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世界の分断/対立について、ラグビーワールドカップを通して考えてみる!

昨今、加速度を増して世界中で起きている分断・対立について、ニュースで報じられない日はありませんね。
ひと昔前であれば、その理由が人種間の対立というわかりやすいものだったように思いますが・・近年は、その理由がより複雑になってきているように思えてなりません。何故なんでしょうか?
ポンッ!と、かんたんに答えが出る問題ではありませんが、無関心を決め込むのもどうかと思います。
なので・・私なりにラグビーというスポーツを通して”寛容(かんよう)”ということを少し掘り下げて考えていきたいと思います。
なんと言っても”分断・対立”の反対は”寛容”なので、ここに注目すれば何かヒントが見えてくるかもしれませんね。

2023年は、ラグビーワールドカップがフランスで開催されました。
ラグビーというスポーツは、ルールをよく知らなくても観ているだけで全身の血が沸き立ってアドレナリンが出まくりますね。
私の場合、そこに勝敗は関係ないんです。
時折、何故なんだろうって思うこともあります。
おそらく理由のひとつに、ノーサイドの精神があるからだと思うんですね。ゲーム終了後プレーヤー同士が敵も味方もなく、お互いの健闘を称え合い、握手して肩を叩き合う姿に感動するからだと思うんです。
他のスポーツで、そういった光景を見ることありませんからね。
プレー中はあれだけ激しくぶつかり合っても、ゲームが終われば共に戦った仲間になるんですね。何度観てもノーサイドの瞬間は美しい光景だなぁって見惚れてしまいます。

今回のワールドカップで優勝したのは南アフリカでした。
ニュージーランドとの決勝戦は、両チームでイエローカードとレッドカードが飛び交い、お互いが奪った得点はトライ(5点)1本とペナルティゴール(3点)6本というギュっとしまった、まさに死闘と呼べる好ゲームでした。

ニュージーランドも南アフリカも、今では世界の中でもベスト3に入るようなラグビー強豪国です。しかし、南アフリカはここに至るまで多くの人種間対立と戦い乗り越えてきた歴史があるんです。
まさに、分断・対立を”寛容”へとチェンジしてきた国なんですね。

その事を詳しく説明するために歴史を遡(さかのぼ)って、時間を1990年に戻し二人の人物を登場させなければなりません。
デクラーク元大統領とネルソン・マンデラ元大統領です。
この二人がいなかったら南アフリカのラグビーがここまで強くなることはなかったとも言えます。

1989年にデクラーク氏が大統領に就任し、翌年1990年にアパルトヘイト(法によって定められた人種隔離と差別の制度)を撤廃。
それによって27年間に渡って拘束されていた、反アパルトヘイト闘争の黒人指導者ネルソン・マンデラ氏を釈放。
マンデラ氏はデクラーク氏の後任として南アフリカ大統領に就任。といった大きな出来事が南アフリカ国内でありました。

マンデラ氏が偉大なところはここからです。
大統領就任と同時に、真っ先に取り組んだことが・・今まで白人と黒人との間であったすべてのことを許して水に流すことでした。

えぇ〜!って思いますよね!
私だったら、27年間も無実の罪で拘束してきた白人達を簡単には許すことはできなかったでしょう。間違いなく。
なのに・・・
当人であるマンデラ氏は
『これからは白人も黒人もない。同じ南アフリカの国民としてお互い変わっていかなくてはならない。同じ方向を向いて国を作っていかなくてはならない!』と、国民に訴えたんです。凄い人だと思いませんか?

家族や親戚を白人に殺された黒人も多くいたようです。それでも大統領が”許す”と言うんだから・・と黒人達も渋々従うわけなんです。やるせない気持ちはわかります。
この辺の心の葛藤がとってもわかりやすく映画作品になっているので、観ていただいたほうがいいでしょう。

『インビクタス 負けざる者たち』という作品です。
クリント・イーストが監督して、マンデラ大統領をモーガン・フリーマンが演じて、南アフリカラグビーチームのキャプテンをマット・デイモンが演じている映画です。

今大会の決勝戦の前に『インビクタス』をしっかりと観て、南アフリカ ラクビーチームの歴史を振り返ってから決勝戦に臨みましたが、決勝戦での両軍の勇姿を観て感極まるものがありました。うるうるきましたね。

南アフリカのワールドカップラグビー初出場は第3回大会の1995年です。
自国初開催で初出場で初優勝を成し遂げた年です。
マンデラ氏が大統領に就任してから5年後のことです。
すべては、マンデラ氏が”寛容”な心で、すべてを許したことから始まっています。

昨今の分断・対立は、1990年に比べると、より複雑になったように思います。
気候変動等による民族移動(難民)があり、コロナ禍によって先行き不透明なことによる人々の不安感があり、ウクライナやパレスチナなどの紛争による民族移動(難民)などがそうですね。
それでも、これらの問題を突き詰めていけば、すべて人間が作り出したものと言えないでしょうか?
であるならば・・・私たちの身近に起きる小さなことから寛容になっていく必要があるのではないかと思います。その小さな積み重ねしかないのでは!?

まずは私も、冷蔵庫で大切に冷やしておいたスイーツを食べたカミさんを許すことから始めたいと思います。




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