思った

印刷ミスだろ。だれも指摘しないけど



カップヌードルのことは嫌いじゃないけど、
カップヌードルは多分私のことが嫌いだと思う

食べ方が汚いから

家にはフォーク1本しかない
インド人の母親は全て手で食べるから

幼稚園の頃、うちの母の食事シーンが近所のフードコートで同じ幼稚園の子にバレて、それきっかけで私はいじめられた

それ以来母親とは距離を置いている

大好きという言葉は、私の頭の辞書の中にはないし
サマーウォーズ久しぶりに見たいなとか
そんな思考だけがふらふらとおぼついて私の背中を押してくる


母に父のことを聞くと、
牛の乳の話?
美味しいよね
お母さん好きだよ

としか答えてくれない

幼稚園の頃、それにしても父のことが気になって
お母さんを尾行してみたら
路地裏の個人営業の執事喫茶でおさとして活躍してて
見るに耐えなくて私は欽ちゃん走りで逃げ出した

小学校の頃のリレーなんて、
私のいじめが加速するだけだったな

生まれてこの方欽ちゃん走りしかできないんだもん

リレーを休めば成績が下がるし
変な球の投げ方で世界を救えるなら、
私はとうに8億くらい持っていると思う



私は担任の先生のことが好きになった

色々と話をすっ飛ばしてしまったが、
私は中学でも同じようにテンプレのいじめ方をされ、
それでも学校に通い続けたんだ

さっきまでが幼稚園〜小学校までの話ね


インド人の母はどこから資金を集めているのか
私の学費は出してくれるので、
適当に図書館とコンビニが近いから
と言う理由で高校を選び受験した

私の成績で入れた
という事は、俗に言うバカ高ということで
なんもしてないのに
黒髪の長髪で前髪が長い
と言う理由だけでハブられた

一応形的には共学ではあったんだけど、
男子生徒は1人だけだった

ハブられている時の流れは永遠のように感じるもんなのかなとか思ったけど、苦しいのに慣れていた私の日々はすぐに過ぎた。家に帰ればカップヌードル
バイトをしなくても生きていける
母親は、近所の公園で折り紙講座を開き
金持ちの子供達から莫大なお金を巻き上げているらしい

その子供達に見せる笑顔は嘘だった

家のピンポンが鳴って
その金持ちの子供の親が寝起きの私に文句を言ってきた

知らないよ

母は私を産んでくれたけど、
それだけなんです。2人で好きに生きてるのでやめてください

私は何故か涙が出そうになって、
眼球に向かって自分の拳を猛スピードで向かわせようとした時に、
家のドアの隙間から担任のかつらぎ先生が私の腕を握ったんだ

かつらぎ先生は、常に何か変な匂いがしているし、
天然パーマで長髪とアフロの狭間を行き来している

そんな見た目もあるのか、バカ高では
クソらぎとあだ名を付けられて生徒に画鋲を投げられても怒らないかつらぎ先生

こんなに怒らなくて教師としてお金もらってるのかとか思うと腹が立っていたけど、

私は人生で初めて腕を握られた
というとこだけで、
かつらぎ先生のことが好きになった

好きになって何日と記録できるアプリを入れたりした。
好きになって初日と設定して、
自分の写真はあるが先生の写真は持ってなかったので、
先生が好きなストリッパーKという女優の写真を登録しておいた。

確か先生の待ち受け画面はストリッパーKの大きなおしりだったから。好きなんだろ

何故かその女優に嫉妬心は覚えなかった

だって、私は、
先生が私の腕を握ってくれた
という所だけが、好きだったから

てかなんで私の家知ってるんだろう

その日は授業をサボって先生も学校に出勤してる時間なはずなのに。私のスクールバッグの奥から、現在地が分かるボタンが見つかったのは、またこれも後に分かる話で

好きになったが、
別に、なにも、対して、変わらなかった

と言うか、かつらぎ先生結婚してた

教え子をストーキングするような男が
妻と娘がいると言う事実に吐き気を催した



しんどいと思って病院に行くと、
カップヌードルの食べ過ぎで、カップヌードルアレルギーになってるという診断を受けた

私の母親はすぐ帰ってくるねと言って
そっから高校卒業する今まで、
家に帰ってきていない

家の真っ赤なカーテンが揺れた

卒業式

なんの感動もない

これから先、何もやりたいことも無い

お金は母から毎月通帳に振り込まれているから
別に働かなくても生きていけるし

本当はフェレットが好きで50匹くらい飼いたいのだけど、ペットショップに憧れを抱きすぎてそこまで手が届かない

フェレットを好きで申し訳ない。なんか

かつらぎさん

声をかけられた

唯一の男子生徒の彼だった



君の、ブレザーの第1ボタンちょうだいよ

嫌だった

早く家に帰りたかった

僕は君のことが好きなんだ

知らない。帰りたかった




かつらぎさんは、かつらぎさんでいれることがすごいんだよ

初めて聞いた言葉だった。
そんな言葉、言葉でも本でも聞いたことも見たことがない。

私は薄く口を開いた

この世の中の人間の全ての苗字はかつらぎさんでしょ
だから、君もかつらぎ君だし

卒業式で名前を呼ばれるのは、
どうせ皆苗字はかつらぎなので
下の名前で呼ばれていて

かつらぎという苗字だけの名前バッチが並ぶこの世の中

ストリッパーKだって苗字はかつらぎだし

かつらぎ総理がかつらぎに飽きたらしく、
これ以上かつらぎを増やしたくないという理由で
結婚という制度は廃止されたよね。5年ほど前に

葛城とか桂木とか桂樹とか葛鬼とか
漢字はいっぱいあるのにね。

確かに、小学校の頃の名前バッチはひらがなだから
皆が"かつらぎ"で、それは気味が悪かったけど

かつらぎさんは、かつらぎでいれるということがすごいんだよ
…それって、君は君でいれることが凄いって言うこと?
いや違う。
かつらぎさんが、
かつらぎでいれるということがすごいんだ
君もかつらぎくんでしょ
かつらぎさんと僕の漢字は違うよ
そうなんだ。
私、皆響きは一緒だから自分の苗字の漢字について知らないんだよね。テストにひらがなで苗字を提出しても、怒られないでしょ
君の下の名前を教えて
いいよ、第1ボタンと一緒に君にプレゼントしてあげる

私の下の名前はね、








体調悪くて何故か分からんけど寝たくなくて午前5時まで起きてました💦そんな日もあってもいいよね
体調悪〜!おもたらこんな創作が降りてきたよ
わーーーーーーーーーーーー
これ書いたらお腹すきました笑。
今から昼飯食べます。朝からお腹すいてなかったのに、なんとも不思議やね





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