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「ヴィレッジ」ユートピアは幻想

「ヴィレッジ」を久しぶりに鑑賞。Mナイトシャマラン監督の作品は大好きだ。うちのオカンが間違えて「シャマランマ」と呼んだことがきっかけで、我が家でシャマラン監督はシャマランマと呼ばれている。

内容もさることながら、木綿や麻などを思わせる天然色のドレスや、緑に囲まれた村の優しい風景、白や黄色の小花やキャンドルの光で飾られた可愛らしい結婚式など、ナチュラル感が猛烈に可愛くて、わたしもこの村に住みたいとさえ思ってしまう。

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この結婚式のダンスシーンはちょっとだけアリアスター監督の「ミッドサマー」がダブる。

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(アリアスター監督「ミッドサマー」2019年)

画面のナチュラル感には理由があり、この村において排除されている色があるからだ。赤い花や木の実を見つけたら即座に土の中に埋めなければならない。「赤」は不吉な色として、住人たちからは恐れられている。

「森には怪物が住んでいる」「赤は不吉な色」という、恐怖と色によるコントロール。

大切な人の命を「事件」によって奪われるということは、わたしには経験がないので想像するしかできないが地獄以上のものだろう。初めてこの映画を観た時はこの村の「年長者」達に同情、共感もしたのだが、見る回数を重ねるうちに滑稽に思うようになった。彼らのしたかったことは理解はきるが、それが後の世代の者達にとっての幸せとイコールかというと、そうではないはずだ。

「年長者」たちはあらゆるリスクを排除して、自分たちだけのユートピアをつくろうとした。けれど、結局その安全を揺るがすものが外ではなく内側から生まれたり、隠せば隠すほど外側を知りたがる者が出てくる。結局ユートピアというのは不可能、幻想でしかない。









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