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【つながらない権利】は業務に限らない/ジャイアンリサイタルを開催してない?


最近テレビ番組などでも取り上げられていて、じわじわと認識度が上がってきている「つながらない権利」。
皆様はこの「権利」についてどう感じられますでしょうか。
転職相談にいらっしゃる方々のお話を聞いていて、実は「仕事」に限らないんだなと思っています。


【つながらない権利】ってなに?

ざっくりいうと、「労働者が勤務時間外には仕事のメールや電話などへの対応を拒否できる権利」のこと。
週末や夜間など、就業時間外に取引先や上司から仕事の連絡がくることってありますよね。
そもそも就業時間じゃないんだから厳密には対応しなくてよいはずなのですが、現実には多くの場合対応してしまいます。
立場的に拒否することが難しい労働者を守るため、法律で禁止する、という動きです。

2017年1月、フランスで労働法が改正された際に盛り込またことで、世界的に話題になりました。
日本ではまだまだある程度の残業は当たり前、という時期で、当時私は「へぇそんな国もあるんだ」位の印象でした。

コロナ渦で急速にリモートワークが普及し、その課題をあげる中で厚生労働省も着目してきているようです。
別にテレワークに限った話ではないのですが、オンとオフの区別が付けづらいという場面が増え、理解の入口の役割を果たしてくれたのかもしれませんね。

利便性の影響

メールの利点は、24時間365日こちらの都合が良い時に送れること。
相手が都合の良いタイミングで開くことを想定しているので、こちらはタイミングなんてお構いなし。
電話の場合、一応常識的な範囲で時間を考えることが多いものの、相手がどんな場所にいるか、何をしているかは分かりません。

性善説に基づいて行動する方が多く、「強要はしていない」し「都合が良いタイミングで返してくれたらいい」のです。

例えば週末に何か仕事の連絡事項を思いついた時、月曜日まで待っていたら忘れるかもしれない、とメールを送ることありませんか?
相手の返事は求めていないので、送る側にパワハラ、残業、強制、等の意図は一切ありません。

問題は、そういった方々に紛れて返事を期待している方がいること。
もしくは、うまくコミュニケーションが取れていないせいで相手が「強要されている」と受け取られるケースです。
明らかに時間外の仕事の依頼であったり、即レスを求めているケースは、職場にいなくても「残業」「休日出勤」です。
つまるところ、こちらの勝手な都合で連絡し、相手の都合は考えていないことを法的に線引きしたのが「つながらない権利」ですね。

日本の背景

戦後の復興期に昼夜問わず働いてきたお陰で高度成長を遂げ、先進国の仲間入りを果たした日本。
ほんの一昔前「24時間働けますか」のCMが共感を呼び大流行したほど、長時間労働や持ち帰り残業が常態化し、むしろ美徳として受け取られていました。
「お客様は神様」「お客様のためなら休日も時間外も関係ない」といった風潮も根強く、欧米と比較すると状況はより深刻でしょう。
そんな中、無理がたたって心身の健康を損なう方々も増え、後に「ブラック」と言われるようになった働き方が問題視されたことで、やっと意識が変わり始めました。

職場に求める条件

ここ数年、転職希望の求職者さんから下記のような希望も頻繁に聞かれるようになりました。

 ・お客さんや同僚、上司から電話がかかってくるので営業職は嫌
 ・会社の飲み会や旅行がない/参加しなくても良い企業希望
 ・有給が取りやすくワークライフバランスがとりやすい企業を希望

傾向として、職場で過ごす時間以外、私生活を意識したものが増えてきている印象です。

仕事だけじゃない!!

会社の飲み会に参加したくない方も、根底は同じ考え方だと思います。
仕事とプライベートははっきり分けたい、浸食されたくない、これは理解できます。
でも飲み会に誘う上司は「業務」ではなく「お楽しみ」として声をかけている、(声をかけて「あげている」!)ので、そもそものところに大きな認識違いがあります。

フランスのように、勤務時間外の従業員の完全ログオフ権を法定化することは出来ますが、それだけでは問題は解決しない気がします。
「仕事以外」の連絡が上司から入ることで結局線引きがあいまいに。。。
「何」と同じくらい大事なのが「誰」からの連絡です。


ジャイアン・リサイタルを開催していない?

業務以外の軋轢は、職場の人間関係の質が直結する問題。
上司の皆様「自分たちの関係は良好だから大丈夫」「そんな職場じゃなくてよかった」と思っていませんか?
そこは過信せず是非疑ってみてください。

カラオケに誘って「喜んで」ついてきてくれる部下は本当に喜んでいるでしょうか。
ジャイアンは自分のリサイタルに「心の友」が大喜びで聞きに来てくれていると心から信じています(笑)
飲み会でもゴルフでもカラオケでも、中には残業ですら、同じように「喜んで」参加していると思っている場合は、少し冷静に考えてみてください。

参加型に限らず、例えば、週末にご家族や趣味の写真を部下の携帯に送る行為も同じです。
休みの日に上司から連絡が来たら、たとえ業務と関係なくても何かしら返事をしなくちゃ、と思うもの。
これも一種のジャイアン・リサイタルです。


まとめ


客観的に誰の目から見ても明らかに嫌がられているのに、自分だけは気が付かない、そんな裸の王様にならないよう、今一度自分の行為を見つめ直したいですね。
ちなみに北陸人材ネットでは、連絡内容別のカテゴリがあって、例えば趣味の写真を共有したい時には「憩いの場」カテに放り込みます。

プレッシャーのない関係作りは簡単ではありません。 全てを規則化してしまうのは味気ないので、自然に分けられるようなプラットフォームを作り、「親しき仲にも礼儀あり」を皆が忘れないよう、時にはジャイアンリサイタルを開催していないかセルフチェックを心がけることが大事ですね。


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