バイリンガルの子どもの方が、優れたワーキングメモリーを持つ
2013年、The Journal of Experimental Child Psychologyに掲載された、スペインのGranada大学実験心理学部の主観研究員Julia Morales Castilloが、カナダのトロントにあるYork大学と共同で行った研究によれば、バイリンガルの子どもたちの方が、そうでない子どもたちよりも、優れたワーキングメモリーを持っていることが分かったということです。
ワーキングメモリーの発達にとって「臨界期」(そこを過ぎると学習できなくなる上限の時期)と言われている5歳〜7歳の、バイリンガルの子どもを含む子ども達の行動観察から結論づけられたもので、お互いに協力しあって取り組まなればならない複雑な課題ほど、バイリンガルの子どもたちの方が、そうでない子どもたちよりも、総合的な実行力で秀でる傾向が認められたということです。
ワーキングメモリーは、さまざまな情報の中から、ノイズに惑わされず素早く的確な情報を取捨選択し、それを保持し、必要があれば更新ししていく情報処理能力を支える記憶システムです。暗算や読解力、自己統制力、企画実行力の基盤となるとされています。これまでの研究では、マルチリンガルの人の方が、情報処理能力や企画力において、モノリンガルの人より優れているという結果が出ていましたが、ワーキングメモリー自体の優位性があるのかどうかを、このプロジェクトでは検証したということです。
Bilingual children have a better 'working memory' than monolingual children
https://www.sciencedaily.com/releases/2013/02/130220084444.htm
Date: February 20, 2013
Source: University of Granada
Summary:
Bilingual children develop a better working memory –- which holds, processes and updates information over short periods of time -– than monolingual children, according to new research. The working memory plays a major role in the execution of a wide range of activities, such as mental calculation (since we have to remember numbers and operate with them) or reading comprehension (given that it requires associating the successive concepts in a text).
Journal Reference:
Julia Morales, Alejandra Calvo, Ellen Bialystok. Working memory development in monolingual and bilingual children. Journal of Experimental Child Psychology, 2013; 114 (2): 187 DOI: 10.1016/j.jecp.2012.09.002
Cite This Page: MLA
University of Granada. "Bilingual children have a better 'working memory' than monolingual children." ScienceDaily. ScienceDaily, 20 February 2013. <www.sciencedaily.com/releases/2013/02/130220084444.htm>.
これまでの研究で、ワーキングメモリーは、5歳から7歳を臨界期として、乳幼児期に発達するものとされています。この時期は、音階や発音を聞き分ける耳の機能が発達するとされる2歳〜8歳の期間とも重なっています。幼児期にバイリンガルな環境で育つこと、バイリンガル教育を施すことには、ワーキングメモリーを鍛えるという側面からも、大きな意味があると期待できます。
幼少期の英語教育が、単に第二言語を獲得するためのものではなく、その子の将来にわたる学習に影響を与えるワーキングメモリーを鍛える効果を持っていると、改めて認識することが大切です。
英語は、もはやインターネット公用語と言える世界言語ですので、保護者や教師の皆さんには、そうした意識を持って、幼児期から小学校低学年にかけての英語教育に対する認識を新たにしていただければと思います。
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