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花という人物

うちの子達はこの作品が大好きで、勝手にテレビをつけてよく見ている「おおかみこどもの雨と雪」。

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            ※Filmarksより 

細田守作品を見ていると、自分がだいぶ汚れてしまっているような(どんなだ)気がして気後れ感すら感じる作品が多いと感じる。(なんつー感想だ)それくらい青くてなんだか儚くて、触れると壊れてしまいそうな世界観。

そう感じてしまうのは主役の「花」のイメージがそのまま作品のイメージに直結しているこの作品のせいかもしれない。

花はおおかみ男と恋に落ち、2人の子供を授かる。ところがある日突然、おおかみ男の「彼」は死んでしまい、幼い子供2人を抱えたままシングルマザーとなってしまう。
半分おおかみ、半分人間の子供達と共に生きていく、それだけで苦労も2倍。そこに追い打ちをかけるように夫は死にシングルマザーに。さてどうする?ここから花が奮闘するのだけど。。。

ある日突然旦那が亡くなる。二児の母。個人的に心当たりのありすぎる展開なのだけれど、花は泣かない、わめかない、取り乱さない。あまりにも健気。痛々しいほどに。

そんな主役の花を見ていると、わたしは登場人物の「韮崎のおじいちゃん」と同じ言葉をかけたくなる。

「笑うな。なぜ笑う」

なぜ笑う。なぜ笑っていられる?
その状況で。辛いだろう、悲しいだろう、それなのに、無理して笑うなよ。

辛い時は辛いと言い、憎い時は憎いと言い、言いたいことを我慢せずに吐き出して生きてきたわたしにとって、花という人物は心配ですらある。
花という人に比べたら、わたしは遠慮せず毒を撒き散らしながら生きる欲望の塊だ。

余計なお世話かもしれないが、無理して笑っているのだとしたら、いつか壊れる。
みっともなく弱音を吐いて、ジタバタしてもがいたりして、一見キレイな生き方に見えなくてもいいではないか。といいたいけれど
か細くて弱々しくて、それなのに絶対に弱音を吐かない、これは花の生き方なのだろう。

花が、それまでの人生で心に負った傷。それによっていつしか自分を封印してしまったのだとしたら、彼女の人生はこの映画の終わったところが本当のスタートなのだと思う。





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