『気軽な転職』より『キャリア形成の本質』を

こんにちは、地方都市の転職エージェントに勤務する、古狸ことオバサン・コンサルタントです。
最近、人材業界のTV CM見ていて、「私は考え方が昭和なのか」とモヤモヤすることが増えました。
時代にある程度即した動きが出来なければ、コンサルタントとしてはお終いです。
お客様(求人企業)にも、求職者さんにも有益な意見をお伝えすることが出来ないばかりか、悪い影響を及ぼしかねません。

価値観は当然時代によって変わってくるものですが、本質を見失ってはいけなませんよね。
自分の感覚が信じられなくなったら、ただのお説教婆になり下がる、と、出来るだけ多くの意見を読み聞きし考えていますが、都度悩まされます。

たかが16年前…

私が縁あってこの仕事を始めたのは2005年。
北陸地方ではまだそこまで「有料職業紹介」という事業が浸透しておらず、職安や求人雑誌で充分という企業様もかなりありました。
営業活動をするにも、そもそもの仕組みから丁寧に説明し、料金のところでとてもびっくりされる、という一連の流れが当たり前。
成功報酬型であっても求人を頂くのにとても苦労しました。

転職はまだまだ「仕方なくするもの」で、求職者さん側には「罪悪感」すらあり、在職中に転職活動する方は一切NGという社長様もいらっしゃいました。

求人も、職安に募集を出しても中々見つからないような専門の技術を持った方が中心。
当時は薬剤師や医師といった国家資格を持った方、機械設計等、〇〇エンジニアと名の付く案件が多かったです。

40代以上よりは、30代、20代と、若い方の方が好まれはしましたが、
入社後二年もたたずに退職された方、転職歴が多い方は特に警戒されて、根掘り葉掘り確認されたものです。

業界注目のきっかけ?

時代は変わりました。
ここ数年は、人材業界のCMも数多く流れています。

私が勝手に思うことですが、
人材業界という概念を世に知らしめたのは1997年～の「オー人事オー人事」のCMだ、と思います(笑)
これに心当たりのない平成、令和の皆様、是非一度歴代CMをYouTube等でご覧ください。

https://www.youtube.com/watch?v=Gb4T3NjpO1k

この当時はまだ、「転職は良くないこと」「正社員が正義」の時代。
CMの内容も、「会社に入れなくなったら」と建物が逃げて行ったり、「上司との距離を感じたら」と広～いオフィスでひたすら走ることになったりしたら、「派遣」という選択肢を!
というもので、罪悪感を感じずに退職⇒次のステップを促していました。

私が仕事を始めたのはこれからしばらく後ですが、まだ浸透はしていません。

「オー人事」から10年、再度この業界が大きく注目されたのは、「ハケンの品格」というドラマではないかと思います。
昨年新シーズンが放送されたので記憶に新しいのではないでしょうか。

https://www.ntv.co.jp/haken/

2007年1月～3月までのTVドラマで、業界を知る人間からは突っ込みどころ満載!
ですが、日本人の大好きな勧善懲悪と恋愛要素があり中々痛快でした。

気軽な転職??

そこから更に十数年を経て、人材業界のCMはもっと気軽にカジュアルになりました。
派遣に加えて、正社員紹介、我が転職エージェントもドラマ仕立てのCMが流れ、転職は人生の転機、もっと気軽に、ふと思い立った瞬間に、と背中を押すものや、企業の方が経験のない若者を切望するようなものまで様々。

バイトまで含めると「転職」「求人」に関するTV CMはかなりの割合になります。
後ろめたいものから、気軽なものへすっかり変わりました。

むしろ「転職する人は勇気がある」「優秀な方は転職する」みたいな風潮まで感じられます。

古狸の違和感のポイントはここです!

終身雇用制度が見直されつつある今、「転職に罪悪感」は間違っていると私も思います。
ハラスメントが横行する辛い職場で「仕事のために」と耐え忍ぶことはありません。
ましてその為に鬱になったり自ら命を絶つようなことはあってはならないと思います。
「石の上にも三年」も見極め次第でもっと早くて良いと思います。

が、だからと言っていきなり「気軽」はどうなの? というところ。
何も考えずに転職すること、すぐに隣の青い芝生に飛び込むことはマイナスでは?

昭和の古狸としては「キャリア形成における本質的な問題」を無視してはいけない　と思います。

成功って何?

転職＝キャリアアップではありません。
条件だけ見ると、むしろキャリアダウンになることもよくあります。

転職の成功は、内定を沢山勝ち取ることではありません。

では何をもって成功とするか、　
それはその人それぞれで違ってきます。
まずは、

　・今の職場で何が問題なのか
　・転職で何を叶えたいのか
　・5年後、10年後にどうありたくて、そのために何を得たらいいのか
　・どんな課題を解決したいのか

状況をしっかり整理して選択肢を検討していくことをお勧めしたいです!!

整理が苦手な方、客観的な意見が欲しい方、是非北陸人材ネットにご相談ください♪